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遠くの君と想ういのち  作者: 衣緒
旅立ち編
15/43

Bランク試験2 〜誰が誰を〜

区切りがうまく付けられず、長くなって更新遅くなってしまいました汗

またお読みいただけたら嬉しいです

 「はい、ちゅーもーく!」


 受験者が集まる広場の一区画で、カンカンカンと木彫りのキツネが持っていた木の棒を打ち鳴らすと、隣の木彫りのタヌキがするすると巻き物を広げる。

 巻き物には試験についての説明が書かれていた。


 『基本事項

 1. 参加者同士の命のやり取りは禁止

 2. 島を壊さない

 上記を守れない者は失格処分とする』


 どっかの校則かな?奇襲試験があるのに命のやり取り禁止はどう満たすのか。


 「はい、説明するよー」


 木彫りのウサギが巻き物の前に進み出る。


 「まず、この試験はBランク昇格試験です。ここにいるのは、受験資格を得るまでに少なくない依頼を受けて人助けをしてくれている皆様です」


 各々過去の依頼に思いを馳せているのか、うんうんと頷きながら説明を聞いている。俺みたいに腹黒神官にいいように使われているうちに気づいたら依頼数こなしてたって奴は多くないんだろうな。


 「そんな皆様の大切な命をむやみやたらに散らしたいとは思っておりません。なので、基本的に命のやり取りはなしにしてください。ただ、皆様ご存知の通りこの試験には奇襲試験も含まれます。その際奇襲、迎撃で戦闘が発生するのはありです。ただ、一撃で致命傷になる奇襲はやめてください」


 一撃死禁止だと奇襲の戦法に制限ができるな、と思いながら聞いていると、後ろの方からひそひそと声が聞こえてきた。視線だけで見やるとどこかの制服なのか揃いの服を着た2人の少年が話している。


 「俺、先輩から聞いたんだけど、この試験で一撃死が発生しそうになると動物が身代わりになってくれるって」

 「え、そうなんですか?!それって、受験者一人一人を常に把握してるってこと、ですよね?」

 「俺も詳しくは知らないけど…すげぇよな、十何人もの動きを把握して、しかも先回りして動けるって」


 どうやら故意ではない致命傷は運営側が対処してくれるということのようだ。すげえな、運営。


 「そして2つ目、島を壊さないでください。この島は空を浮かぶようにしている()()の島ですので、万一浮遊に関係する箇所に損傷が生じると落下する危険があります。見たところ今回の受験者12人のうちこの高さからの自由落下に耐えられるのは1-2人程度のようですので、それ以外の方は仲良くぺちゃんこになってしまいますので島は壊さないでください」


 ウサギのにこやかな声と内容のギャップに青ざめる受験者たちのことなど気づきもしないようにウサギは淡々と説明を進めていく。


 「以上が基本事項です。守れなかった時点で失格、故意に守らなかった場合は今後も受験資格剥奪措置になりますのでご注意ください」


 コクコクと受験者たちが頷くのを確認すると、今度は木彫りのイヌが前に出てきた。


 「はい、それでは皆様お待ちかね、いよいよ試験ですよー。まずはそれぞれに渡すものがあるから一列に並んでね」


 これは、あれか、某有名なマンガにあったどのタイミングで列に並ぶかも審査対象になってるってやつか。

 もともと説明していた木彫りの動物たちはシオンからは離れた位置にいたために、どちらかというと後半の順番になりながら周りを見る。最初に並んだ人には見覚えがあった。イチゴうさ耳だ。真面目に最前列で説明を聞いていたのだろう、そのまま1番目に並んでいる。その後ろには小柄なフーテッドケープ姿の多分人族(ヒューマン)。獲物は持っていないが身軽そうな装備から短剣などを使いそうだ。その後ろには例の暑苦しい傭兵リーダー。もう仲間を見つけたのか背の高い魔導士風の男と多分剣士なんだろう全身鎧の女と会話をしながら並んでいる。その後ろ、暑苦しさを避けるようにか少し距離をとって黒髪の少年が立っている。ここまでだって旅してきたはずなのに、まるでただ街の中を歩いていたかのような普段着なのが逆に目立つ。そいつと俺の間には猫?の獣人がいる。器用に立ったままこっくりこっくり寝ているが、これ一応並んでるんだろうな。そして俺の後ろには先ほど内緒話をしていた制服少年2人と、花冠を被った色素の薄い女性、多分だけど樹魔族(ドライアド)かな。で、最後の一人は並んでない。持ってきたのかレジャーシートを広げてその上で堂々と昼寝してる。大きなひよこの帽子を顔に乗せているのでどんなやつなのかは見えないが、多分大物なんだろう。


 そんな風に参加者を観察しているうちに気づけば木彫りのイヌのところに来ていたようで、折り畳んだ紙を渡された。「周りから見えないように中を見てね」と言われたので少し離れてから開くことにする。

 木彫りのイヌは全員に同じような紙を配り終わるとまた列の前の方に戻って行った。ちなみに、ひよこ帽にはわざわざ嘴のところに咥えさせるような形でメモを挟んで行ったようだった。ずいぶん細かい作業も操作できる傀儡師のようだ。


 「はーい、ちゅーもーく!皆、今もらった紙はこっそり見てくださいねー。そこに書いてある人が奇襲する相手です。バレちゃうと奇襲の難易度が上がるから試験の合格に響きますよー」


 その言葉におもむろにみんな手元の紙を隠すような素振りを見せる。俺も周りからの視線を確認して中を見た。


 『ターゲットはサンダー=ラティア。獣の魔族(ビースト)、兎の獣人。ピンク髪赤目』


 イチゴうさ耳だった。対象がわからないという事態を避けるためか特徴書いてあるのは親切だな。


 「奇襲試験はこの説明が終わった後から全体試験終了の明後日の朝までの間であればいつ行っても構いません。その間に採取試験、討伐試験がありますのでそちらもきっちりこなしつつクリア目指して頑張ってください」


 受験生の顔が引き締まる。さぁ、俺を狩りに来るのはどんなやつだろうな。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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