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定期謝罪配信2

平和だナァ

ちょっと某運命のゲームのイベントに集中しなければならぬ故、ストックが書けない…自分が二人欲しい。

更新はいつも通りです、まだ一ヶ月は持つはず…。

「そして、現在に至ります」


「宜しくお願いいたします、皆さま」


「ヒオウちゃんはハルカちゃんだったんだぁ」


「拙者は影から聞いてたでござる。

とても良い雰囲気でござった。」


「お前のそれはもう傍仕えじゃなくてストーカーだからな?」


「ござる?」



ハルカとの契約後。

丁度良く戻ってきた三人に事情を説明すると多少の驚きはあれど、直ぐに受け入れてしまっている。

羅刹丸、なんでもござるで乗り切れると思うなよ。



「…首領、やはり一度配信を付けた方が良いのでは?」


「説明の、内容を考えていない」


「それでもだ」


「…そうだよなぁ」



刃狼に言われてしまっては腹を括るしかない。

重い指でウインドウを操作し俺は配信を開始する。

あ、やばい視聴数が直ぐに埋まってる。



《その首に巻き付いた龍はなんだ兄上【†災星†】》


《説明してくれるよねリク?【月見大福】》


《またですの?【ハートの女王】》



ああ、バレてますね。

そりゃ二日で首に変な生き物が巻き付いてればそうなるよな。

だが、ここで物怖じしては首領が廃る。



「お前達、良い知らせと俺の謝罪どっちが良いか選ばせてやる」


《謝罪はするんでやすね…【蛮刀斎】》


《台詞は横柄だが、言ってる事が情けねえなぁ【HaYaSE】》


《じゃあ謝罪からで【凱歌】》



フッ…俺に謝罪から入らせるとは凱歌も随分と偉くなったものじゃないか。

鼻で笑いながら椅子に正座をして配信カメラに向き直り懇切丁寧に頭を下げる。あ、桜玉の体暖かい。



「アズマ二日目にして新しい厄ネタを持ち込んでしまった事を心より謝罪いたします」


「よっ、リッくん男前~!」


「礼を通す男だ…」


「流石我らが御館様でござる!」


「それは褒める所なのでしょうか?」



ハルカがツッコミを入れて来るが、今は静かに聞いていて欲しい。

見ろ、俺の一世一代の恥姿。涙が溢れそうだ。



《草【HaYaSE】》


《まあリクが別の国に行って何も起こさない訳ないとは思ってたけどさ【月見大福】》


《早すぎるのではないか?【†災星†】》


《ボス、密輸?【flowerdrop】》


《密輸ww【ハンペン騎士】》



密輸じゃねえよ。

結局昨日合った出来事について事細かに説明をする羽目になった。

朱雀の頼みが実は龍の卵の孵化作業だった事。

MPが必要なら翠玉のMPぶち込んじゃおと軽いノリでやった事。

生まれた龍が俺に懐いてしまった事。

ついでにハルカが世話係としてついてくる事。



「以上が、昨日起きた事の顛末でございます」


《思った以上に内容が濃い【月見大福】》


《なんで龍と酒を飲み交わしてるんですかい【蛮刀斎】》


《またサラッと女性を引っかけてますわよ【ハートの女王】》


《どうしてそうなるの?【†災星†】》


《これはもう天性の才としか言えんのう【ゴドー二号】》


《流石、首領【BB】》



違うんだよ。

俺が関与した事なんて爺さんの頼みで桜玉を孵化させた事だけなんだよ。ハルカに関しては俺の知らない所で勝手についてくる事になってたんだよ。

俺は悪くないんだよ?



《それで、良い報告っていうのは何かしらリーダー【メルティ・スイート】》


「ああ、うん。米と醤油が手に入るかもしれない」


《本当なの!?【メルティ・スイート】》


「あと、酒」


《儂はもう首領を許しておるぞ【ゴドー二号】》


《私は最初から許してますよ首領【最終社畜V】》


《首領大好き!【桜吹雪鱈】》


《酒好きの三人が…【蛮刀斎】》



掌返すの早過ぎじゃないお前ら。

首領ビックリしたわ、酒の力って偉大だな。

でも良かった。これで上手く流せた。



《兄上、桜玉のステータスはどんな感じなのだ?【†災星†】》



流せてなかった。

とは言えバタバタしていたせいか俺もまだこのチビ龍のステータスを確認してなかった事を思い出す。

丁度いい、今確認してみるか。

ウインドウを弄り桜玉のステータスを表示させると、仲間達が顔を覗かせてくる。

どれどれ…。


『桜玉』

種族『桜龍Lv1』

HP 500/500

MP 2000/2000

STR 300

VIT 500

INT 1000

MID 200

DEX 50

AGI 100

LUK 20

【スキル】

【ユニークスキル】

『桜龍』『純血の龍種』

【アビリティ】

『桜前線』『龍血解放』

【称号】

『始祖帰り』『緑の縁類』



「これはまた…」



翠玉のステータスがぶっ飛んでたせいかな、あまり驚きはしなかったが充分破格の性能だ。

アビリティも何と言うか雅な名前ですね。

書いてる事が不穏な龍血解放からは目を逸らそう。

称号の方はアレか、翠玉がMPを与え過ぎたから付いたのかもしれない。角も緑になってるし。



《もうリクだけで良いんじゃない?【月見大福】》


《戦力過多ですわね【ハートの女王】》


「でも、ここまで来るとメインに手を出す気になれないんだよな」



メイン…正式にはグランドクエストと呼ばれる物だが、クロノス・オンラインでは正規ルート扱いされていた。

現在俺達はPKなぞとは無縁の真っ白なクランなので、それこそ今からでも攻略組混じって進める事も出来るのだが。

ここまで過剰戦力だとちょっと混ざりたくないですね。



《実はグランドの情報もまだ出てなかったりする【月見大福】》


《他のプレイヤーもアルトメルンで停滞してやがるしなぁ【HaYaSE】》


《風霊が強すぎる【†災星†】》



セイちゃんから知らない名前が出てきたな。



「風霊?」


「王国前のフィールドボスの事だよリッくん」


「常に空を飛んでいる半透明のモンスターだな」


「ああ、二人は相性が悪いヤツだ」


「逃げようにも移動が速くてすぐに追いつかれるでござるよ」



フォレストスネークよりも厄介そうだ。

飛び続けて降りてこないとかどこのヘタレ飛竜さんだろう。

ワールドツアーでもしてるのか。

まあ世俗の事は世俗に生きる者達に任せるよ。

俺は目下スローライフを満喫するという使命があるのだから。



「明日には島に帰れればいいなぁ」


「問題ないでしょう。

緋桜龍様も張り切っていらっしゃいましたので」


「疲れただろう、首領甘い物でも食べると良い」



俺に茶を差し出してくるハルカ。団子の皿を置く刃狼。

それなら良いんだけど、と啜り飲むと丁度良い温度である。

お茶と団子って良く合うよね。

ああ、介護でもされてるのかな俺。



「傍仕えの座が奪われるでござる!?」


「羅刹ちゃんは公認ストーカーでしょ?」


「八千代殿まで酷いでござる…」



こう言う長閑な時間は嫌いではない。

愕然とした顔で俺を見る羅刹丸と、それを弄る八千代を見ながら『平和だな』と晴天を仰ぐ。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 皆でワイワイ配信で盛り上がるの好きだわぁ [気になる点] 「お前達、良い知らせと俺の謝罪どっちが良いか選ばせてやる」のセリフですが話を見る限り「どっちが先か」と言う方がしっくりくるのではな…
[良い点] 昔はブイブイ言わしてたけど、今は畑で農作業して縁側でお茶を飲むおじいちゃんかっ!
[一言] 帰るにしてもまだお土産(厄ネタ)が…(笑)
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