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遠くの君と想ういのち  作者: 衣緒
冒険者編
37/43

樹魔族ローラの育てた土地

 「ふふ、絵描きは趣味なのですよ、可愛らしいドラゴンさん」


 キイトがにこりとラリマーに微笑みかける。


 「あのしんか-」

 「わああああ!」


 何か言いかけたのを必死の叫びでラリマーが止める。ドラゴンの巨大で叫んだもんだから、正直かなりうるさい。

 ただ、止められたことで何か察したらしく、キイトはにこやかにその視線をラリマーに乗っている神官に向けた。当の神官は突然叫び出したラリマーに驚き心配していたので気付いた様子はなかったが。


 「お前も、あの空の島にいたな」


 そんなやりとりを横目に、リュヌがキイトに話しかける。


 「ええ、ご無沙汰しております、リュヌさん」


 名指しで挨拶されてリュヌの目が細められる。そうだよな、あれだけ寝てたイメージの強いひよこ帽子が自分の情報掴んでたらビビるよな。俺も狩人と言われた時そうだった。うんうんと頷きながらやり取りを見守る。


 「お前は、何者だ?人族(ヒューマン)だと思っていたが…」


 言いながらキイトの足元に伸びる蔦を見やる。って、蔦?よく見るとその蔦は陸地から伸びて足場の役割を果たしているようだ。なるほどと遅ればせながらキイトが海上戦に参加できた理由に納得が行く。だが、この不自然な伸び方をしている蔦は…


 「僕はおっしゃる通り人族(ヒューマン)ですよ?ですが、生まれた地のおかげで、少し、他の方よりも樹魔族(ドライアド)からお力をお借りできるのです」


 そう、あの蔦の感じは、樹魔族(ドライアド)だ。

 キイトの声に応えるかのように、Bランク試験にいた樹魔族(ドライアド)の女性が蔦の先に突然できた蕾の中から現れた。見覚えのある花冠が陽光を反射して煌めく。


 「皆様、ごきげんよう」


 いや、こちとらついさっきまでシーサーベラスと戦ってたのであちこち傷だらけだし疲れてるしで、決してご機嫌ではないんだが。相変わらずマイペースな種だ。


 「お前も空の島にいたな、樹魔族(ドライアド)。人を子供扱いしやがって…」


 試験会場でなにかあったのかぶつぶつと文句を言い始めたリュヌには構わず、花冠の女性はゆったりとした動作でふわりとスカートをつまんで礼をした。やけに様になったその動きは、多分貴族的ななんかなんだろう。


 「シオンありがとう、無事に精霊王を探し出してくれた、よかった。キイト、お役に立った?」


 まるで自分の子供かのようにキイトを示しながら問う。どういうこと?まぁ、助かったのは事実だ。そういえばきちんと礼をしてなかった。


 「あぁ、キイトの絵のおかげであの夢が精霊王のことだってわかったしな、助かったよ」

 「お役に立てたようでよかったです」


 にこりと綺麗に微笑んでキイトが応える。金髪碧眼で整った顔立ち、優雅な動作も相まってどこかの貴族みたいだ。頭の上のひよこ帽子さえなければ。


 「…」

 「…シオンさんは、ローランドという地をご存知ですか?」


 どう聞くか考えていたのに気づいたのか、キイトが口を開いた。だが、知らない名前だ。首を振って知らない、と伝える。


 「ローランドは、北の方の土地だよな?領主は樹魔族(ドライアド)だけど、実際の領地運営は領主代理の人族(ヒューマン)が行ってると聞いたことがある」


 流石運び屋、大陸全土に詳しいと神官に言わせしめた知識量だ。


 「ええ、その通りです。ローランド、ローラが治めた土地です。人魔界統合の際に樹魔族(ドライアド)のローラが植物の育成を助けるためもあり治め始めたのがローランドの興りと言われております。ですが、土地に住まう民に関しての(まつりごと)には、その、植物の世話で手が回らず…」

 「いい。単に樹魔族(ドライアド)、政治興味ない」


 なんとか言い回しを考えていたらしきキイトの努力も虚しくなるくらいキッパリと切り捨てる花冠。まぁ、そういう種だよな、樹魔族(ドライアド)。流石の対応に苦笑を浮かべつつもキイトが説明を続ける。


 「こほん…。まぁ、適材適所ということでローランドの植生に関しては樹魔族(ドライアド)が、領地としての運営に関しては僕ら人族(ヒューマン)が行っているのです」

 「キイトは、領主代理、キイト=フォン=ローランド。だから、樹魔族(ドライアド)のお願い、聞いてくれる」


 いや、それパシリだって言っちゃってないか?本人たち笑ってるしいいのか?


 「樹魔族(ドライアド)には多少ながら予知の力があるようですので、そのお力で幾度もかの地の危機を救って下さっているのです。おそらく、今回のシオンさんの助けになればいい、とメルに行くようにお話されたのも、なにかの意味があるかと」


 絶対的な信頼感だった。

 具体的に何のためともわからないまま、助けに来てくれたようなので少し今時点での推論を話すことにする。



♢♦︎♢♦︎♢



 「…なるほど、精霊王様が黄泉の世界にお隠れになられたかもしれないと。確かに魔物や疫病が増えてきている感じはありましたね。それを、あの試験の段階で予知していらしたとは、リーフィ様は流石ですね」


 花冠の樹魔族(ドライアド)はリーフィというらしい。こくこくと頷いて賞賛を受け取っていた。


 「それで、この下の魔法陣を通れば黄泉にいけるのですか?」

 「あぁ、多分な」


 こればっかりは俺たちもまだ未確認だ。なんせ、確認しようにもついさっきまでシーサーベラスが魔法陣の上に陣取っていたのだから。


 「ちなみに、黄泉から精霊王さまをどのようにしてお連れするのです?」


 無垢な表情で、当面の問題点を突かれて思わず空を仰ぐ。そう、どうするかなぁ?

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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