街中探検隊
我ほのぼのとハッピーエンドの神なり
「準備は良いか皆!」
「おおー!」
「良いぜぇ」
「楽しみ」
「どんな風に変わったんだろうねぇ」
俺、八千代、HaYaSE、BB、桜吹雪鱈。
俺達、街中探検隊はここに結成された。
「お菓子を作って待ってるわ」
「ボクも少し本を漁ってこようかな」
「我は白玉と遊んでおる」
「キュウ…」
ついでに他のメンバーも暇だったのか来ている。
ゴドーは鍛冶場に引き籠ったし、flowerdropはハルカと女子会とか言ってどっかに行った。
刃狼とカンペイは竿を携え釣り場に直行してたな。
さて行くぞ、街中探検隊。
「もう完全に普通の街だ」
「だなぁ。首領、領主館みたいなのあるぞ」
「見てリッくん、あそこ闘技場みたい!」
「家、多いね」
「家具とかどんな感じなんだろうね」
それぞれ行ってみよう。
均等に立ち並ぶ家を見ながら街の中を俺達は歩き出す。
綺麗だ。全体が白い壁に覆われた白亜の街。
石柱が倒れ、崩壊した前の光景とは全然違う。
どうやら更地だったところも元は民家や何かの施設だったようで、正しく無人の街。
さて、民家の中はどうなっているのか。
「…埃なくない?」
「首領の元のベッドとは大違いだなぁ」
どこを見ても整っている。
ベッドは新品同然、テーブルも艶がある。
置かれている本は変わらずボロボロだけど、それ以外は完璧。
俺は力なく崩れ落ちる。
確かに俺の部屋には作成した家具がちゃんと残っていたが、それでも…なんかやるせない。
開拓レベルを上げれば街が戻るなんて誰も教えてくれなかったじゃん。
「フカフカだよ…あ!」
「…どうした八千代」
急に発した驚きの声に反応し、八千代を見る。
「リッくん、セーブ登録ささっちゃった」
「…マジで?」
え、俺のマイルームって拠点になるの?
ナニソレ凄い便利。
一瞬の間思考停止に陥り、再び復活して仲間達に指示を出す。
「HaYaSE、BB、桜吹雪鱈。別の民家もやってみて」
「おっけぇ」
「了解」
「行ってきまーす!」
三人がそれぞれ別の民家に走る。
するとそれぞれが声を出して知らせてくる。
「HaYaSE、登録出来ちまったぞぉ」
「BB、出来た」
「桜吹雪鱈、同じくー!」
マジかよ、もう完全に新しい街じゃん。
簡易テントのような一時的な物では無い。
俺のマイルームが新しい街になってしまったらしい。
「どうするか…お前ら、前の拠点に思い入れは?」
「ない!」
「ただの宿屋だしなぁ」
「ない、ね」
「問題なし!」
終了解散。
どうせあっても誰も使わない家なんだし有効活用しておこう。
その後、他にも目ぼしい物がないかと周囲を散策したが進展は無し。
程々の所で切り上げる。
「リッくん、闘技場みたいなの行ってみよ!」
「ああ、八千代が見つけたヤツだっけ」
民家群を後にし、俺達は八千代が見つけた闘技場に向かう。
「着いたよ!」
「ここ、瓦礫が酷かった所だなぁ」
「天井は、空いてるね」
「コロッセオみたいな感じだね」
目的地は、吹き抜けになっていた。
中心に開けた大舞台。周りはそれぞれ円を囲むように石座が設置されている。
「闘技場…ステージにも見えるな」
「アルトメルンみたいなランキングボードは出て来ないね」
「ただの建造物なのかねぇ」
「ライブとか出来そうだね」
「誰がやるんだよそれ」
「…首領?」
断固お断りだ。
大体ライブなんぞならお前の方が得意だろうが。
定期的に届くサイン入りCDでうちの棚埋まってるんだぞ。
足早に闘技場(仮)から出る。
「最後はあれだなぁ」
「…領主館だよな」
「オウカの街のお爺ちゃんが居た所もあんな感じだったね!」
「和風と洋風だから全然違くない?」
俺達が目を向ける建物。
それはアルトメルンと同じく、大通りの奥に佇んでおり、無人の街であるにも関わらず門は固く閉ざされている様子。
「行ってみるか」
「あそこ、入れるのかな?」
「門は閉まってるけど、門番もいないしねぇ」
☆
歩き出し、向かった先は領主館。
変な俳句みたいになったが、俺達は今館の前にいる。うん、ガッツリ閉まってる。
門と向き直る俺達。
近くに来れば開くかぁと思ったけど、そんな簡単ではないらしい。
「どう、BB」
「引いても、押しても、開かないね」
「まあ、見りゃ分かるがなぁ」
どうやらダメみたいだ。
この中で一番STRが高いBBに頼んで、強引に開けてみようとしたけどびくともしない。
手詰まりかな、と俺も門に触れて見る。
ガチャン…キキィ…
「え」
「開いたなぁ」
「おお、凄い立派!」
何の気何し触ったら唐突に門が開いたでござる。
…おっと、いけない羅刹丸電波を受信してしまった。
折角開いた事なので、それでは中を拝見。
「…なんか、殺風景だな」
「前庭は広いんだが、なんもないなぁ」
うん、広い前庭に白い壁の屋敷。
外観は綺麗で良いと思うんだけど、爺さんの屋敷みたいな驚きというかそういう物がない。
屋敷の扉を開いて中へ入る。
「綺麗、だけど、何も無い」
「首領ここに暮らせば?」
「寂しさで死にそうになるからパス」
「掃除も大変そうだもんねぇ」
新品状態の屋敷。
調度品など生活感を一切感じないその室内は、綺麗を通り越して少し不気味だ。
ここで暮らすのは、ちょっとやだなぁ。
「お、ここ書斎ってヤツじゃねえかぁ?」
「本当だ。月見大福が喜びそう」
かなりの広さがあるので全員で手分けして見て回る事のなった。
一つ一つ部屋を開けて見て行くと、HaYaSEが書斎を見つけたらしい。
凄いな、今の俺の家よりも本がある。
あっちよりも幾分か新しい、まだ劣化が少ない本の山。
その中の一つに、ふと目を引く物があった。
「どうしたぁ首領?」
「…双子神の物語だってさ」
表紙に月と太陽の模様が書かれた本。
これが目に付いたのには理由がある。
これ、あの虹色幼女が持ってた本と似てるんだ。
あの時はチラリと見えた本の表紙だが、どうにも既視感がある。
「ちょっと読んでみて良い?」
「おう、待つ待つ」
HaYaSEの承諾を得たので、頁をめくる。
仲間達の設定詰めたいなぁって思って八千代の過去編をなんと無しに書いたんですよ。
タイトル思い出してくれるとありがたいんだけど、これ首領の前科集になりそうなんですよ。
バッチバチにこの隠居若老人がPKしてるんだけど外伝扱いで後で乗っけて良い?
ほのぼの路線は継続だから見たい人向けって事で分けた方良い?
死神出したし今更?それは…そうなんですが…