再びのシーサーベラス
おいおいおい。こいつ復活するのかよ。
「おい、ドラゴン、狩人、またいけるか?」
「おう」
ワクワクを隠しきれない様子のリュヌが声をかける。本当に戦闘狂だ。まぁ、矢はまだあるし、俺は大丈夫だと頷く。同時にラリマーがドラゴン姿に変身した。いけるということだろう。
「アタシも、いける。またダメージコントロールは任せて良いのか、血の魔族?」
そういえばさっきも同時撃破できたのはリュヌが攻撃テンポを指示してくれたからだ。流石戦闘狂なだけあって経験値が多いのか?こんなレアそうな魔物、じゃない、眷属だったか、に対しても?
「あぁ、血の匂いでダメージ量はわかるからな」
なんと、種族チートだった。ダメージ量がわかるなら同時撃破の難度は確かに下がる。たまたまとはいえ、リュヌが来てくれたのは幸運だったようだ。
「…それでは、神官さんは僕と。かわいいドラゴンさんのためにも、全力でお守りしますよ」
「あ、これはどうも。僕はアイオです。アイオ=セージ。ここから北方の街の教会に神官として勤めさせていただいております」
「これはご丁寧にありがとうございます。僕はキイト=フォン=ローランド、ローランド地域の領主代理を勤めております」
なんか、そこだけ穏やかそうな空気感だが、ちょっとそれを待ってくれる相手でもなさそうなのでこちらは手早く戦闘準備に入る。
「指示するまではひたすらダメージを与えろ!」
言いながらリュヌの陰がシーサーベラスの右の頭に襲いかかる。もうワクワクを抑えきれないって顔してるんだが、あの戦闘狂。
リュヌが攻撃を開始したことでまずはリュヌが標的とされたようで左右2つの頭がリュヌに迫る。まぁ、それを見送ってやる必要もないな。
ターン、と小気味良い音を立てて左の頭の目を矢が射ぬく。
ぎしゃぁぁっ!
またシーサーベラスが首をくねらせるようにして陰と矢から逃れようとする。
それらの動きを横目に、後ろから4色の槍が飛んで行った。ラリマーも先ほどと同じ戦法のようだ。4色の槍の中で一際反応のあった火の槍を膨大な魔力量に物言わせて叩き込む。
ぐぎゃぁぁぁっ!
暴れながら、今回のシーサーベラスは赤黒い火の玉を乱射してきた。あっぶねぇな。
「っ!学者センセっ!」
俺とリュヌはそもそも迎撃も難しいので先程同様火の玉を避けていたが、ラリマーは今回空中から翼をはためかせた風圧で叩き落としていた。どうやら後ろの神官たちを守ってくれてたようだ。だが、いかんせん数が多く捌ききれなかった火の玉がアイオとキイトの方に向かう。
「大丈夫ですよ」
涼しげなキイトの声と共に火の玉が掻き消える。なにがあった?そういえば、海上でのシーサーベラス戦のときもこいつの武器がなんなのか見えなかったんだよな。
「よ、よかった…。ありがとな、ローランド」
「いえ、貴女が火の玉の数を減らしてくださっていたからですよ。こちらこそありがとうございます、可愛らしいドラゴンさん」
「お二人ともありがとうございます」
よく見ると自らを盾にするようにして小さな精霊王を背中に庇っていたアイオが礼を述べる。
「真ん中、そろそろ攻撃再開しろ」
背後のそんなやり取りなど気にせず攻撃を続けていたリュヌが声をかける。火の玉を避けた組は直ちに攻撃に移行していたので左右の頭はダメージが継続していたが、防御に回ったラリマーは攻撃が止まった分ダメージが止まっている。だが、いつから攻撃再開すれば間に合うかとかは相手の体力残量がわからないと判断できない。本当に、同時撃破のために便利な種族チートだな。
「悪い」
一言謝罪してから4色の槍が飛ぶ。今度は風が効いたようでそのあとは緑色の槍が大量に飛んでいく。
しゃぁぁぁっ!
今度は長い尻尾を振り回す。海上戦とはだいぶ相手の動きも違うようだ。
近接攻撃なら後衛の心配もないので今度はラリマーもその巨大がどうしてそうも素早く動くのか不思議なくらいの軽やかさで攻撃を回避する。避けられたシーサーベラスはそれが気に食わなかったかのようにしばらく尻尾を振り回していたが、やがて諦めたのかそれぞれの頭部で噛みつこうとしてくる。
「ちっ!」
混戦になったせいで思っていたのとは違う頭部にダメージが入ってリュヌが舌打ちする。たった一撃を問題視したってことは、そろそろ撃破か?
「左、攻撃一回分待機。真ん中、トドメは物理攻撃でいけ」
海上戦の反省を踏まえてランダム属性の影響を受けないトドメを要求するリュヌ。ラリマーも応えるように接敵していく。俺もリュヌ、ラリマーの攻撃一回分を見送ってから矢を射掛ける。
ぐぎゃぁぁぉ!
弾幕のように攻撃が降り注ぐ中で、3つの頭部がひび割れていく。
ぎしゃぁぁぉぅっ!
断末魔を遺して、シーサーベラスがその巨体を横たえる。
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