【閑話】掲示板回1
BP集めに時間を奪われている。
ゲーム内掲示板
『首狩道化探索用』
:大黒
この掲示板もpart5まで増えたけど未だに首狩道化って見つかってないの?
:テルテル坊主
アルトメルンまでの道で新規とPKがそれらしいのを見たらしいけど、それ以来情報無し
:薩摩芋武士
あー、なんか新規にPKに注意しろって言ったヤツね
:インペリアルナイト
流石にあのPK狂が忠告なんかしねえだろ。嘘嘘
:スクリュードライバー
最初の頃は道化の仲間と街歩いてたみたいだぞ
:獄炎フェリックス
あの槍使いと小杖持ちだろ。両手に華とか裏山氏
:幽世
両手に華(毒あり)
:綾鷹
流石に見目麗しくても統率の取れたPKはNG
:黒霧島
夜叉とか狼はよく見たけど、最近はあれだろ遠征
:ブルーマウンテン
ああ、道化のメンツがレイド顔負けのパーティ組んで西を目指してるヤツ
:Mrアースジェッツ
あれが首狩道化の指示かもしれないって話で前の板は盛り上がってたな
:十勝匡
夜叉達が見た事ない装備と刀を持ってたのもあって、アレは盛り上がった
:月見大福
他は情報無しか、誰か西に行ったりしてないの?
:monster
行こうと思ったけど、夜叉達が怖くて南行きに決めたわね
:扇風機
分かる。アイツらなんでかすげぇ怖い顔して狩ってるんだわ
:鏡月
鬼気迫るっていうか、滅茶苦茶生き急いでるというか…
:赤竜騎士
聖国最短到達でも目指してんのかね
:月見大福
あるかもね~
:銀の翼
まあ、NPCの情報で王国に喧嘩売ったのが道化じゃないって分かっただけ御の字だな。あれが暴れたら国が亡ぶ。
:引子守
喧嘩売ったの、仮想『死神』なんですが…
:ヤニカス
それは…はい
:ラッキーストライク
アイツが王国と戦ったらどうなるんですか?
:チョココロネ
…英雄が居なければ最悪国が滅びます
:ガオガイガー
どっちにしろ国滅んでんじゃねえか!
:扇子
仕方ねえだろ、PKやってるヤツってなんでか人外みたいな動きするヤツしかいねえんだから!
天剣は正義しか言わないし!
:温州ミカン
最後の道化狩りで瞬殺されたユニーク持ちが通りますよっと
:monster
何も誇れないw
:温州ミカン
いや、気付いた時にはベッドの上だったし。
:ソロモン公
あの方は偉大だぞ
:ラッキーストライク
あ、道化信者さんお疲れ様です
:テルテル坊主
ごく一部では神格化される道化…俺も好き
:ユウヤ
あんなのただのクソPKだろうが、迷惑だっつの
:鏡月
残念、今はPKしてない
:インペリアルナイト
現状PKやってるのって、コンバート勢だからって浮かれてるゴロツキばっかりだろ
:赤竜騎士
言うな、道化と死神が別格過ぎたんだ
:扇子
死神は一人でも全滅させられるし、道化は兎に角仲間が厄介。なんで指示なしで連携出来るの…
:銀の翼
アイツラ全員道化の熱烈なファンだから
:大黒
まあ、あのメンツを束ねる道化も怖いわ。洗脳でもしてんのか?
:ソロモン公
道化様が洗脳なんかするわけないだろうが
:ティラミスラブ
でもあの人、誘拐した王女様からラブコール受けてたし…
:キーボードクラッシャー
やめろ、オリヴィエ様の話はするな。俺に刺さる。
:薩摩芋武士
イベントで出て来る度に道化にラブコールを贈るのは仕様ですか?
:扇風機
AIの独断です
:スクリュードライバー
運営直々の手の施しようがない宣言は笑った
:綾鷹
オリヴィエ様元気かねぇ
:マリア
失礼します、首狩道化ってなんですか?
:大黒
お、新規さん?
:ソロモン公
首狩道化。プレイヤーネーム『リク』。
クロノス時代にゲーム内で名を轟かせたPKクラン『クレイジー・キラークラウン』のマスター。
直接顔を見たプレイヤーは極一部で、名前はPK中に仲間が呼んでいるのを聞いた事が切っ掛け。
ユニークスキルを複数所有しており、姿を探しているといつの間にか首を狩られる事から首狩道化。
:大黒
信者さんいつものヤツありがとう
:マリア
ほぇぇ、怖い人なんですか?
:大黒
こわい
:スクリュードライバー
こわい
:温州ミカン
こわい
:ラッキーストライク
アイツに何度キルされてアイテムを零した事か…
:ヤニカス
俺、15回
:綾鷹
なんで数えてんだよw
:ヤニカス
いや、アイツに殺られるって事は自分が攻略組だと再認識出来るし
:扇風機
変な癖ついてません?
:ヤニカス
正直、こっちでもキルしてくれるのかワクワクしてた
:スクリュードライバー
ドMじゃねえか!?
:ブルーマウンテン
取り敢えず、まだ目撃情報少ないって事でFA?
:幽世
FA
:黒霧島
よし、解散
:月見大福
大変だねぇ
☆
「折角隠居したってのにここまで探されて大変だねぇ」
今も配信で何度目かの謝罪会見を行っている友人を見ながら、ボクは笑う。
今度は龍魚とかいうのと遭遇して、海姫なる者と邂逅するかもしれないとか。
本当に、彼と遊んでいると暇しない。
「CCメンバーがリクの熱烈なファン…ねぇ…」
あながち間違ってはいない。
あのクランにいる大半は彼の言葉と行動によって救われた者が多い。本当に何気なく言った事ですら、彼の言葉には力がある。
「まあ、それはボクも同じなんだけど…」
ウインドウを閉じて配信画面を広げる。謝罪とは言っているが、本人も心の底では楽しんでいる。
今も死んだ魚のような目をする友人を見ていると、どうしようもなく感情が高ぶる。
…彼の行動は本当に飽きない。
「さて、我らが首領の為に仕事をしないとね」
ベンチから立ち上がり、一つ伸びをした時だ。
『忠義と鋼、鉄血の誓いを掲げる皇帝が支配する国。武と統制を重んじる大地に異邦の者が来訪しました』
『プレイヤーにより帝国ガンマヴェルドが発見されました』
『制限の一部が解除されます』
『NPCとのフレンド登録が可能になりました』
「へぇ?」
ジークくん率いる銀竜騎士団が解放したのか、いや彼らだともう少し掛かると踏んでいた。
ああ、そういえば…。
「彼らの進路には天剣も居たんだっけ」
それなら彼女かもしれない。PvEに特化した大剣を操るプレイヤー。一部だと英雄NPCより英雄してるとか言われてたっけ。
思考するボクの後ろ、不意に影が揺れる。
「月見殿、頼まれていた物を持って来たでござるよ」
「ありがとう羅刹丸。
後は僕が纏めるから、リクの護衛に行って良いよ」
「!!…では拙者ひと足お先に行くでござる!」
嬉しそうに影の中に入り消えていくのは羅刹丸。
渡される書類に目を通しながら昼食を取る。
うん、おいしい。
「面白くなってきたね、リク」
ボク達の首領は、今日も楽しそうだ。