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【閑話】聖国の巨像・前

待望?のコイツ等のターン。



聳え立つゴーレム。

巨像ともいうべきそれは聖国への道の中心に鎮座している。さながら巨兵の如き体躯を誇り、聖国の守護のようにそこに在る。

像を囲むように立つ複数のプレイヤー達は、その威圧的な姿を見て…。



「すっごい大きい!」


「これは壮観でさぁ」


「これ、デバフ、通る?」


「なんとかやってみるしかないですわよ」


「今まで見たどのボスよりもデカいなあ」



滅茶苦茶ワクワクしていた。

場所はルディエの街から西方。聖国の解放を目的とした道化の面々である。

数にして17名。非戦闘員を弾いた戦闘メンバーは一堂に自身の得物を構える。



『GUAAAAAAAA!』


「来るよ皆!」



巨像…守護巨兵は咆哮と共に、その巨大な腕を集団の中に落とす。まるでそれは隕石。

圧倒的な質量により陥没した場所には、影はなし。



「これ、初期の国を護らせるのに使って良いモンスターかよ!?」


「やるだけやってみるしかねぇぞぉ…『ビルドアップ』『パワーブラスト』」


「「「『身体強化』」」」


「『ファーストステップ』」


「『復讐の剣』」



魔法陣を浮かばせ、魔法を発動させるHaYaSE。

付与魔術。

多重に展開させたそれはSTR上昇の魔術。

強化を施され自身のアビリティを使用し、巨兵に飛び出す前衛組。



「仕方ありませんわ…『女帝』」


「女王、デバフは任せた。

支援する『戦場支援』」



ハートの女王によって巨兵に掛けられる複数のデバフにカンペイの範囲強化アビリティ。

後ろに控える者達はそれぞれ強化や状態異常を引き起こすアビリティを使用する。

五色の光に包まれた巨兵だが、今光るのは三つ。



「…無機物に恐怖と魅了は効きませんわね」


「ですが防御低下などは効くようです。『ファイアーランス』」


「魔術もあんまり効かなそうだよ…『アイスバレット』」



最終社畜Vと桜吹雪鱈。

二つの魔法陣から浮かぶ四本の炎槍と氷塊が四肢に命中するが、あまり効果は出ていない。

怯む事なく乱暴に腕を振り回す巨兵とそれを避けながらも攻撃を続ける面々。



「…弓矢は相性が悪い」


「殴った方が早いなこりゃぁ…」


「だったらぶん殴るだけだろうがよぉ!!」


「おいバカ、あんまり前線に出るなって…!」



シモンの忠告届かず。

拳を構えながら突進を仕掛ける凱歌と源氏小僧。アビリティにより強化された攻撃は確かに有効だが、振りが大きすぎる。

間一髪避けた凱歌とは異なり、源氏小僧の回避が間に合わず、巨兵の攻撃が掠り風圧で飛ばされた。



「源ちゃんバカだねぇ、『ハイヒール』」


「すまねえ、姉ちゃん!行ってくるぜ!」


「加減を覚えろバカ!」



flowerdropから回復を施され、前線復帰を果たすがシモンにぶん殴られる。

右からは斬撃、左からは突撃、正面は打撃の応酬。

後衛はリキャストを稼ぎつつも使える魔術を総動員して止まることなく打ち続ける。

絶えず攻撃を受ける巨兵のHPは、それでも2割程しか減っていない。



「これ、レイドボス並のHPじゃない?」


「風精もそうだが、どうにもクロノスより難易度が上がっているようだ…」



腕を駆けあがり、刀を振り下ろしながら呟く八千代の声に答えるのは刃狼。

斬撃にて生じる黒い波紋を浮かべた『猛る斬傷』を打ち付け、巨兵と自身のHPを削っていく。

大振り故に回避は単純作業。だが、攻撃に生じる風圧は足場を緩ませる。



「刃くん、後何回くらい?」


「これで…80だッ!」


「良いなぁ、八千代のスキルは今の所使い道ないし…ッ刃くん危ない!」



七割に差し掛かった時、巨兵の動きに変化が生じる。先程までこちらを見る事しか使っていなかった4つの目に光が灯り、一閃。

細い閃光は自分の周りを這う虫を殺すように繊細に流れ、前衛組に襲い掛かる。

刃狼のHPは少ない、ボスからの攻撃を受ければ確実にロストするが。



「『テレポート』…任せたぞ蛮刀斎」


「任せてくだせぇ!『フォートレス』」


「なら俺も入れるかぁ…『ガードポイント』」



†災星†が発動した魔術により、足元で攻撃を加えていた蛮刀斎と刃狼の位置が反転する。

転移魔術はMPの消費が大きい代わりに、効果は絶大だ。

二つの大盾を構える蛮刀斎に光線が放たれる。

それは数秒の内に掻き消えて、当たる者を貫く威力を誇るが、蛮刀斎は重騎士。

持ち前の物理防御に加え付与魔術とアビリティによりその威力は低迷する。

HP2割と言った所でflowerdropの回復が掛けられる。



「流石セイちゃん!」


「お嬢、俺にも何かかけてくだせぇ…」


「ゴチャゴチャ言ってる暇ねえぞぉ」



ヘイトは蛮刀斎に向いた。

巨兵はまるで蚊でも潰すかの勢いで自身の右腕に左の掌を振るおうとする。



「流石にあれは耐えられやせんぜ!?」


「気合!根性!」


「お嬢、こういう時だけぇぇぇ」



迫る巨大な掌を見ながら絶叫する蛮刀斎だが、そこに救いの手が入る。



「溜まった…バフを頼む…!」


「おっしゃぁ『パワーブラスト』!」


「刃狼がやる気らしい、『戦場鼓舞』」



刃狼の声を聞き、反射的に付与魔術を使用するHaYaSEとカンペイ。

HPを極限まで擦り減らし、自分の持つ中で最も火力の高いアビリティの使用準備を始める。

黒い波紋が最大にまで達した『猛る斬傷』を横構えにし、狙う先は巨兵の左足。

極限状態を回避のみで凌ぎ、復讐ゲージを貯める事現在。



「『身体強化』『手負いの獣』」



『復讐者』というユニークスキルにはアビリティが三つ存在する。

一つは『復讐の剣』。自分のHPの低下中にヘイトを集める事で復讐ゲージが上昇する。

一つは『手負いの獣』。HPが1の状態にのみ使用可能の自己バフアビリティ。

そして最後にもう一つ。

溜めた復讐ゲージがMAXの状態、全てのゲージを消費し放つ斬撃。


復讐に報復あり。



「穿て…『報復の牙』」



黒と赤の螺旋を纏い、飛翔する斬撃が巨兵の左腿を断つ。


巨兵のHPは残り5割だ。

戦闘クッソ苦手なのにどんどん戦闘描写が増える謎。

話を書きながらどうして私はこんなに人数出したんだろうと頭を抱える羽目になりましたね。

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― 新着の感想 ―
[一言] この全自動マニー貢ぎマシーンカッコいい!
[気になる点] >絶えず攻撃を受ける巨兵のHPは、それでも8割程しか減っていない。  →8割程まで の方が分かりやすいかなぁ、と。 HPの8割も削れてたら、レイドどうこうの脅威に感じるほどかな?と感…
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