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Hougaku  作者: 七聖つくね
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「あーもしもし、今大丈夫?…うん。そうそう、こないだ言ってた新曲なんだけど。その件で話したいことがあって…」


 俺は、ある人物に電話をかけていた。

 その相手には制作中の曲について、聞きたいこと、いや、語りたいことがあったのだ。


「…ありがとう。助かる。実は一つ頼みがあってね…。」

 電話の向こうの声は俺の相談を快く受け入れてくれた。


 しかし、俺は思い出した。しまった、今日はオンラインライブをする予定だった。最近ずっと新曲のことばかり考えていたものだから、すっかり忘れていた。1か月前の俺が設定したリマインダーが通話を遮る。悪いが、この電話の続きはまた今度にしよう。そう相手に謝って、俺は急いでライブ配信を始めた。

「皆さんこんばんは。ちょっと遅れて申し訳ないです。」  

 深夜近くでこの動員はまあまあと言ったところか。セトリはテキトーだし、軽く小話しながら既存曲か流行のポップスでもカバーしよう。

 

                     ***


 生き物は選択しなければならない。人間だってそうだ。何を食べるか、誰を愛するか、何者になりたいか、問いは限りない。その答えに時に納得し、時に後悔しながら人は生きているのだ。そしてその軌道を描く「道」は、切り開いたはずの本人でさえも惑わし、どの分かれ道が正しいルートだったかを忘れさせる。

 俺もその人間の一人であり、選んで選んで選んで、今の俺を生きている。葛藤と希望でぐしゃぐしゃになった問題用紙に何度も走り書きをし、覚悟を決めて人生の解答用紙にマークをつけ、無我夢中で進み続けた。

 

 少しネタバレをしてしまったが、きっとこの話が区切りをつけるとき、この意味の全てが分かるだろう。百聞は一見に如かずだ。

 

 俺は画面に向かって言った。

 「では聞いてください。」

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