春夏秋冬
下手くそです。
春
僕らはここに引っ越してきた。東京。新宿。家出のやつらが多いと聞いた。朝方にこっちに来たが、家出っぽいやつらなんて誰もいなさそうだ。夜になる前に、先に新居に行きたい。
東京で住むところはオンボロアパート。都会的なのに僕らは田舎的だ。本当はもっといいところに住みたかった。でも金がなかった。二人で相談してここに決めた。
アパートまで東京の街並みを見ながらとぼとぼと歩いていると、ショウが話しかけてくる。
「東京っていいところだね」
すぐに僕は答える。
「もっとちゃんと住めば地元に帰りたくなるよ。馬鹿げてるんだ、東京に住みたいだなんて」
「一度でいいから、都会を感じてみたかったんだ。ね、ね。ありがとうね。僕らやっとここに来れたんだ」
夏
どんどん蒸し暑くなってきた。汗が止まらない。濡れたタオルで顔を拭う。地元も暑かったけど、東京だとより暑く感じる。エアコンは付けてる。でも音がうるさくて壊したくなってくる。
ショウが床に寝転びながら僕に話しかけてくる。
「今度、海に行こうよ」
僕は答える。
「いや」
「お願い、行きたいんだよ。バスで行けないかな?」
「僕が行きたくないんだ!それと、節約をしなきゃ行けない。このままだと借金だ」
「僕、バイト頑張るよ。ね、ダメかな?」
そう言ったショウは黙る。
秋
暑さは少しマシになった。暑さは昔から大の苦手だった。その事にもう一度気づけた。それと、もう何ヶ月も暮らして気づいたことがある。いや、もう最初からわかっていた。この街は、僕らが住むには難しすぎる。街の暗黙のルールが僕らには理解出来なかった。
夜に散歩がてら二人で歩いているとたまに通行人とぶつかる。ショウがすかさず謝る。相手はニヤニヤ笑っている。ショウは笑われたのをその晩ずっと気にしていた。寝る前までショウはこう言い続けてた。ねぇ、やっぱり謝るべきじゃなかったのかな? 僕ったらこの街のルールを学ばなきゃね……。
ある日の朝、ショウが僕のことを朝早くから起こす。なんだよ、と無視しようとするが大声で僕のことを呼び続ける。
「ねぇ、リュウくん。大変、大変だよ。僕のお気に入りのコートが虫に食われてる。穴が空いてるよ……」
そのコートは僕がショウのために買ったセール品のコート。セールになっていたがそれでも値が張っていた。おい、少し高かったんだぞ、と怒る。ショウは涙目になりながらも、ごめんよと謝っていた。やっぱりこの街は、僕らが住むには難しすぎる。
冬
寒い。布団から出たくない。それと最近、物価高だ。もう貯金がない。借金はしたくない。でも、腹は減る。隣で寝ているショウを起こす。
「ショウ、ショウ。僕ら盗人になるぞ」
ショウは寝ぼけた声で言い返す。
「……なんで?」
「もう貯金がないよ。いいね? 僕ら共犯者になろう」
そして、僕らはこの街に囚われる。
下手くそです。




