表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/156

武器作成

配布シビラがクソ強くて私嬉しい。

故あってシャーレに再着任しました、自己評価が謎に高い車椅子と旅に出ます。


死神戦がおかしな方向に進んでる、首領が。

神様との初対面は鉄火場だった。



「で、火の神様が俺に何の用なんですか?」


「懐かしい気配のする人間が、鉄を打ってる音が聞こえたんでな。つい見に来ちまった」


「ついでで人の居住空間に勝手に入らないで貰えません?」


「いやぁ驚いたぜ。

島の権限が坊主に移ってるわ、災厄が眷属とじゃれ合ってるわ」


「嘘だろコイツ、人の話を聞かない」


「お互い様じゃねえか?」



ドカリと地面に座り込み俺を興味深そうに見る火の神。なんだろう、コイツを神と呼ぶのは凄く嫌だ。

聖国はこんなのを信仰の対象にしてるの?



「坊主、すげぇ不敬な事考えてるだろ」


「そんな事ないよバルカン。で、要件は?」


「神に対する口の利き方じゃねえよなぁ!?」


「いや、敬称を付けるのを本能が拒絶すると言うか」


「フレイだったら問答無用で神罰対象だぞ…」


「そっちが神罰ならこっちは災厄ぶつけんぞ」


「世界を壊しかけた災厄を顎で使うんじゃねえよ」



ドン引きするな、神だろ。

なんか警戒するのも馬鹿らしくなってきた。

見た目に合わずツッコミ気質なのかも。



「坊主、鍛冶を司る俺からお前さんに一つ助言をくれてやる」


「なんでお前そんなに上から目線なの?」


「神だっつってんだろ!?」


「まあ、貰える物は貰っておくよ。続けて」


「話を聞かねえのはどっちだ…たくっ」



凡そコイツの距離感を掴めた。神と言う割には随分人間味のある男だ。

そのフレイとか言うのはどうか知らないけど、コイツの接し方はこれで良いな。



「良いか坊主、お前さんは確かに筋が良い。

長時間鍛冶場に居続けられる忍耐、失敗にもめげずに何度も鉄を打つ精神。

そういうのは鍛冶には確かに必要な事だ」


「うん」


「だが、坊主には肝心な物が欠けちまっている」


「肝心な物?」


「打つのに真剣になり過ぎだ。

鍛冶っていうのは心を鉄にぶつける事、幾ら腕の良い職人だろうが心を刻み付けなけりゃ物にならねぇ」


「急な精神論じゃねえか」


「それが大事なんだよ。火の神の御墨付きだぜ?

ほれ、もう一遍打ってみろ。素材はコイツとコイツだ」


「…二つ?」



俺が大量に出していた鉱石や素材の中からバルカンは二つの素材を取り出す。

それは刃狼がアズマで狩ってきた黒鬼の角と、なんだったかな朱鋼鉄だっけ。



「まずは一本ずつ刃の形にしろ」



言われるがまま、角と鋼鉄を打つ。

さっきまでの感覚が残っているから、刃にする事は造作もない事だ。

カン、カン、カンと打ち鳴らし完成させる。



「出来たな、良い調子じゃねえか」


「さっきまでずっと打ってたから腕が覚えてるんだ」


「それじゃあ、今度はその二つを合わせて打ってみろ」


「二つ合わせて?」


「武器ってのは素材を組み合わせて打ち付ける事で新しい成果を齎す。これを『融合』って言うんだ。

ああ、さっき言った事を忘れるなよ。この二つを打ち合わせる時は、これを使うだろう人間の事を考えろ」


「使う人間…」


「この素材を持って来たヤツでも良い。想いが強い程、素材は答えてくれる」



持って来た人間…鋼鉄は分からないけど、角は刃狼だ。刃狼の事を考えてやってみる。


ガキンッ。

一つ打って、アイツの戦いぶりを思い描く。


ガキンッ。

傷を恐れずに戦う男。


ガキンッ。

常にギリギリまで耐えて敵を狩る。


ガキンッ。

一人を好んで戦い続ける戦士。


ガキンッ。

アイツに合う武器はきっと…。


ガキンッ。

傷を与える度に傷を付ける諸刃の剣。


ガキンッ。


ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ、ガキンッ、キンッ。



「止まれ坊主」


「…あ?」


「良いぜ、完成だ」



見れば、手元に一本の片手剣。

いつの間にか完成していたソレは、赤い刀身に所々黒い線のような物が引かれている。

刀身はまるで鋸のように刃を逆立て、傷つける事に特化したようなデザイン。



「なんか、見た目酷くない?」


「そりゃあ思い浮かべたヤツがそんな戦い方するヤツなんだろうよ」


「すまん、刃狼。俺間違えたかもしれない…」



取り敢えず性能はと鑑定を開く。



『猛る斬傷』

獰猛たる復讐者を想い、狂う悪鬼の角と紅鋼を用いて打たれた片手剣。

:STR+150

:1ヒット毎にHPが減少していくが、その量に応じてSTRに補正(最大100ヒット時300%上昇)。



…おう。

これは、あれかな。極めて珍しい事だけど、俺自身がやらかしてしまった感じのアレ。

確かに刃狼に合う武器ってこういう感じかなって思いながら作ったけど、まさかそのまんまの武器が出来るとは思わないじゃん。



「良い剣じゃねえか坊主!」


「…ありがとう、バルカン」



純度100%の喜びの感情で俺を褒めるバルカン。

ダメだ、鍛冶のコツを教えてくれて作った武器を見て喜んでいるコイツに当たるのは人として不味い。



「これ、どうしようかな」


「武器なんざ戦闘で使うしかねえだろうが」


「急にこんなの送られてきたら驚くだろ…」



驚くだろうなぁ。いや、でも刃狼ならこれを使いこなしてくれるだろうし後で会ったら渡しておこう。

アイテムボックスに仕舞い込んで、バルカンに向き直る。



「世話になったな、ありがとうバルカン」


「将来有望な坊主を見れて俺は嬉しかったぜ!」


「…リクだ。世話になったのに名乗らないのは失礼だろ」



俺の言葉に、キョトンとした後笑うバルカン。

ルナーティアもそんな顔してたな。



「姉貴が気に入った訳が分かる。お前さん、面白れぇ人間だな」


「アイツの場合一方的に監視されてたような物だけどな」


「ああ、姉貴も地の獄で暇だったんだろうさ」



何度か名前を聞く地の獄。そのまま地獄ではないんだ。地面の牢獄?



「それじゃあ、俺は行くぜ」


「もう帰るのか?」


「元々、お前さんが気になって見に来ただけだからな」



成程、それじゃあ止める理由もないか。

だが色々教えて貰っておいて礼も無しに帰すのはちょっとダメだよな。

何か…あ。



「ならせめてこれでも貰ってくれ」


「あん?人間の食い物じゃねえか」



取り出したのは少し前に作った果実パイ。

あの宴以来、白玉が妙に気に入ったらしいので度々作って食べさせていた。

天上の者を唸らせるらしいし、最初の詫びも込めて渡しておこう。



「俺が作った物だ。白玉…お前の言う姉貴の眷属の好物だけど良かったら」


「貢物を拒否する理由はねえよ、じゃあなリク」



俺から皿を受け取ったバルカンは、瞬きの間に姿を消した。まるで、最初からそこにいなかったように。



「神、か」



なんで聖国についてもいないのに神と会う事になったんだろう。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どこかの神界。



「なんだこりゃ、滅茶苦茶美味いじゃねえか!」


「どうしたバルカン。そんなに騒いで」


「何食べてるの~?」


「あ、いや、悪ぃ。なんでもねえよ」



この日、どこかの神界である男の料理の虜になった神が時たま月の島に出没するようになったとか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 「極めて珍しいことだけど、俺自身がやらかしてしまった感じのアレ」…極めて?珍しい? [一言] 首領鏡がご入り用か( ・◇・)?
[気になる点] 「だが、坊主には肝心な物が掛けちまっている」 「大事な事?」 「打つのに真剣になり過ぎだ。 鍛冶っていうのは心を鉄にぶつける事、幾ら腕の良い職人だろうが心を刻み付けなけり…
[一言] こっそり独占してて草 飯食う代わりにアドバイスしてはやらかし武器製造させてですぐ全員ぶっ壊れモチーフ武器行き渡りそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ