俺の仲間達3
ストックが有り余ってやった、後悔はしてない。
あ、個人的に好きな所なので良いねお願いします。
コメントなど頂けると励みになりますとも付け加えとこ…
さてお次は…。
別のテーブルに行こうとすると、急に肩を組まれる。
「首領、次は俺様達の所だぜ!」
「すんません首領。うちのバカが…」
「待ってた」
源氏小僧、シモン、白椿。
バーサーカーと、それを支える支援役…もとい苦労人達のテーブル。
見るからに苦労してそうな黒髪の男がシモン、口数が異様に少ない白髪で顔の色素も薄い少女が白椿。
「お前はいつも楽しそうだな源氏小僧」
「今日は格別に楽しいけどな!」
「皆が一堂に会するのは久しぶりだから、コイツもテンション上がっちゃってるんです」
「源氏はいつもこれだよ」
こら白椿。仲間にコレって言うんじゃない。
いやまあお前らの苦労を聞いてれば仕方ないっちゃ仕方ないけど。
ゴドーに密告するって中々だからな。
「そうだテメェら、俺の事翁にチクりやがっただろ!」
「お前のバカを少しでも軽減させようとしてるんだが?」
「脳筋」
源氏小僧が白玉みたいに震えちゃってる。
やめなさいお前達。源氏小僧はこの外見でナイーブなんだぞ。
「まあ、そこがお前の良い所でもあるよ」
「首領…!」
「甘やかさんでください首領。すぐコイツ調子付くんで」
「躾け大事」
「源氏小僧は犬か何かなの?」
この通り、オラオラ系の外見なのにコイツ弄られ役なのである。戦闘以外だと比較的良い子なんだけど、戦闘になると朱雀並みに猪突猛進したくなるらしい。
俺に引っ付いてくる源氏小僧の頭を撫でながら慰めてやる。
「…バカ野郎、そこ代われ」
「万死に値する」
野郎の撫でで殺気立つなよ。このメンツと接すると、なんだろう大人になった気分になる。
割かしうちのクランの中では若い方だからだろうか、弟やら妹の相手をしてる感じ。
凄い目で源氏小僧を睨み付ける二人の頭も撫でてやる。
「首領、あざっす!」
「んふふ…」
子供だよなぁやっぱりこいつ等。
その後、ずっと三人の頭を交互に撫でながら雑談に興じ俺はこのテーブルを後にした。
やめろ、お前ら引っ付くな。
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「そりゃまた何とも」
「おや、来ましたか首領」
「源氏達の子守お疲れさん首領」
「流石我らの首領だ」
「うむ、御館様は素晴らしいお人にござる!」
落ち着く二人と落ち着かない二人がいる。
最終社畜Vとハンペン騎士。この二人はいつもパーティを組んでいる。仕事柄時間がかみ合うようで常にタッグを組んでいるといっても良い。
社会人故に会話も円滑なのだが、問題は他二人。
狂信者一号と俺の傍仕え(自称)のこいつ等だ。
カンペイはよく俺の配信で気付いた事を迅速に明確に告げてくれる正に軍師…なのだが、何でか俺の行動を過大視する事が多い。
ついでに魔魚を大量に送ってくる主犯。
そしてもう一人、羅刹丸。
俺の傍仕えを自称してクロノスではユニークスキル『影魔術』を使い、よく俺の影の中に潜んでいた。
いや本当に、いつの間にか影の中にいるんだよコイツ。俺が試しに、暇だからボードゲームしようって影に向かって話しかけたら秒で「承知!」とか言って出てくるの。
こっちではMP不足で影魔術使えないだろうけど。
「御館様、お手を拝借してもよろしいでござる?」
「え、いいけど」
突然羅刹丸が声を掛けて来る。
ハイ、と差し出す俺の手を取り、謎の印を結ぶ忍者少女。
少しして自分のウインドウを出して何かを確認するとにこやかに笑う。
「『影魔術』がアルテマに移行して以来上方修正されたのでござる。プレイヤーを登録する事で、その指定した影に転移出来るようになったでござるよ」
「お前のあまりの変わらなさに、御館様ドン引きだわ」
コイツなんも変わってねぇ。
横を見ればカンペイが凄い睨み付けている。
ああ、これさっき見た。羨ましいのかお前?なんで?
というかユニークスキルの上方修正って何。
「首領も大変ですねぇ」
「この曲者集団を纏めてるだけあるわなぁ」
おいお前ら、何暢気に見物してやがる。助けて?
俺と目が合った社畜は笑顔で首を横に振る。
どうやら鹿だけじゃなく世界は俺も愛さないらしい。
「いや待て羅刹丸。もう影魔術使えるの?」
「昔からMP効率は良かったでござる」
「だからあんな気軽に俺の影の中に入ってたんだ…」
運営修正しろ、ここにチートがいるぞ。
コイツに影魔術覚えさせたの絶対ミスだろ。
「これでまた名実ともに御館様の傍仕えにござるな!」
「羨ましいぞぉ…羅刹丸ぅ…!」
「名も実も与えてやった覚えないけど?」
カンペイが人を殺しそうな目で羅刹丸を凝視してる。
そんな目を向けられている羅刹丸だが、その顔は喜面で満たされておりカンペイを煽る。
「カンペイ、悔しいでござるか?悔しいでござるよな?」
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
声にならない慟哭ってあれの事を言うのかな。
もう首領何も見たくないや。何も感じたくないや。
「では御館様。拙者に御用の際はいつでも影に向かいお呼び下され!」
「…まあ何か用があったら呼ぶよ」
「はい!」
「らぁせぇつぅぅまぁるぅぅ…!」
「カンペイには後で新しい料理を送っとくよ、感想よろしく」
「ハッ、寛大な慈悲に感謝を首領!」
変わり身速すぎないお前?さっきの鬼も殺せる顔はどこへ行ったの?
遠い目をしながら二人を見る俺をテーブルの向こうから見る二人。
「やっぱ首領すげぇわ」
「長の風格ですね」
お前らはもう少し俺を助けろよ。