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いざ戦国

ここら辺はまだ少し駆け足気味だな。

書きたい物だけを書いてるとこういう事がある。

風が草木を撫で、桜の花びらが舞う。

周囲には今では見る事のない古き良き日本の原風景。

家屋の周りには桜の木々が立ち並び、大通りを歩くNPCは忙しなく働いている。全員角があるけど。



「こんにちわアズマ」


「ここはアズマの一つ、春の街オウカだ」


「リッくん見て!あっちにお団子屋さん!」


「首領、離れては迷子になってしまう」


「御館様、拙者感動でござる!」



さあ…俺のイカした、もしくはイカれたメンバーを紹介しよう。

一人目

CCきっての戦闘狂。三食昼寝より戦闘寄越せ…朱雀!

二人目

戦闘狂加減では朱雀に並ぶ!?抜刀大好き活発夜叉…八千代!

三人目

俺の護衛とか言ってついて来たけど、結局お前も戦いたいだけじゃね…刃狼!

四人目

自称傍仕え公式ストーカー、なんでいつの間にかいるの?…羅刹丸!


…はい、説明します。

事は朱雀から話を聞いた後に遡る。

朱雀からの招待を受け俺はアズマ行きを決めて、クランチャットにちょっと留守にしますと打ち込んだ。

チャット欄が荒れに荒れてアズマ行きがバレました。

俺の護衛として八千代と刃狼が同行すると言ってきました。

朱雀の承諾を貰いアズマに転移したら、何故か俺の背後に羅刹丸が居ました。

以上。



「本当に良かったの朱雀」


「首領があの方に会ってくれるなら問題ない。

レベル1ならば護衛も必要だろう」


「リッくんの右は私が守るよ!」


「ならば俺は左か」


「拙者は後ろでござるな!」


「うむ、某は前だな。承知した」


「承知すんな、勝手に決めんな」



いやまあ護衛と言う点では凄い信頼してる。

朱雀、八千代、刃狼はうちのクランでも実力者…というか人外とか呼ばれてる連中だ。

コイツ等三人で一度『死神』を抑え込んだこともあるほどだから頼りになる。

羅刹丸の隠密性能もバカに出来ない。影さえあればどこからでも姿を現す生粋の変態…もといストーカー。

ちゃっかりPK数でも五本の指に入ってるし。

でもさ…このメンバー、とってもキャラが濃い。

ツッコミ不足も良い所だ。HaYaSEが欲しい。

痛くない頭を押さえる。



「はい皆、一旦情報確認」


「はい!」


「全員のレベルを把握したいから、一人ずつ言ってって」


「八千代は62!」


「刃狼…65」


「羅刹丸は59にござる!」


「朱雀、76だ」


「首領はLv1です。お前らどんだけ狩りしてんの?」



おかしいなぁ、俺だけ場違い感が半端じゃない。

てか朱雀のレベルおかしくない?羅刹丸もそんなに上がってるとは思わなかったけど、お前なんで一回りも高いの?



「アズマの平均レベルは70だからな」


「あれ、お前初日に海渡ってアズマに着いたんじゃ…」


「海にもモンスターはいるからだろう」


「そこでレベルを上げたのか…」



疑問は解消したけど、もしかして初期装備で足場も安定してない水中で戦闘してたの?



「さて、街を歩こう首領」


「アズマ観光だ!」


「首領、逸れない様に手を繋ぐか」


「刃狼は俺をなんだと思ってるの?」


「拙者は影に入ってるでござる!」



雑談もそこそこに歩き出す一行。

家屋はどれも茅葺屋根。最近はコンクリと鉄で出来たマンションが主流なので、こういうのを見るとテンションが上がる。

あれだ、昔山であった爺さんの家がこんな感じだったっけ。囲炉裏とか刀も飾ってあったし、あそこだけ世界観狂ってたな。

俺を囲むように歩く一行を見て、周りのNPC達はちらちらと様子をうかがっている。



『龍狩りの人と、他の方は誰かしら』


『小さい嬢ちゃんは朱雀様と似た様子だが、あの真ん中の男と、左の男は異国の出か』


『さっき黒い服の子が真ん中の人の影に入っていったわ』


『護衛の様に周りを囲って、もしや四大華族の…』



凄い噂されてる。

誰だ朱雀様って、コイツただの戦闘狂だぞ。



「朱雀、もしかして有名人?」


「…首領、やめてくれ」


「あー、おじちゃんが照れてるー!」



八千代と二人で渋い顔をする朱雀を弄る。

やんややんやと騒ぎながら街を歩いていると、ボソリと刃狼が囁いた。



「…首領、見られている」


「茶屋に二人、あそこの屋根から二人、路地裏から一人?」


「二つ隣の店の中にも一人だ」



街中のNPCとは違う、害意はないけど探るような目。

朱雀を弄り出した時から感じてたけど、一人増えていたらしい。

さて、面倒事かな。

刃狼が言ったもう一人をさり気なく確認していると、影の中から羅刹丸が話しかけてくる。



「拙者が始末して来るでござるか?」


「羅刹丸、俺達は汚れ一つない純白のクランだよ」


「NPCならば、幾らでもやりようはござる」


「手を出して来たらやっていいよ」



一方的に監視されるのは好きじゃないしね。

ウインドウを動かし、羅刹丸に何個かアイテムを送る。

フォレストスネークの毒液と、ブラックモスの鱗粉。

あとは、月見大福から送られてきた新薬で良いか。



「首領、あれはこちらに手は出してこない。

某が保証しよう、早まらないで欲しい」


「あ、そう?」


「リッくんこわ~い」



朱雀が言うなら大丈夫か、アイテムは送っておくけど。

念には念を入れよって言葉もあるしね。NPCに襲われてアイテム落としましたとかクラマスとして恥ずかしいし。

大通りを歩く事数分、俺達の前には広大な屋敷とそれを護る門が聳え立っていた。



「ここが目的地?」


「ああ、ここに会って欲しい方がいる」


「凄く大きいねぇ」


「…領主の館のようだ」


「某が話を通してこよう」



領主の館、確かに似ている。大通りの奥にあるとか如何にもそれっぽいな。門には桜の花びらのような家紋が描かれている。

京都の街中にでもありそうなその門は、朱雀が門番に話しかけるとひとりでに開き始めた。



「おおー」


「凄いねぇ!」


「圧巻だな」


「では、中に入ろう」



先に中に入っていく朱雀の背を追う。

ふと、先程の門番の方に顔を向けると二人はまるで何かを恐れるように俺達を見ていた。

もしかして朱雀、ここでなんかした?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >>朱雀、ここでなんかした? レイドボスを数人で倒した以外にもなにか? [一言] 更新感謝!
[良い点] 五人目の紹介をしれっと飛ばしてる首領よ。 [一言] ノリというか文章のリズムが良いのでスルスル読めました。 みんな首領好きすぎて幸せ空間(ただしみんな修羅)
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