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キミの名は

新衣装シビラ実装記念、新衣装シビラ!実装!記念!

ひゃっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

俺の平穏への道と共に怒涛の如くアナウンスのログが流れる。

色々とツッコミを入れたい所はあるが、取り敢えず薄味な処から見て行こう。まずは『使役術』の上位スキル。

『使役魔術』はまだ分かる。テイマーの上位スキルで高レベルの連中も使っていた。

でもさ、なに『主従使役術』って。上位者の介入って絶対お前の仕業じゃん。



『主従使役術』

『使役』系統上位派生スキル。

両者の同意を得る事により、NPCと契約を交わすことが可能。


『サーバント』

『テイム』の上位アビリティ。

『人族』『獣人族』『鬼人族』『龍人族』『翼人族』『魔人族』との契約が可能。



へえ、NPCをテイム出来るスキル。

…ダメじゃね?外聞も悪ければ効果もダメじゃね?

この世界のNPCは替えが効かないんだわ。

死んだらそれまでのシビアな設定のせいで、クロノスでは何人か主要キャラがロストした。

でもね、使役で契約したモンスターって普通にリキャスト待ったら生き返るんだよ。

わあ、夢のゾンビ軍隊の完成だ。ヤバい。



『凄い嬉しく無さそうだね!』


「お前は凄い嬉しそうだな」


『リクにはもっと自由に生きて欲しいからね!』


「善意100%かよ…」



白玉の目でキラキラと俺の方見ないで頂けません?

いつか仮に使う時が来るまでスキル欄の肥やしにでもしておこう。

さてお次は…。そうだよなお前だよな鹿。

白玉(月)と同じく俺に期待したような目を向ける鹿…改めケリュネイア。



「大丈夫だ、お前をテイムする事は俺も確定事項だった。だからこれは許容範囲…許容範囲」


『言葉を噛み締めてる…』



一度深く深呼吸をし、俺はウインドウでケリュネイアのステータスを確認する。


『』

種族『グリン・ケリュネイアLv100(封印)』

HP 15000/15000

MP 25000/25000

STR 5000

VIT 5000

INT 5000

MID 5000

DEX 5000

AGI 5000

LUK 5000

【ユニークスキル】

『緑の災厄(封印)』

【アビリティ】

『真翠回帰(封印)』『呪森浸食(封印)』

『緑の支配』『豊穣の息吹』

【称号】

『豊穣を齎すモノ』『破壊者』



もう終わりだこのゲーム。インフレが酷い。

白玉の時ですらあんなバカげた数値だったのに、もうコイツは何。

これ多分封印中でもこの数値って事でしょ?

ダメじゃん、一蹴りでボスモンスター吹き飛んじゃう。



「お前、凄かったんだな…」


「ミュー」



そうだろう、撫でろと言わんばかりに顔を押し付けてくるケリュネイア。

茫然としながらも撫でてやると、とても嬉しそうだ。



『災厄なんて呼ばれてた子がまるで子供のよう…』



愛おし気にケリュネイアを見つめる『月』。

コイツ、確か自分の命と引き換えに災厄を封じたんじゃなかったっけ。なんでこんな好意的なんだろう。

撫でる作業も一段落し、俺はケリュネイアと向かい合う。



「取り敢えずお前に名前を付けないとな」


「ミューン!」



余程嬉しいのか大きく鳴いて俺を見る。

もう白玉と二人で名前は決めているんだ、俺何匹か名前を付ける時は統一感を重視したい派。

コイツの翠色の目を見た時に浮かんだ名前を口にする。



「お前の名前は、『翠玉』だ」


「ミュー!」


『わぁ、安直』



おいこら止めろ、そんな目で俺を見るな。

良いだろ翠玉。白玉なんて最初はケダマから名前取ったんだぞ。

…ごめんな、白玉。

心の中で白玉に謝っていると、翠玉から貰った指輪に反応があった。

滅茶苦茶震えている。あ、光った。



『アイテムの進化だね』


「進化?」


『ほら、指輪を見てみて』



『月』に促されるまま、光が収まった指輪を見る。

あれ、真ん中に付いてる宝石少し鮮やかになってない?

鑑定を使用し指輪を見る。



『翠玉の指輪』

独りを嫌い、豊穣を齎す彼女との契約の証。

世界は彼女を愛さなかったが、それでも彼女を愛する者は確かに現れた。

:INT+100 AGI+200

:『翠玉』召喚中、召喚者と『翠玉』の一番高いステータスに上昇補正



あらぁ、あらぁ…。

凄いね。一日にして俺のステータス、AGIだけアホみたいに上昇しちゃった。

このゲームのバフって、効果の違うアビリティ同士だと基本乗算式だから、『月歩』と『新月』と『弓張月』合わせたら2000超えちゃう。

壊れる…ゲームが壊れる。もうどうにでもなれ。



「俺つえぇ…」


『致命殺だけなら表の世界では負けなしだね!』



また『月』が変な情報開示してるけど、いいや。



「俺は俺のスローライフを送るんだ…」


『それで良い、私はリクの旅路を見ていたいんだ』



上位者様からお墨付きを頂いてしまった。

まあ、こんなステータスしてたら攻略とかやる気しなくなるからな。



『さて、それじゃあ私はそろそろ行こうかな。

幾ら『聖域』の中とは言え、長く居れば他の神達が気付いてしまうかもしれないし』


「やっぱりこの世界って神様いるんだ」


『うん、いるよ。

神によっては加護をくれる者もいるはず。

詳しく知りたいなら聖国を訪れると良い、あそこは神々を信仰する国だからね。

もしかしたら、それより先にここを見つける子もいるかもしれないけど』



聖国、たしか十六夜が目指してる先がそんな国だった気がする。情報をくれるのはありがたいので、後で月見大福と十六夜に言っておこう。

と言うか、今ここを見つけるとか言いませんでした?



『それじゃあね、私のたった一人の愛し子』


「愛し子になった覚えはない」


『そんな所も可愛らしい。いつか本当の姿でキミと会えることを願うよ』



光に包まれる白玉の体。

ああ、ちょっと待って。

そういえば最後に聞いて置きたいことがあった。



「ちょっと待ってくれ」


『…どうしたの?』


「名前、教えてくれよ。月じゃ仲間と被る」



急に待ったを掛けられ、キョトンとした顔から一転嬉しそうに微笑む『月』。



『…ルナーティア。今はもう古き者しか覚えていない月。それが私の名前だよリク』


「…分かった。今度来た時はそう呼ぶ」


『今度?』


「どうせまた満月に来れるんだろ?」



厄ネタを運んできた張本人だが、数少ない話をしたNPCだ。スローライフを楽しむと言った手前、こういう繋がりは大事だろうし。

俺の説明を聞くと、ルナーティアは何かを堪えるように黙り込む。



「どうした?」


『…ああ、やっぱりキミだ。キミこそが私の愛し子だ』


「まだそれ言う?」



何か目が少し濁ったような気がしないでもない。

間髪入れずに発したツッコミにルナーティアは笑いながら言葉を紡ぐ。



『それじゃあまた満月の夜に会おうね、リク』


「配信してる時は来るなよ」


『配信…ああ、遠視の魔術。

分かってるさ、キミの邪魔をするのは本意じゃない』



なんでコイツこんな好感度高いんだろう(二回目)

頷いたルナーティアは今度こそと姿を消すようだ。

発光白玉現象の後には、寝ぼけた様子で俺を見ている白玉。



「お前の上司は、随分とサプライズが好きらしいな」


「キュキュ…」



力無く頷く姿は哀愁が漂っており、残ったパイの一切れを渡してしまう。

喜色の咆哮を上げながらパイを貪る白玉と頭を押し付ける翠玉を俺は何度も撫でるのだった。



「アイツらに説明どうしよう…」



何も考えたくない。

緑の災厄は他の亀や鳥よりも優しい。

あ、一応ここで一章終了です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 世界に「消えろイレギュラー」された災厄もプレイヤーたちから化け物呼ばわりされた道化も大して変わらないな!ヨシ!
[良い点] \\\\٩( 'ω' )و //// ハァイ!!!(厄ネタ) [一言] 更新感謝(ㅅ´꒳` )&一章お疲れ様です シビラさん配布ってマ?アイギス運営まじアイギス
[良い点] 面白かった!次章も楽しみにしてます!
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