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観光重なる

『桜玉』はオウギョクだね。

最初は黄色い生き物だそうと思ったけど、名前被っちゃうよね。

黄はなんか語呂悪いし金は論外だし。


それと、度々一章の最初ら辺を嵩増しというか文量増やそうかとも画策してます。

突発的に書いた物だったから色々ふわふわりんふわふわるんだからね。

アズマを訪れて二日目の今日。

朱雀の頼みを解決したは良いけど、仲間達への上手い言い訳を思いつかない俺はオウカの街で散策していた。

爺さんはと言うと、俺への報酬を用意するのに少し時間が掛るらしい。



「リッくん、お団子買ってきたよ!」


「首領、桜蕎麦と言う物が売っていた。食べると良い」


「御館様、桜餅があったでござるよ!」


「…首領嬉しいよ」


「リク様は愛されているのですね」



餌付けされながら。

何故か俺は今三人の仲間達から食べ物を献上されている。間違っても俺が何か言ったわけじゃない。

暇だから街を見てくると言ったら付いてきて、各々好きな物を買ってくるのだ。

朱雀は今日も狩りに勤しむようで、俺がログインした時には既に出払っていた。



『おい、龍姫様だ』


『と言う事は、あれが龍狩り様の仕えるお方か』


『健やかに生まれてくれて嬉しいのう…』



情報出回るの早すぎない?

街中なら大丈夫だろうと、今は桜玉も連れている。

街の住民たちに驚かれているが、俺の首に巻き付き眠っている姿を見て微笑ましいような顔をしているな。

そうそう、あの後ヒオウ殿が俺の島に来るという話から彼女の呼び方が変わった。

なんでも仕える事になる以上主従関係は大事なのだとか。

俺に仕える訳じゃないよね?

あ、また三人がどっか行っちゃった。



「…このそば美味しい」


「龍桜。この地の桜は緋桜龍様のお力によって咲きました。その花びらは魔力そのもの、それを混ぜ込んでいるのです」


「成程ね、この団子とか餅もそうなの?」


「それぞれ華団子と桜餅と言う名前でございます」



白玉と似た事してる。

俺の島も、白玉の魔力で満たされてるから魔魚とかが取れるらしいし。

蕎麦を食べ終え、団子を齧ると団子の甘さと仄かに香る桜の匂いで落ち着く。



「一年中咲く桜か、羨ましいな」


「フフッ、ここで生まれた者として嬉しく思います」



嫋やかに笑うヒオウ殿はとても嬉しそうだ。

きっと彼女はこの地を愛しているんだろう。生まれ育ち、桜と共に生きてきた龍人。



「本当にここを離れても良かったのか?」



何の気なしに聞いてしまう。

ここの転移石に触れたから直ぐに帰れるのだけど、急に故郷を離れるのはどうなのか。

爺さんからの主命とは言え随分トントン拍子だったからな。



「…少し寂しいという気持ちはあります。

ですが、それと同じ程に私は楽しみなのです」


「楽しみ?」


「桜玉様のお世話と言う誉を賜れた事。

緋桜龍様が認め、龍狩り殿があんなにも熱く語られた奇天烈な行動を続ける貴方様を知る事が出来る事」



奇天烈な行動とかした覚えは…あるな。ここに来てから既にやらかしてるな。

熱を感じる目を俺に向けて来るヒオウから目を逸らす。

その眼に偽りはなく、心の底から思っている言葉。



「龍様は元より、その血を引く我ら龍人もまた興味がある事への執着は凄いのですよ?」


「…成程なぁ」



彼女の意思は固いようだ。

俺が悩むのもバカらしい、手を貸してくれるなら存分に手を借りよう。

ならばと俺はヒオウ殿に提案を投げかける。



「ヒオウさん、俺と契約を結ばないか?」


「契約ですか?」


「俺が持ってるスキル…こっちでは術だっけ。

それで正式にアンタを雇おうと思う」



俺は自分の持つ『サーバント』について彼女に話す。

戦闘に行く事はないが、保険を掛けて置くのは大事だ。

曲がり間違ってロストさせてしまった日には爺さんに顔向けも出来ないし。



「疑似的な不死、異邦の者にのみ許された御業…」


「強制じゃないよ。気が進まないならやめておくし」


「それは、面白き事にございますね!」


「え?」


「是非お願いしますリク様!」



何故か楽しそうに笑うヒオウ殿に驚く。

なんかもう少し葛藤とかすると思ってたんだけど、本人は結構乗り気と言うか。

契約を持ちかけた俺の方が押され気味になり、彼女にアビリティを使用する。



「それじゃあ、『サーバント』」


「あら」


《NPC『ハルカ・モチヅキ』との契約に成功しました》


《称号『雇用主』を獲得しました》


《称号『龍人族の盟友』を獲得しました》


《スキル『主従使役術』のレベルが上昇しました》



ちょっと待て、何かおかしいのがある。

契約が成功したのは良い。主従使役術もレベルが一気に7まで上昇したのも、まあ良い。

ヒオウ殿の名前違くない?



「ハルカ・モチヅキ…さん?」


「はい」


「名前、ヒオウじゃないの?」


「それは緋桜龍様の側役が名乗る役職でございます」


「…そっかぁ」



俺今まで名前間違えてたんですね。

いや、そもそも名乗ってなかったしこれはノーカン。

俺の様子が面白かったのか、ヒオウ殿改めハルカは軽く笑みを浮かべて礼を取る。



「改めて自己紹介を、リク様。

四大華族モチヅキ家の次女ハルカ・モチヅキ。

リク様、桜玉様のお世話をさせて頂く事をお許し下さい」



四大華族ってなんだろう。

なんかどっかで聞いた気がするけど、忘れてしまった。



「宜しく頼むよ、ハルカ」


「はい、リク様」



差し出した手を握り返し笑うハルカは、とても柔らかな優しい笑顔だ。

既に朱雀によって外堀を埋められている男。

一体何を言ったんだろうね。

そして、なんかまた変なフラグ立ててる…。


ここで小噺タイム。物語にはあんまり関係ないので読み飛ばし可。


基本的にアルテマ・オンラインの世界はプレイヤーもNPCも名前は表示されません。

現実の方でややこしいいざこざがあったようで、それぞれでステータスを見せ合うのがこの世界の流れ。名刺交換みたいなものです、フレンド同士なら簡易的な情報は見れます。

ただアルテマ世界は人権なぞクソくらえなのでPK、レッドネームのプレイヤーは普通に名前が表示されます。


レッドネームとの遭遇の時、新規ちゃんは名前を見てて首領が見てなかったのは単純に興味がなかったから。

首領は自分の琴線に合致した人しか名前を呼ばない。

メルティの場合は初手のインパクトが強烈だから『あ、コイツ面白い』って感情と仲間の紹介で幾分か好感度上がってました。チェシャ猫女史は名前は憶えてるけど顔を忘れてる。

名前呼びは彼なりの友好の証です。尚爺さんは爺さん、理由は呼びやすいから。

地の文では軽いけど、仲間への愛も信頼も重いので彼らからのお願いなら面倒事でも首を突っ込むしやらかしても手を貸す。

それがリアルでもゲームでも。

NPCへの扱いに関しては後々分かります。

恋愛ゲームに居たら凄い面倒くさいタイプですね、温かく見守ってあげましょう。


この小説はほのぼの系です。

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど、金だと双子になっちゃうもんね…
[良い点] ほのぼの系了解(*`・ω・)ゞ [一言] 更新感謝
[良い点] 名家で種族としても強い、王族の側使えが仲間になった! トリプルヒットでバランス崩壊不可避! [気になる点] >この小説はほのぼの系です。
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