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遠くの君と想ういのち  作者: 衣緒
冒険者編
36/43

シーサーベラス

 「お前たち、シーサーベラスについて知識は?」


 リュヌに問われ、首を振る。そもそも見たことも聞いたこともなかった。


 「ケルベロスの亜種だよな、こいつ。てことは、3つの頭の同時撃破が討伐方法か?」

 「…ほぅ。その通りだ」


 リュヌは答えられたのが意外だったのか、驚いたそぶりを見せてから肯定する。


 「そこのドラゴンが言った通り、3頭部を同時に撃破する必要がある、各自1頭部、いけるか?」

 「アタシは、悪いけど属性特定に少し時間が欲しい。ケルベロスと同じ感じだとするとブレス耐性がありそうだから、魔法攻撃になると思うんで。シオンは弓で目を狙うのがいいかもな。弓ならランダム属性の影響を受けずに済む」

 「ランダム属性?」

 「あぁ、ケルベロスの討伐が難しい理由の1つが、3つの頭を同時に撃破しないといけないというところだけど、その同時討伐を難しくしてるのにそれぞれの頭部の属性が時間経過でランダムに変わるって特徴があるんだ。だから弱点で攻撃したつもりが無効になったりすることもあって、同時撃破が失敗することがあるんだよ」


 なるほど、俺の弓やリュヌの陰みたいな物理攻撃なら関係ないが、魔法攻撃するなら属性選びは重要そうだ。神官を乗せてる以上接敵は難しいだろうしな。


 「リュヌは、手伝ってくれるのか?」


 ふと気になって尋ねる。こいつは通りすがりなだけで、特別戦う理由はないのではないかと。


 「ふ、こんな楽しそうな敵を前にして戦わないわけがないだろう」


 にぃ、と口角を上げて金色の眼が細められる。あ、こいつあれか、戦闘狂か。それなら遠慮なく手伝ってもらおう。


 「来るぞ」


 リュヌの声が聞こえると同時に赤黒い火の玉が飛んできた。3つ同時に。


 空中組はそれぞれうまいこと躱したようだ。こういう時飛べるのは羨ましいな。そう思いながら、思ったところで飛べるわけもないので地道に中空に風の膜を展開して跳んで避ける。一時的な足場としてなら風の膜でも十分だが、長期に利用するならシールドの方が安定性が高い。変な避け方して壊されないようにしないと。


 回避が終わるや否やリュヌの陰が鋭い槍のように頭部の一つに襲いかかる。おい、()()討伐だろ?あまりダメージスピードが違うと同時にならないんじゃ。そう思いながらこちらもシールドに着地すると同時に別の頭部の目を狙って弓を連射する。


 ぎしゃぁぁっ!


 効いているのか首をくねらせるようにして陰と矢から逃れようとする。

 それらの動きを横目に、上空から4色の槍が飛んで行った。ラリマーの魔法だ。属性判断のためか火の槍、水の槍、風の槍、石の槍が一列に並んでこれまで無傷だった真ん中の頭部にぶつかる。


 ぐぎゃぁぁぁっ!


 どうやら3つ目、風の槍の時に1番仰け反った気がする。と、思うと同時に大量の風の槍が真ん中の頭部に襲いかかる。流石、最強種。膨大な魔力量に物言わせた重量攻撃は見ていて圧巻だ。てかこれ真ん中だけ先に撃破とかなったら討伐できなそうだし、俺たちも急がないとだな。

 

 しばらく各々が狙う頭部へダメージを与え続ける。陰と矢によるダメージは淡々と。魔法の槍は無効になったと見えるや否やまた4色の槍が飛んで属性判断後効いた属性の槍が大量に飛ぶという形なのでダメージ発生リズムに波があるが、それでも着実にダメージを与え続ける。

 もちろんその間相手も黙ってやられているわけもなく、そろそろ見慣れてきた赤黒い火の玉の他にも首を伸ばして噛みつこうとしたり、水中から尻尾を振り回して来たりの攻撃をある時はいなし、またある時は躱して対処する。


 「真ん中、少し待機しろ」


 しばらく粛々とダメージを与えていたら、突然リュヌがラリマーに待ったをかけた。言われたラリマーも、突然だったにも関わらず即座に待機指示に応じて発動済みの水の槍を空中で霧散させる。


 「狩人、10連射いけるか?」

 「おぅ、行くぜ」


 こちらも指示された通り10連射を目に当てる。


 しゃぁぁぁっ!


 なんとなくぐったりしてきた感じのする悲鳴をあげてシーサーベラスが頭部を仰け反らせる。


 「全員、一気に叩くぞ、合わせろ。3.2.1」


 まるで相手の残り体力が見えているかのような自信で指示を出すリュヌの声に合わせてまた目を狙って弓を引き絞る。横から4色の槍が飛んだのを見てこちらも連射を始めた。更に向こうではリュヌの陰がシーサーベラスの目を貫いている。


 ぐきゃぁぁぁぅっ!


 苦しげに暴れ回るシーサーベラスの3つの頭部にヒビが入るのが見えた。リュヌの指示は的確だったようだ。あと、一押し。


 と、唐突にそれまで真ん中の頭部を攻撃していた火の槍をシーサーベラスが()()()


 「?!」

 「なっ…!」

 「は?」


 それまでと違う行動パターン。瀕死になったことで今までと違う動きを見せたか。左右の頭には引き続きダメージが入っていたのでヒビが広がっているが、真ん中だけは急な属性変更に当たって一時的にダメージが入らなくなっている。これまでのタイミングであれば、もともと属性特定のためタイムラグがあるのが魔法攻撃なので問題なかった。だが、今はマズイ。同時討伐が狂う危険がある。かと言って今からターゲット変更は自身の攻撃している頭部へのダメージが止まるのでこれまた左右でタイミングがズレ得る。


 「ちっくしょ…!」


 ラリマーが大急ぎでまた4色の槍を放つが、左右の頭部のヒビが大きくなる方が、早い。


 流星が、見えた気がした。何かがすごい速さで真ん中の頭部に接近し、その目を貫いた。


 ぎしゃぁぁぉぅっ!


 断末魔を遺して、遂にシーサーベラスがその巨体を水に沈めた。終わった、のか?


 「さっきは助かったよ、ありがとう。でも、なんで()()()()()がここに…?」


 先程の流星のような()()が見えていたらしいラリマーがその対象に問いかける。え、絵描き?

最後まで読んでいただきありがとうございます!

ランダム属性…なんかシーサーベラスがRPGのボス設定ぽい感じになりました。

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