表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

SF作家のアキバ事件簿245 頭巾ズ来襲

作者: ヘンリィ
掲載日:2026/01/17

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第245話「頭巾ズ来襲」。さて、今回もアキバが秋葉原だった頃のヲタクmeetsスーパーヒロインの物語。第2シーズンです。


秋葉原の地下で超能力を持つ腐女子を狩る謎組織を殺したメイド達。裏アキバの奥に広がる森に埋めた骨が議員の手に渡り、量子加速器で分析を試みますが…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 地質学者


万貫森。ソレは裏アキバの奥に広がる沈黙の森。磁気に乱れがあり、古来よりUFOがよく目撃される。


「ピー、ピー、ピー」


森の静寂を破るのは、地質学者の手に握られた探知機が発する電子音だ。反応は確実に近づいている。


「ココか」


彼は立ち止まり、カバンを下ろすと折りたたみ式のスコップを取り出す。探知機を置き、地面を掘る。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「副所長。テリィ副所長、貴方は何か会社に隠しゴトをしていますね?」


柔らかな声だ。精神科のカウンセリングルームの照明は過剰なほどに白い。まるで…尋問室のようだ。


「会社は、副所長のコトをマジで心配しています。わかりますか?副所長は、ご自分が抱えている問題は特別だと思ってる。でも、第3新東京電力に勤務する約1万5000人の社員が、まさしく同じ悩みを抱えているのです」


共感を量産スルための陳腐な言葉だ。


「だから…貴方の悩みを、今ココで打ち明けてくれませんか?…Z dayを迎える前に」


僕は、深く息を吐く。


「…先ず、センセに打ち明けなくてはならないコトがあります」


俯いたママ、美貌の女医に告げる。


「僕の推しは、スーパーヒロインです」


沈黙。


「正確には、異なる世界線の、それぞれのDNAを組み合わせて作られたハイブリッド。メイド仲間のエアリとマリレも同じです」


自分の声がやけに遠く感じられる。


「彼女達が何のために生まれてきたのか、誰にもわかりません。ただ、気づいた時にはアキバで"覚醒"していた。あの日、何の前触れもなく開いた"リアルの裂け目"の影響なのカモしれない」


彼女達の外見は、普通の腐女子と何ら変わらない。だが、その1人1人が"覚醒"した超能力者なのだ。


「彼女達は"覚醒"が危険なコトだと本能的にわかっていた。だから、ズッと隠してきた。でも、去年の秋、アキバの地下で謎の組織が"覚醒した腐女子を狩る"ようになってから、全てが変わった」


そんなアキバに現れたのがティルだ。彼女もハイブリッド。そして、もう1人。姿を自在に変えるナセラ。彼女は、どんな人間にも変身出来る。


「彼女達を狩る組織の追跡は執拗だった。捕まれば命はナイ。彼女達は、ただ普通の腐女子として生きたかっただけ。でも、無理だった」


声が震える。沈黙のあと、僕は続ける。


「マリレは…自分達の命を守るために、謎の組織のレイカ司令官を殺した。遺体には火を放ち、万貫森の奥深くに埋めた」


正当防衛?理屈ではそうなる。しかし…


「彼女達は、初めて人を殺した。超能力で」


彼女達は、未だその衝撃から抜け出せずにいる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「…テリィ副所長。聞いてる?」


現実の声が戻ってくる。


「黙ってないで、少し話してくれませんか?副所長の悩みを」


僕は、快活に微笑もうとして、失敗。


「…忘れてくれ。どーせ平凡な悩みだし」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万貫森。地質学者のスコップが硬い何かに当たる。

手を止め土を払う。指で掘り進めると白い何かが現れる。


骨だ。


ゴーグルを外し、その形状を慎重に検分スル。やがて、溜め息をつき、低い声で唸るようにつぶやく。


「人間の骨だ」


万貫森は、再び静寂に包まれる。


第2章 聴聞会


液晶画面の中で、誰かがしゃべっている。


「レイカ司令官。南秋葉原条約機構(SATO)の司令官として、貴女が執行した予算はいくらになりますか? 」

「(モニョモニョ)」

「何ですと?」


髪が異様に薄い委員長は眉をひそめる。


「私は最近どうも耳が遠くてね。もう一度、今度は人類に理解出来る言語で頼むよ」

「…ありません」

「ありません、だと?」


議場が凍る。委員長は資料をデスクに叩きつける。


「つまり、1円も?」

「YES」

「しかし、私の手元には"南秋葉原条約機構(SATO)なる政府組織が"時空テロリスト検挙"の名目で、天文学的数字の支出をしたという証拠がアル。私は本聴聞会において…」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


僕は、御屋敷(メイドバー)のバックヤードで、show up前のメイド達と聴聞会の中継を見ている。僕は、ココのヲーナーだ(サイドビジネスですw)。


「テリィたんも考えたわね。ナセラをレイカに化けさせて、南秋葉原条約機構(SATO)と官邸を内ゲバさせるナンて」

「スピア。人聞きの悪いコトを逝うな。僕の作戦じゃないって。ナセラとは、ほとんど連絡を取ってないし」

「他に誰かフィクサーがいるの?」


僕の頼れる元カノのスピアが、唇に人差し指を当て小首を傾げる。萌え。君とは何で別れたのかなw


「ねぇエアリ。SATOさえ解散すれば、私達スーパーヒロインはもう、何かに怯えながらビクビク生きて行く必要はナイのね」

「そうょマリレ。もうアレから3ヶ月。他の世界線からの侵略はなかった。異なる世界線同士の戦争ナンて最初からなかったンだわ」

「待って、エアリ。もしかしたら、準備してるだけカモしれないし」


メイドのエアリとマリレ。この2人と僕の推しミユリさんは、実は"覚醒"したスーパーヒロインだ。


「準備って何スルの? ストレッチか何か?」

「油断しないでって言ってるの!」

「静かにして2人とも。評決が始まるわよ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


かなりオデコが光ってる議長が宣する。


「南秋葉原条約機構を即刻解散させるコトが提案されました。賛成の方は挙手を」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「なんで聴聞会の中継なんか見てるの?」


メイドのコトナが場違いなテンションで現れる。最近入ったメイドみたいだが、顔に見覚えがナイ。


「ほっといて」


スピアが追い払う。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


アキバ発の後に巨大企業となる"ワラッタ・ワールドワイド・メディア"による聴聞会の中継は続く。


「反対です」


その一言に議場がどよめく。


「それでは、バネサ・バレン議員に発言を許可します。バレン議員、どうぞ」

「ありがとうございます、議長。1972年、SATOはある殺人事件を調査していました」

「殺人事件?」


バレン議員の声が突然ドキュメンタリー調になる。


「YES。遺体に外傷はなく、皮膚には銀色の手形。しかも、その手形はすぐ消えた。まるで、SATOの予算みたいに」

「議員。皮肉は後回しに」

「失礼…そして、その遺体の骨からは、地球上には存在しない非金属元素が発見されました。我々は、ソレを仮に"ビタミンZ"と呼ぶコトにしました」


そのネーミングもテキトー過ぎるが、結論はさらにテキトーだw


「つまり、この殺人事件の犯人は、人類ではナイと思われるのです」

「しかし…当委員会がSATOから押収した資料には、その"ビタミンZ"なる記述がナイ。コレはどーゆーコトかね?」

「簡単な話です」


間髪入れズにレイカが割って入る。


「"ビタミンZ"なる非金属は…この世には存在しません」

「は?」

「なぜなら、ソレはSATOが予算獲得のために捏造した、完全に架空の物質だからです」


一瞬の沈黙。


「じゃ今までの聴聞会はいったい何だったんだ!?」

「ノリでした」

「何だと!」


確かに、そのノリは完全にナセラだ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


そのノリは、僕達の間でも大ウケだ。


「誰なの?あのヲバさん。ウケる」

「バレン議員?超有名人だぜ?」

「マジ?明日からニュース見なきゃ」


今日から見ろ。


「さ、シフトよ。メイド服に着替えるから、みんな出てって」

「あのさ、スピア…」

「テリィたん。去年の夏、私達は強い絆で結ばれたけど、未だ裸を見せ合う関係には戻ってナイと思うの」


とか逝いつつ見せたそうなスピアw


「あのさ。ミユリさんから連絡あった?」

「テリィたん。ソレ1時間前にも聞かれたけど」

「さっきスマホがかかってきてたょね?」


スピアは腕を組む。


「忠告よ。ミユリ姉様は乙女ロードのおばさんち。つまり、衛星軌道から降りて来たテリィたんを完全に避けてるの。それなのに、テリィたんときたら、もう何度も"ミユリさんから連絡は?"って、捨てられた子犬みたいに私に聞くのヤメてくれる?追うより追わせなきゃ」

「追うより追わせる?」

「YES」


ドヤ顔のスピア。


「でもさ。さっきマリレの留守電に5回かけたって逝ってなかったか?」

「あら。そうだっけ?腐女子は自分に不都合な真実をコヤシに進化する生き物なのょ」

「おいおい。何でもSFっぽく逝えば全て許されると思ってないか?」


バックヤードに平和な沈黙が落ちる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


御屋敷の高い天井に吊るしたシャンデリアが灯る。

メイド達がオーダーをとる歌うようなざわめき。


「ご注文は以上でよろしいでしょうか、御主人様」

「YES。that's all」

「enjoy AKIHABARA」


新入りメイドのコトナだ。紫のウィッグ。月面基地の司令官みたいだ。しかし、いつ入ったのだろう。


「やった!"地底軍艦"がリバイバル上映中だ」


ネットで見つけた情報に小躍りスル僕。


「え。テリィたん、ビタミンZについて調べてくれてルンじゃナイの?」


エアリは遠くを見ながら、別の話題を差し込む。


「うーん土曜の夜は"レトロフューチャーナイト"らしいぞ。どうスル?」

「今は映画を見る気分じゃナイし…ってか、いくら私がセフレだからって、ミユリ姉様の代わりをさせないで」

「え。」


僕は一瞬言葉を失い、それから小さくうなずく。


「だね。ごめん」


沈黙。エアリは意を決したように息を吸う。


「私こそごめんなさい。テリィたんと話すのは楽しい。でも…今は色んなコトが起き過ぎて、誰か男の人と付き合うなんて考えられないわ。どんなイケメンであっても」


その時だ。


「失礼。お邪魔でしたかな」


落ち着いた声が空気を割る。振り向くと、見慣れない男。旅塵をまといながらも知的な雰囲気が漂う。


しかも、イケメンw


「え。い、い、いいえ。邪魔だなんて…」


一瞬でエアリの声が裏返ってデレデレモード。困った妖精だ。とりあえず、ココは状況を推し量ろう。


「私はグラソ・レソン。地質学者です」

「エアリよ」

「エアリさん。ごきげんよう」


満面の笑みを浮かべるエアリ。


御屋敷(トラベラーズビクス)ヲーナーのテリィだ」


名刺代わりの握手。2人の手が交わる瞬間、奇妙な感覚が僕の胸を過ぎる。何かヘンだぜ、おっさん。


「ところで、エアリさんにテリィ殿(呼びかける順番が逆だw)万世橋警察署の場所を教えていただけませんか」

「あら。万世橋(アキバポリス)に、何のご用かしら?」

「ちょっと…こんなモノを拾いましてね」


彼は、慎重に布包みを解き、一片の骨を差し出す。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


白色灯の下で"骨"は無機質な光を反射している。


「これは…ハクビシンの骨ですか?」

「ラギィ。ハクビシンの骨をワザワザ森に埋めるモノ好きがいる?脂質の残留反応も異常だし」

「グラソさん。一体、何処でコレを?」


万世橋警察署の敏腕警部ラギィは、鑑識を呼んで"骨"を検分している。傍らにイケメンの地質学者。


「万貫森のほとんど人の立ち入らない地点です」

「そんな辺鄙な場所で、貴方は何を掘削していたのですか?」

「地質調査です。実は、私は地質学者で化学プラント建設の話があり、事前に地層の確認を依頼されていたのです」


なるほど。工場立地の事前調査だったのか。さらに、言葉を選ぶようにしてグラソの話は続く。


「しかし、理解できないのです。私は"ロレンス・パルス5"という地質探査装置を使っていました。本来は鉱物反応しか拾わないハズの装置が探知したのが、この骨なのです」


室内の空気が微かに冷える。


「ぞっとする話ですね。とにかく、知らせてくれて正解でした。早速ウチの鑑識に調べさせます。鑑識、良いかしら?」

「了解、警部。明朝までにレポートを提出します」

「では、よろしくお願いします」


グラソは、ラギィと握手を交わし退室スル。ソレを見届けてから、部下にテキパキ指示を下すラギィ。


「直ちに発掘チームを編成して。現場を徹底的に洗い直すわょ。鑑識、骨の分析を急いで」


しかし、ラギィは未だ知らない。この一片の白い"骨"が、地底に眠る"何か"への扉であるコトを。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


御屋敷(トラベラーズビクス)。ランチ後のアイドルタイム。


マリレは、テーブルに並べたスープ缶の前で深呼吸をスル。両手を握りしめ、頭の中を空っぽにして…


バンッ!


1番右のスープ缶が、花火みたいな火花を散らし、放物線を描いて吹っ飛び空中でグシャリと凹む。


「わあっ!成功だわ!」


傍らのティルが無邪気にパチパチ拍手。


「その調子よ、マリレ。集中力が前よりずっと良いわ。研ぎ澄まされてる」

「えへへ…次、いくわょ」

「ちょっと!何処を見てるの?」


ドドン!


次の缶、さらに次の缶までが吹っ飛んだが、勢い余って?奥の御屋敷の壁がボコリと凹む。おいおい…


「ちょっと待ってぇ!」


異様な物音に振り向いた僕とミユリさんは息を呑む。マリレ達を御屋敷のバックヤードに連れ込む。


「あのな。僕の御屋敷を壊すつもりか?」

「ごめーん。未だ練習中なの!」

「あのさ…レイカの骨が見つかったぞ」


ヤバめの空気が流れる。


「そんな…誰が見つけたの?あんな辺鄙なトコロを掘り返すナンて」

「地質学者だ(イケメンの)」

「そんなトコロで何してたの?ソイツの方がヤバいんじゃナイの?まさかスーパーヒロイン?」


(実は殺人犯の)マリレは、明らかに動揺してる。


「男だょ。地質学者だ。穴を掘るのが仕事」

「うーん何だかイヤな予感がスルわ」

「捜査はラギィが指揮してる。先ずは任せよう」


ラギィは全てを承知してる。僕の自慢の元カノだ。


「ナセラには連絡しないの?」

「連絡は緊急時だけって約束ナンだ」

「今は、まだ様子見か…OK!じゃ次に動く時の作戦、考えてょ」


メイド達は、揃って僕の方を見る。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万貫森の発掘現場では、穴の底で照明に照らされた人夫が汗まみれになり、スコップをふるっている。


「コレで全員が宇宙服なら"2001年"ね。モノリスが出てきたらどうしましょ」


穴の淵にしゃがみ込むラギィ。背後から呼ぶ声。


「出ましたよ」


真冬というのにTシャツに手袋姿の人夫が泥に塗れた骨を差し出す。鑑識が飛んで来て骨を受け取る。


「警部!コッチの薮には、こんなモノが」


ラギィが振り向くと、部下の刑事が既に証拠用ビニール袋に入れた赤いアーミーナイフを示している。


「ちょっと見せて」

「いいえ、ダメです。わかってますょ先ず鑑識(ウチ)に指紋を調べさせますから」

「そう。じゃ頼むわね」


宝探しの現場みたいに活気づく。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その様子を少し離れた高台から見ているマリレ。


「え。近くに誰かいる…」


見られているような気がして振り向く…が、ソコには真冬の星空と黒い森の影が広がっているだけだ。


「気のせいかしら…あら?コレ何?」


最初は白い頭巾かと思ったが…ソレは白い皮膚。まるで蛇の抜け殻だ。つまんだ瞬間に粉々になり風に散る。


「何なの?コレは」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


翌日。昼下がりのパーツ通り。


「テリィたん。あの地質学者、調べるべきよ」

「ラギィが調べた。アキバ工科大卒の地質調査員らしい。今はフリーで現場調査の仕事をしている」

「ねぇやっぱりナセラに相談しましょ?」


傍らのエアリは、ムダに胸の谷間をチラ見せしたメイド服だ。歩くとタワワな胸がプルプルと震える。


「うーん後でな」

「そ。じゃ私が伝えても良い?」

「え。でも…や?やや?」


ケバブ屋の前にミユリさんが立っている。ノッチラペルの無地スーツ。メイド服じゃナイのは珍しい。


「ごめん。続きは後で」

「テリィたん!あんなに鼻の下を伸ばして…」

「ミユリさん!」


呆れ顔のエアリ放置で声をかける。振り向いたミユリさんは…バッチリメイクしている。成人式かなw


「アキバには、いつ戻って来たの?」

「テリィ様…2,3日前です」

「スピアの話と違うな」


スピアの話では、ミユリさんは乙女ロードのハズ。


「みんなにはそう話しておいて、と私が頼んでおきました。気持ちを落ち着かせる時間が欲しかったので」

「わかるよ。ミユリさんがアキバを出る前は色々とあったからね…でも、もう大丈夫だ。異なる世界線からの侵略はなかったし、SATOはナセラが潰してくれる。もうすぐ全部カタがつくよ」

「そうですか。そうなれば、私達スーパーヒロインも安心出来ますね」


まるで他人事だ。ココは単刀直入に逝こう。


「ミユリさん。聞いて欲しかったんだ。僕とティルのコトだけど…」

「テリィ様。その話はもう結構です」

「僕は、ティルのコトは何とも思ってない。そのコトは彼女にも確認済みだ。まぁ今、こんなコトを話すべきじゃナイのカモしれないけど。はっきりさせたくて」


一気に話すが、アッサリ受け流すミユリさん。


「よくわかりました。実は、私も新しい生活を始めようと決めたばかりです」

「新しい生活?そ、そうか。ソレにしても今日のミユリさんは、とても…素敵だ」

「そんな」


初めてウレしそうな顔。萌え。


「変わったね。ミユリさん…」

「違うのです。今からバイトの面接を受けるトコロなので…」

「え。ウチのメイド長の仕事は?」


まさか、引き抜き?


「ソレが素晴らしい話が舞い込んで…あ。バレン議員、はじめまして!お会いするコトが出来て光栄です。ずっと憧れていたので」

「ミユリさんね?お世辞なんか言う必要はないわ。給料をもらうスタッフなら、ご機嫌取りも必要だけど」

「じゃお給料は、いただけないというコトですか?」


ナゼか笑い転げる2人。何なんだ?


「では、全て相談ね…はじめまして。貴方は?」

「コチラはテリィ様。御屋敷(トラベラーズビクス)のヲーナーです」

「第3新東京電力のテリィです。よろしく」


ミユリさんの紹介で翠髪の議員と握手スル。


「さ、ミユリさん。話はカフェの中でしましょう」

「はい、議員。ごきげんよう、テリィ様」

「ごきげん…よう?」


お嬢様学校かょw


第3章 Chat GPT


万世橋(アキバポリス)のラギィ警部のオフィスには、昼夜の区別がナイ。ブラインド越しの光はいつも鈍く、まるでこの部屋だけが時空から切り離されているかのようだ。


「容疑者を連行しました。任意同行ですが…何かヤタラと反抗的で」


刑事の声は、必要以上に乾いている。警部のデスクの前の椅子に座らされたメイド姿のマリレは、背もたれにだらしなく体重を預け、視線だけで室内を測っている。


「コレに見覚えはあるかしら」


ラギィが引き出しから取り出したのは証拠品用のビニール袋に入ったナイフだ。肩をスボめるマリレ。


「真っ赤なアーミーナイフ?秋葉原には5万本はありそうね。サバゲーショップでいくらでも売ってるし」


ラギィは薄く笑う。


「でもね、メイドさん。貴女の指紋がついたアーミーナイフとなると、話は別なのょ」


空気がわずかに沈む。


「そこにいる、ウチの優秀な刑事が突き止めた。先日、万貫森に落ちていたナイフの持ち主は貴女だと」


ラギィは立ち上がり、ゆっくりマリレの後ろに回る。


「数か月前、私に会ったのを覚えてる?」

「さあ。そんな昔のコトは…」

「じゃ私の口から言ってあげるわ」


ラギィは調書をデスクに置く。


「貴女は同僚メイドのエアリと2人、散々飲んで、車を乗り回し、あの森で馬鹿騒ぎをした。全部、ココに描いてある。描いたのは私だけど」


沈黙。時計の秒針だけが、不自然なほど大きな音を立てている。


「マリレ。貴女、あの夜、あの森で何か不審なモノを見なかった?」


マリレは、ワザとらしく少し考える素振りを見せてから、明確に首を振る。


「家鳴りくらい…かな」

「そうなの?」

「YES」


ラギィは席に戻り、ナイフを引き出しにしまう。


「忠告しておくわ。次に規則を破る時は…証拠を残さないコトね」

「わかったわ、警部」

「OK。じゃもう帰って」


マリレは、やや乱暴に椅子を引くと、さっさとオフィスを出る。ソレを見届けて刑事が小声で逝う。


「あのメイド、帰して良かったのですか?」


ラギィはブラインド越しに外を見たママ答える。


「良いわ」

「しかし、警部!」

「良いから」


刑事もオフィスを追い出される。1呼吸おきボヤく。


「でも、何かが臭うンだょな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「マリレ?テリィたんの指示?」

「違うけど…緊急事態なのょナセラ」

「テリィたんに無断で連絡して来ないで」


通話を切られるマリレ。


「また私は問題以外?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万貫森の発掘現場。白テントの下で、古びた中折れ帽をかぶった地質学者が坩堝に砂を落としている。


カチリと計測器が反応する。


「…やっぱり、ココか」


その瞬間、風が変わる。黒ワンピースの美女が森の影から姿を現す。エアリだ。歩き方はゆっくりで、まるでこの場所を最初から知っていたかのように迷いがない。


気配に気づいた学者は振り返る。


「やあ。確か君は、この前メイドバーにいた…」

「覚えててくれたの?」


エアリは軽く微笑む。その笑顔には、からかうような余裕があり、ソレだけでドギマギする地質学者。


「こんな森の奥で、ひとりで秘密の作業。気にならない方がおかしいでしょ」

「それで、何をしに?」

「さぁ何しにかしら」


エアリは、作業台のシャーレをのぞき込み、稜線から差す陽の光を受け、アンニュイに目を細める。


「それが、例の"骨"?」

「興味があるのかい」

「ええ。だって、貴方が見つけたモノだもの」


ばんばん直球のストライクが飛んで来る。学者は思わず立ち上がる。すっかり大切な出逢いと勘違い。


「地質学者なんて、夢のない仕事だよ」

「そう?地球の過去を掘り起こすなんて、すごくロマンチックだわ」

「そ、そーかな…」


その言い方がナゼか胸に残った地質学者は、ウッカリ口を滑らす。


「実は、今やっているのは放射能の調査さ」

「放射能?万貫森に?」

「1940年代、この森で"なかったコトにされた事故"があった。ニューヨークに落とされるハズだった新型爆弾が…」


エアリの表情が、ほんの一瞬だけ真剣になる。


「え。秋葉原は、ヒロシマのような…」

「まさか。ソンな大規模な臨界じゃない。ただ、安全かどうかを調べてる。正確には、ここに新しく化学プラントを建てられるかどうか、のね」

「化学プラント?何社の?」


地質学者は、声を潜める。エアリは、1歩、学者に近づく。近いのに触れそうで触れない微妙な距離。


「国際エネルギー資本。メジャーズだ」


昔のオイルメジャーみたいな奴?


「ねえ。それってマジで環境影響評価が目的なの?」

「…どういう意味だい」

「進化し過ぎた人類を、元に戻すための化学プラントだったりして」


学者は苦笑する。


「君はSFの読み過ぎだ」

「でも…貴方の目がウソを語る人の目じゃナイし」

「そ、そーかい?」


今日、何度目かの言葉を繰り返し、既に地質学者はエアリに言い返すコトが出来ない自分に気づく。その時、再び計測器が鳴る。


ピッ、ピッ、ピィー


「この森には"放射能で壊れなかった進化"が眠ってる。メジャーズは、ソレを管理するために敢えて核汚染を続けてきた」

「核汚染?メジャーズは、何を管理しようと言うの?大谷のホームランの本数?」

「…実は、人類が進化し過ぎないようにさ」


エアリは学者を振り返り、意味ありげに微笑む。


「私、しばらくココにいるわ。だって…」

「だって?」

「私達の物語は、今から始まるトコロだモノ」


"私達"とは"覚醒"した腐女子達のコトだけど、地質学者は勝手に"two of us"と勘違いスルw


「メイドさん。貴女と私は…」

「話はあと。秋葉原(この街)は選ばれたの。そして、貴方も…でも、良いカモ。少なくとも、メイドバーで毎日同じお給仕をスルよりずっと冒険っぽいと思わない?」

「カモしれないね」


万貫森の奥で、風がザワリと木々を揺らす。新しい物語が始まる。人類進化の浄化を図る者と、ソレをも超えようとする僕達との戦いだ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋。通称アキバポリス。


新幹線の高架を見下ろすラギィ警部のヲフィスは、旧電気街の猥雑な喧騒とは切り離された、無機質な静寂に包まれている。


「警部。早速本題に入らせていただきます。この音声は、レイカ司令官が初めて秋葉原を訪れた際、私と通話した内容を記録したものです」


バレン議員は、ポケットから出した再生端末を指先で軽く叩く。


"状況は?"

"まずはラギィ警部を探ってみるわ。彼女がすべての鍵を握っているハズ"


音声は唐突に途切れる。低く息を吐くバレン。


「以後、レイカは一切の連絡を絶ちました。官邸に戻った私に届くのは整合性のない説明。明らかな虚偽だけです」


ラギィは背もたれに身を預け、薄く笑う。声色は穏やかだが、そこに温度はない。


「バレン議員。忠告しておきましょう。"時空テロリスト"などという亡霊を追って、これ以上エネルギーを浪費するのはおやめになるべきです。下手をすれば、レイカ司令官のように、職を失うコトになりかねませんよ」

「…あら。気のせいかしら?」


一瞬の沈黙。バレンは挑むような視線。


「警部、まさかソレで私を脅しているつもり?」


ラギィは答えず、わずかに目を伏せる。そのとき、扉がノックもなく開く。


「警部、ちょっと…」


部下の刑事が顔を覗かせた瞬間、室内の空気がさらに張り詰める。ラギィの声は鋭い。


「来客中よ」

「す、すいません。お客様とは知らず…」

「すぐ行くから。外で待っていて」


追い払うように手を振るラギィ。


「ですが、検視の報告書が上がったんです」

「ご苦労さま。後で目を通すわ」

「実は…例の人骨に、不審な点がありまして」


凡庸な部下だったが、場に爆弾を落とす術は知っている。


「例の人骨?」


バレン議員が食いつく。


「実は、ある地質学者が地下層で骨を発見して……それが人骨かどうかも、まだ断定できない状況なんですが」


ラギィが即座に言葉を重ねる。


「未確認資料でしょ?後で正式に処理するわ」


その声は平静を装うが、バレン議員は見逃さない。

その時、ラギィの指先が微かに震えていたコトを。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


白衣の鑑識がピシッと背すじを伸ばし断言スル。


「ラギィ警部。ハッキリ申し上げます…コレは人間の骨です」


解剖台の上には、ほぼ人の形になるように骨が並べられている。まるで"見えない誰か"が、そこに横たわっているかのようだ。


「でも…ちょっと変なのです」


鑑識官は胸のあたりを指さす。


「ココを見てください」

「どれ?」

「ココです」


右の胸郭は形を保っている。だが、左側は…


「と、溶けてる!?」


1部の骨がドロッと固まり、1つの塊になっている。溶けた?胸郭の上に身を乗り出すバレン議員。


「火事で焼けただけじゃないの?」

「それが、違うンです。そもそも、骨はこんな風に溶けません。膨大なエネルギーが瞬時に噴出でもしない限り、起きない現象です」

「ふーん」


バレン議員は腕を組む。


「じゃ…放射能とか?ラギィ警部。秋葉原には、所轄の貴女がご存知ない放射能事故でも隠されてるのかしら?」

「ぐっ…OK。ハンソ刑事、詳しく調べて。私達は、とりあえず署に戻るわ。ペンタ鑑識官、結果が出たら直ちに連絡を。議員も…」

「あら?私はここに残るわ」


バレン議員は、にっこり笑う。


「はい?」


解剖室を出かけたラギィは、思わず振り返る。


「失礼ですが、議員。事件捜査は警察の仕事です」

「だからこそ、よ。申し訳ないけど、こんな事件、所轄警察に任せてられないわ。コレは人類の進化を左右しかねない問題なの」

「じゃ国連(ネルフ)にでも報告しますか?」


議員は骨から目を離さない。


「国連には、私から話をあげます。納得出来るまで、私はこの骨と一緒ょ。よろピンク?」


マジ?頭をかかえるラギィ。その時、部下のハンソ刑事がソッと耳打ちする。凡庸は存在自体が罪だ。


「警部。こうなった以上、あのメイドを呼んだ方が良いのではナイかと…」


バレン議員の目がキラッと光る。


「あのメイド?誰のコトかしら?」


解剖室に、ピリッとした沈黙が落ちる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


御屋敷(トラベラーズビクス)のバックヤード。休憩に入ったマリレは、お気に入りのチェアに座り、ほっと一息ついている。


「ちかれたびー。やっと休憩…」


そのとき…コン、コン。ドアがノックされる。


「はーい、今行きます」


ドアを開けると、そこに立っていたのは…


万世橋署アキバポリス警部のラギィです」

「えっ、警部!?」


マリレは目を丸くする。


「この前の件で、またお説教ですか? せっかくの休憩時間ナンですけど…」


その瞬間、マリレは言葉を失う。ラギィの背後に、もう1人。美人。だけど、とんでもなく目つきが悪い女が、じっとにらみつけている。


(な、なにこの眼力。目から光線が出ちゃう?)


眠気が一発で吹き飛ぶ。


「…ごめんね、マリレ」


ラギィの声は、いつになく低い。


「え? え?」


次の瞬間。


「マリレ。貴女を逮捕します」


冷たい声がピシリと告げる。


「貴女には、弁護士を呼ぶ権利があります。不用意な発言は法廷において…」

「ちょ、ちょっと待って!?何それ!?」

「権利、告知したから」


カチャン。


気づいた時には、両手が背中に回され、手錠がかけられている。


「えええええっ!?」


バックヤードに、マリレの声が響きわたる。


第4章 量子もつれの彼方


パーツ通りにある"タイムマシンセンター"。アキバにおける熱海の秘宝館的な施設だが、連日インバウンドで賑わってる。その前で、サングラスを外し、小さく息をつく南秋葉原条約機構(SATO)のレイカ司令官。


「ヲタクのお守りって、マジ楽じゃないわ」


センターの中へ1歩踏み入れ、サングラスを胸ポケットに差す。明る過ぎる照明、ざわつく声。彼女は、足早にホールを横切る…


「おい!アンタ、テレビで見たぞ!」


前に立ちはだかるインバウンドはアジアン。恐らくネパール人?レイカの鼻先に指を突きつけて叫ぶ。


「アンタ、頭のおかしな司令官だろ?」

「え!この人、あのSATOの女?」

「近づくな。イカれSATOのバカ女だ!」


レイカは何も答えず、視線を切って奥へ進む。ホールを抜けトイレへ。ドアを閉めた瞬間、世界は静寂を取り戻す。


「セーラーメーキャップ…なんてね」


彼女が、鏡の前で両手を組むと指の隙間から、白い光があふれ出す。一瞬の閃光。レイカの姿は揺らいで別の存在へ変わる。ナセラ。ロングのメイド服。


「あ、あれ?」


トイレから出ると、外にいたネパール人はビックリ仰天だ。思わず後退り。呆気に取られレイカ凝視。


「ごめんあそばせ。驚いた?」

「な、何なんだ…変身ショーか?」

「次回は17:20からです」


そこへラギィ警部が現れる。ナセラを見て顔にニンマリ微笑が広がる。シッカリと握手を交わす。


「おかえりなさい。ようこそ、時空旅行クラブへ」

「また、みんなと会えて嬉しいわ。で、私をアキバに呼び戻した理由は?」

「貴女と…バレン議員との関係だけど、確認が必要かなと思ってるの」


メイド長のミユリさんが言葉を選んで話す。僕達もボックスシートに徐々に集まる。ナセラは即答だ。


「百合ょ」


だろうと思ってたが、やっぱり思い切り顔をしかめるミユリさん。メイド達はクスクス忍び笑い。特にマリレ&スピア。


「百合…なの?」

「YES。ソレも去年の夏から、かなーり深い関係。私、あの淫らな誘惑に勝つコトは出来なかった」

「そ、そーゆーモノなの?」


学級委員タイプのミユリさんの理解を超えるw


「でも、その百合が招いた結末がコレょ。レイカの骨が発見されたけど、胸郭の1部が溶けてる。万世橋(アキバポリス)は人間の仕業じゃないと結論づけたわ」

「その事実を知っている者は?」

「バレン議員、万世橋の刑事、鑑識…」


数え上げる前に結論を逝うナセラ。


「わかった。全員、殺しましょう」

「おいおいおい。違うだろ?」


僕は、ナセラの前に立つ。


「ナセラの任務は、この世界線の存亡に関わるメイド4人を護衛するコトなんだろ?だったら、ムヤミに殺すな。そんな殺しまくってたら、いつかは自分の身にふりかかるだけだ」

「テリィたん。草食ヲタクの貴方が平和主義を唱えるのはワカル。でも、貴方はアキバの王カモしれないけど、この世界線の王ではナイ。選択肢は2つ。戦うか、戦わずに滅びの日を待つか」

「だからさ…」


さらに反論を試みるがメイド達は聞く耳を持たズ、ジッとミユリさんの一挙手一投足を注目している。


「ダメょ殺人は許しません。コレは命令です」


ミユリさんの声は、抑揚はナイが強い。


「…わかりました、第3皇女閣下」


ナセラは、アッサリ肩をすくめる。何なんだ?第3皇女?扶養の控除みたいな奴か?ミユリさん何者?


「でも、問題はマリレです。骨から"ビタミンZ"が検出されたら、SATOは彼女を解剖室送りにスルでしょう」

「ならば、骨を奪い返しましょう。骨は何処?」

「SATOが輸送中です。場所は不明」


エアリが静かに首を振る。


「ミユリ姉様。念のために言っておくけど、骨を見つけたトコロで問題の解決にはナラナイわ」


エアリの念推し。だが、ミユリさんは揺るがない。


「とにかく…探しましょう」


うなずくメイド達。アキバ発の小さな決意が、静かに時空へと広がって逝く。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


議員の秋葉原オフィスは、タワマンの1室にある。窓の下遠く、アキバのネオンがホログラム広告と混ざり合い、現実と妄想の境界を溶かしている。


「まだいたの?もう帰りなさい」


メイド姿でデスクの書類を整理しているミユリさんに、議員が声をかける。


「はい。もう少しだけ。データと紙の記録が一致しなくて」

「オフィスが労働法違反で訴えられるのは勘弁よ」

「まさか」


ミユリさんは、笑いながら端末を閉じて、紙の束を几帳面にそろえる。そのとき、ドアの生体認証ランプが赤から青にチェンジ。静かにドアが開く。


現れたのは…月面基地用のジャケットにインナー。


「レイカ司令官?」

「ダニエと呼んで。もうSATOの公式記録に私は存在しない。今の私はタダの腐女子ょ…助手を雇ったの?」

「YES。インターンのミユリさん」


ミユリさんとレイカの視線が交差する。その一瞬で、ヲ互いに相手が"普通じゃない"と理解スル。


「で。南秋葉原条約機構(SATO)をクビになった元"時空テロリストハンター"が、どうして秋葉原に?特殊部隊を再結成するには、最悪の場所じゃない?」


窓に近づき、電気街を見下ろすレイカ。


「構わない。今日は新たな獲物を追ってきたから」

「新たな獲物?何かしら」

「インターンの前では言えないし」


バレン議員はミユリさんを振り返る。


「あ。センセ。私、向こうの部屋から、フォルダを取って参ります」


気を利かせて退室するミユリさん。ドアが閉まった瞬間、部屋の空気が変わる。勝負に出るレイカ。


「貴女に会いに来たの」

「よくそんなコトが言えるわね!議会で、私に恥をかかせたくせに」

「2人きりの時は、政治の話はヤメない?」


ヤメない議員。


「その政治が目的で、私を抱いたのは誰なの?」

「確かに、初めは政治だった。でも、今は違う。貴女の魅力が私の心の中の"真実の百合"を目覚めさせたの」

「レイカ…」


レイカは、議員の耳元に顔を寄せる。触れそうで触れない距離だ。思わず目を閉じ、息を詰める議員…


「失礼しまぁす!」


フォルダを胸に抱えたミユリさんが勢いよく戻って来る。2人は互いを突き飛ばすようにして距離をとる。


「…タイミングが完璧ね」


バレン議員は慌てて咳払い。


「ミユリさん。今夜はソコまでで良いわ。貴女も戸締りして帰って。よろしくね」

「じゃメイドのインターンさん。悪いけど、お先に失礼スルわね」

「いってらっしゃいませ、お嬢様」


並んで消える2人。実は、元SATO司令官と議員。


残されたメイド服のミユリさんは、深く息を吐く。

そして壁の一部をタップすると、何と隠し扉の向こうから現れたのは、他ならぬ僕だ←


「急ごう。あの2人、直ぐ戻ってくる」

「まさか。大丈夫ですょテリィ様。もう今宵は戻らないと思います」

「百合って…激しいンだな」


遠く電気街のネオンが一瞬だけノイズを走らせる。

まるで、街そのものが再起動を始めたかのように。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の拘置場は地下にアル。薄い照明がコンクリートの壁を冷たく照らす。マリレは

ベッドに腰掛け、手錠の鎖を指先で(もてあそ)んでいる。


鉄扉の鍵が回る乾いた音。ラギィ警部だ。


「話す時間はあまりナイの。で。マリレ、わかってるわょね?超能力を使ってココから脱走しようなんて考えナイで」


警部の声は低く、しかし柔らかい。


「今は大人しくココにいるのがベストょ」


マリレは視線を上げない。


「ミユリ姉様も、同じコトを言ってたわ」

「でしょ?とにかく!こんなトコロに閉じ込められちゃ辛いでしょうけど」

「仕方がナイわ」


マイケルは微笑み、トンでもナイ事実を口にスル。


「だって…私は人を殺したんだモノ」


警部は一瞬ためらい、それから留置所のベッドの隣に腰を下ろす。2人の肩が微かに触れる距離だ。


「マリレ。貴女が殺した女は、女スパイのトポラを殺し、SATOのステブ捜査官を殺し、他にも大勢殺してるわ」


警部は、真っ直ぐ前を見たママ続ける。


「貴女がヤラなければ、私も消されてた」


沈黙。


「…それでも」


低くつぶやくマリレ。


「私が彼女を殺した事実は変わらないわ」


指先が震え、鎖がかすかに鳴る。


「…あれから、ずっと考えていたの。今から起こるコトに備えようとしてた。でも、何をすれば良いのか…まるでわからなかった」


マリレは警部の横顔を見る。近過ぎる距離に微かな体温を感じる2人。


「毎日が考えるだけで終わっていく。どんな敵が現れるのカモわからないママ…だから、何も指示しないテリィたんや、基本、テリィたんの言いなりのミユリ姉様に腹を立ててた。でも、今、わかったわ。きっと姉様達もわからないンだわ…あぁこのママ、敵が来るのを待つだけなんて」


声がかすれる。


「もし、私の超能力が、敵を倒せるほどのモノじゃなかったらって思うと怖い」


警部は、ゆっくりマイケルを見る。


「…それでも、マリレは1人じゃないわ」


その言葉がマリレの胸に静かに沈む。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


デスクライトの白い光がミユリさんの横顔を浮かび上がらせる。影になった頬のラインが艶っぽい。


僕は、何も言えずに、ただ彼女を見ている。


「…そんな風に見られると」


ミユリさんが、視線を外したまま言う。


「集中できません」

「集中してる。ミユリさんが考え過ぎてるだけだ」

「ウソ」


お互い即答だ。だが互いに距離を詰めている。ミユリさんは調べていた引き出しを閉めて立ち上がる。

振り返った瞬間、僕達の距離は思った以上に近い。


「テリィ様」


低い声。アキバの夜に溶けるような響き。


「私達が"元に戻る"って、どういう意味?」


僕は答えない。いや、答えられない。ミユリさんのワンサイドゲーム。一瞬、言葉を選ぶミユリさん。


「私が音波銃で撃たれた事件の前?それとも、何も知らズに無邪気な推しとTO(トップヲタク)の関係でいられた、あの頃?」


沈黙が落ちる。遠くで、空調の音だけが鳴る。


「…戻れない」


僕は、やっと言葉を発する。


「骨のせいじゃない。ビタミンZのせいでもない」

「じゃ何?」

「ソレは…」


ミユリさんは、真っ直ぐ挑むように僕を見る。


「ミユリさんだょ。すべてミユリさんが、知ってしまったからさ」


すると、ミユリさんは驚いたように目を瞬かせ、小さく息を吐く。改めて探りを入れて来る。


「ソレって…人類進化の話ですか?それとも…」


1歩、ミユリさんが近づく。僕の胸に、ほとんど触れる距離だ。そして、僕の目を真っ直ぐに見て逝う。


「私自身の話でしょうか」


僕は、口を尖らす。


「両方だ」


視線は絡み、ほどけない。


「ミユリさんは、もう戻れない立ち位置だ」

「エアリ&マリレと一緒に?」

「…YES。全てのスーパーヒロインと共に」


ミユリさんは笑う。微かに覚悟を含む笑み。


「だったら、なおさら逃げません。私は、知りたいのです。この世界線のコトや…」


一瞬、声が揺れる。何?


「テリィ様が何を恐れてるのかも…守って差し上げたいから」


僕は思わズ手を伸ばしかける。だが、スーパーヒロインに触れる直前で止める。その距離が逆に熱を生む。


「ミユリさん。君は危ないメイド長だな」

「知ってます…でも、貴方も危ないヲタクだわ」

「…OK。ところで、ちゃんと事情を説明してもらえるか?どうして、その骨を奪還しなくてはいけないのかな。ビタミンZって何?」


ミユリさんは語る。白衣とか似合いそう。


「Zは、今まで地球上には存在しなかったビタミンの同意元素です。マリレがレイカを殺した時に生成されました」

「つまり、マリレの超能力でビタミンZなる物質が生成されたワケ?」

「YES。だから、ビタミンZが検出される前に、あの骨を奪還しないと、マリレはSATOに捕まって解剖室送りです。恐らく私達も」


アキバの地下で行われてた腐女子狩りの恐怖が蘇る。


「議員は、あの骨を恐らくアキバ工科大学の量子もつれ研究所で調べるつもりです」

「AITだね?去年開設された大学だ」

「YES。もつれ研究所には、最新型の"量子"加速器が導入されました。同意元素の中性子の数を測定出来ます。骨が異なる世界線由来の物質だと疑っているのなら、きっと"もつれ研"で調べるハズ…」


力説するミユリさん。フト頰を赤らめる。


「…そんなにビックリした顔で見ないで…私が科学ヲタクなのは御存知でしょ?」


ミユリさんは、恥ずかしそうに僕を見る。さすがは僕の推しだ。惚れ直す。僕達の影は、壁で重なる。でも、身体は、まだ触れない。


「"もつれ研"に参りましょう。夜の帳の開けぬ間に」

「…ソレは、推しゴトかな」

「え。」


僕の問いに、ミユリさんは一瞬黙ってヲトボケ顔w


「さぁどうでしょう」


意味ありげに微笑む。alright you win。


「わかったょ。でも、メイド長。1つだけ約束しろ」

「はい。何をでしょうか?御主人様」

「僕に推されたコトを後悔スルな」


ミユリさんは、僕の目を真っ直ぐ見つめ返す。


「もう、とっくに後悔してます。だから…推して」


僕は小さく笑う。


「…マジ面倒な推しだな」

「今さら?」


ミユリさんは、肩をすくめる。僕達は、2人並んでオフィスを出る。電気街の夜は、まだ深い。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


深夜のパーツ通り。ネオンが濡れた路面に滲む。


「この通り、夜になるとマジ誘ってくるな…」


嫌いじゃない。が、ウカウカ歩いてたら、横丁から腕が伸びてきて強引に引き寄せられる。吉原かょ?


「ちょ、僕の抱き寄せは事前予約制だぞ」

「黙って。今はplease"連れて行かれる顔"」

「君の腕、無駄に優しいな」


横丁に連れ込んだのはナセラ。ロングのメイド服。


「だって、力を入れたら貴方は逃げるでしょ?」

「アキバは、夢と嘘が等価で並ぶ街だ。ナセラならどっちを買う?」

「返品できる方」


"タイムマシンセンター"のネオンが僕達の顔をカラフルに明滅させる。僕達は少し笑う。


「で、何かわかったの?」

「明日の朝、例の骨はアキバ工科大学に運ばれる」

「AIT?新設校ょね?銅像でも建てるのかしら」


遺憾無くピンボケなナセラ。


「しかし、何だかテリィたん、勝手にウキウキしててウザいンだけど」

「勝手に夜が僕に絡んでくるんだ」

「絡ませ方を知ってる顔だわ」


どんな顔だょ!


「絡ませ方は勉強中だけど…ところで、どうやってバレン議員の気を引いた?」

「ノーコメント」

「一番艶っぽいコメント、thank you」


ナセラは睨みながら顔を近づける。


「ティルとテリィたんは?どーなってるの?」

「(名前を並べる順番が逆だが)質問が冷たいのに、距離が近いな」

「トボけないで。セックスはしたの?」


ストレート。前戯ナシw


「NO。実は童貞だ」

「このSF、登場人物の半分が元カノって設定ょ?とにかく!その童貞、じゃなかった、そのテキトーさが世界線を乱すの。どーするつもり?未来が変わるのょ?」

「あのさ。僕達ヲタクは、アキバでヲタ活を楽しみたい、ソレだけナンだ」


コチラも即答が帰ってくる。


「ムリ。今のアキバでヲタ活が楽しめると思う?」

「楽しめない前提で聞くな。こんな毎日はコッチだって願い下げさ。僕は"第3皇女"じゃない…ってか第3皇女って誰?クシャナ殿下?」

「自己申告は禁止。とにかく!テリィたんは願望と宿命を混同しないコト」


え。ティルの、あの深い深ーい胸の谷間は願望ではなく宿命だったのかウーン。ミユリさん、ゴメン←


「あのぉ今、心の中で淡い妄想が前に出た」

「抑えなさい。現実を見るの」

「ROG。"理性フィールド"全開…」


てっきり激怒スルと思ったら、ナセラはウィンク。僕の鼻先で片目を瞑って指鉄砲を撃つ仕草。僕には触れズにね。


「触れない方が、長くて熱い時もアルでしょ?」


背を向け歩き去る。香りだけが残る。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


パーツ通りから1本入った暗い横丁。


「…誰かいる?」


1人になったナセラは、視線を感じて周囲を見回すと…白い頭巾?が落ちている。頭巾?ソレはよく見ると、白い皮膚で出来た頭巾?頭の抜け殻だw


「大変だわ。彼女達が来た」


暗い路地に目を凝らす。その"気配"は消え去る。


第4章 頭巾ズの襲来


後にノーベル賞続出の常勝天才大学の名を欲しいママにするアキバ工科大学。その量子もつれ研究所は無限エネルギー庁の所管だ。


「…コレが"もつれ研"か。外見的には横の学食と変わらないな」

「テリィたん、黙ってて。ほら、バレン議員ょ」

「その箱、落とさないで!」


官邸の黒いSUVが止まり、ギャアギャアうるさいバレン議員を降ろす。骨はジュラルミンの箱に入ってる。


「下がってください。ソコのメイドさん!」

「はーい」

「従順すぎない?いつもと別人?」


いや、同じメイドだ。エアリが警備員の注意を引く隙に、桃色へそ出しメイド服のティルが、物陰に溶けるようにして"もつれ研"に忍び込む。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


もつれ加速器のコントロールルーム。


「2分後、実験開始です。カウントダウン開始」

「完璧ね。世紀の瞬間だわ」

「ご期待ください、バレン議員」


CRTの光に照らされ、議員は満足げに微笑む。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


もつれ加速器フロアに直結スル入口ゲート。


「すみませーん。ちょっと、お聞きしたいんですけどもぉー」

「何?俺はタダの警備…」

「ソレが道に迷って。学生会館に行きたいのん」


甘い声にチラ見した警備員の動きがピタリと止まる。ヘソ出しメイド服で微笑むエアリ。実はモノホンなのにコスプレっぽく見えちゃう7色に輝く妖精の翅。


「…コ、コレは白昼夢?え。学生会館?」

「元カレにもよく言われたわ。方向音痴だって」

「元って…今はフリーなのか?」


必勝ワード「元カレ」に警備員がビンビン反応。


「メイドさん!案内するよっ!さぁ!」

「ありがとう。なんて優しいの」

「良く言われる」←


物陰でミユリさんが小さく親指を立てる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


コントロールルーム近くの物陰。


「実験スタート75秒前。幻覚スタート」

「ありがと、ティル。may the wotaku be with you」

「姉様、急いで。コントロールルームの中は8人。全員に同じ幻覚を見せるのは僅かな時間ょ」


もつれ加速器の上部ハッチが開く。中は青い照明の円形トンネルだ。間も無くココには高密度の…


ミユリさんは、息を整える。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


もつれ加速器のコントロールルーム。


「加速器、hot standby。もつれ準備完了」

「始めましょう」

「はい、議員。enter」


システム全体が唸り出す。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


もつれ加速器の円形トンネル内部。


「…熱い。みんなと同じセパレートタイプのメイド服にして正解だったわ」

「姉様!幻覚、全力。数分が限界ょ」

「ROG。やるしかない…may the WOTAKU be with me …か」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


もつれ加速器のコントロールルーム。


バレン議員の眼光は鋭い。鋭いのだけども…彼女が見ている加速器の上部ハッチは"閉じたママ"だ。


「議員。システム、オールグリーン。もつれは正常に加速しています」

「順調なの?」

「ja。on time。もつれ加速スタート!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


もつれ加速器の円形トンネル内部。


目には見えないが恐らく紫色の光の奔流が"圧"を伴い流れ出す。狭い加速トンネルの中を歩いていたミユリさんは吹っ飛ばされてアラレもない格好だ。


hallelujah(コレは幻覚か?)!


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


もつれ加速器ルーム近くの物陰。


ティルは、自慢?の深い胸の谷間がプルプル震えるほどの集中力で必死に議員達に幻覚を見せている。


「姉様!ミユリ姉様!私、もうラメぇぇぇ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


もつれトンネルの深部。


「…間に合って。お願い…」


ミユリさんが手を伸ばすと"骨"は紫の光の奔流の中で、さらに強い紫の"電光"に包まれて逝く。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


コントロールルーム。


「システム、スピードアップ」

「スキャン、10秒前」


その瞬間…


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"開けっ放しだった"もつれ加速器の上部ハッチからアラレもない格好のミユリさんが脱出。その瞬間ティルは四肢をピクンと痙攣させ、議員とオペレーター達は、一斉に瞬きスル。


「システム、異常なし」

「今、何かあった…かしら?」

「いいえ、議員。何も」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


オペレーターが議員に資料を差し出す。


「バレン議員。"ビタミンZ"なる同位元素は存在しませんでした」

「そんなバカな!カーボンデーティングは?」

「ちょっと!カーボンデートって何?SDGs?」


オペレーターが説明スル。


「骨の中に残存する炭素同位体の数を測定します。炭素同位体の残存量は、生命体の死亡年数と密接な関係があり…」

「はい、アウト。次」

「つまり、骨の持ち主?がいつ死んだかがワカルというコトです。死亡は約半世紀前。コレは、第2.5次世界大戦末期のサイパン逆上陸作戦で奪取し、持ち帰った原爆による誤爆事故と年代が合致します」


黙り込むバレン議員。


「納得できない結果だわ」


怒りを抑えきれズ去って逝く。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


御屋敷(トラベラーズビクス)のバックヤード。


「骨を老化させれば、マリレの容疑は晴れると思ったの」

「thank you、姉様。命拾いしたわ」

「とにかく、全て上手くいったわ」


みんなでコーヒーを飲む。無言で座るティル。


「あら。誰かのお誕生日?」

「コトナ?未だ残ってたの?別に何でもないわ」

「そう?おやすみ、マリレ」


マリレの耳元でささやく。空気が揺れる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


コトナが消えた後のバックヤードは大騒ぎだ。


「マリレ!今のは何なの?貴女、コトナとつきあってるの?私、納得出来ないンだけど」

「コトナとはつきあってナイ。あと確認スルけど、スピア。貴女とも私、別れたから」

「何ソレ?ソレも納得してない。マリレ、貴女の百合相手は、世界線が選ぶエアリってコト?」


立ち上がるマリレ。


「ソレも関係ナイから」

「私は…ねぇミユリ姉様も何とか言ってょ!」

「待て。ミユリさんは取り込み中だ。なぁミユリさん、1つだけ聞かせてくれ」


スキマ風。薄い沈黙。


「ミユリさん。少しだけ元に戻れないか」

「…無理です、テリィ様」

「どうして?さっき…」


ミユリさんは、僕の二の腕に触れている。その一瞬で、彼女は、僕の脳内を隅から隅まで見てしまう。


「…おやすみなさい。テリィ様」


げげ。三下り半だ。棒立ちになる僕…突然、扉が開いて誰かが倒れ込んで来る。


ナセラ?


全身が黒焦げで、ロングのメイド服は焼け落ち、ほとんど下着姿。アチコチからの出血が黒く凝固してる。


「ナセラ?!大丈夫?誰にヤラれたの?」

「…来てる。第3皇女」

「誰、誰が来てるの?ナセラ!」


既にナセラは虫の息だ。


「…頭巾ズ」

「死なないで、ナセラ!」

「…秋葉原に…来てる…」


目から命の光が消えて逝く。


「マジなの?」


窓の外、どこかで布が擦れるような音。


「次は…誰の番?」


闇の中、視線がひとつ、確かに残る。



おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"新しいシーズンに新しい敵"をテーマに描きました。今回、初めてChat GPTを使ってみましたが、頼りになる専属編集者って感じで、大変頼もしく感じた次第です。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、中国人はいないけど、その分韓流が存在感を増してる?秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ