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嵐が去って

新規王子、もしくはアイギスをやってない皆。

アイギスは良いぞ!ドット絵とタワーディフェンスが好きな人はハマるぞ!

明日のアプデからログイン報酬で最大石100個貰えるから皆やろうな!

「あの…!」



取り敢えず森の外に出ようと、歩き出すと後ろから声を掛けられる。

誰…いや、さっきの被害者さん達か。

加害者達は飛んだけど、そういやこの人らは無事なんだっけ。声を掛けてきた先頭のプレイヤーに目を向ける。



「なに?」


「あ…いや、さっきはありがとうございました!」



頭を下げる先頭の茶髪プレイヤー。それに続く様に他二人のプレイヤーも頭を下げる。

随分礼儀正しいな。



「いいよ、ちょっと気になる名前を言ってたから話を聞こうと思っただけだし」


「話って、さっきの首なんとかの事ですか?」



ああ、あまり話を聞いてなかったのね。

そういえばあの三人とお話してた所もちょっと距離が離れてたっけ。

それなら好都合。



「そうそう、うちのクランと似た名前を名乗ってたからついうっかりキルしちゃったけど」


「うっかりで人の首飛ばすの…?」


《思いっきり怪しまれてるよリク【月見大福】》



後ろの白いプレイヤーが呟く。俺言いくるめは初期値なんだ。彼女さっきから俺を不審そうに見てるんだよね。



「まあ君たちもPKにあってたみたいだから流れで助けただけだよ」


「そうだったんですね!」



茶髪プレイヤーが純粋そうで良かったわ。見ろ魅惑の説得術。

後ろの二人は未だ不審そうに俺を見てるけどね。なんだキミら、ゲームの中とは言え我命の恩人ぞ?

まあ、どうせもう会う事もないだろうし良いけど。



「それじゃ、俺は次の街に行かなきゃならないからもう行くよ」



だって面倒だし、あんまり新規プレイヤーとは関わりたくない。

俺がそういうと茶髪プレイヤーは興奮したように声を上げる。



「私達もアルトメルンを目指そうと思ってたんです!」


「へえ、それは奇遇だね」



それじゃあね…って言おうと思ったら、先に茶髪プレイヤーが言葉を紡ぐ。スペルキャンセラーか?



「あの、良かったら私達とパーティを組んでもらえませんか!?」


「ちょっとアリサ…!」


《またリッくんが引いた【八千代】》


《リーダー、手が早いねぇ【flowerdrop】》



え、やだよ。

てかお前らなんだ引いたって、手が早い前に出してないが。

隠者のスキルも切れちゃったから正直ここをダラダラ移動する気が起きない。アビリティ使ってとっとと風の都に行きたいんだ。



「悪いけど、あんまり集団行動は得意じゃないんだ」



ボク、コミュニケーション苦手ですアピール。

早くこの場から去りたい一心だ。

俺が見ている前では少女達が集まり、何やら話をしている。もう行っていい?



「急に何言ってんのさアリサ」


「そうですよ。さっきあんな事があったばかりなんですから」


「だってこの人、助けてくれたじゃん」


「なんでそんな楽観的なの!?」


「PKとは言え、躊躇せず人を斬ってましたし。

それにその後の行動も少し怖かったです」


《普通に聞こえちゃってるね【月見大福】》


《まあ、首集めてお話とか新規にはキツイ光景だろうなぁ【HaYaSE】》



話長そうだからもう行こう。

アルトメルンの観光もしたいし、島に白玉を置いてきてるし。

歩き出した俺に気付いたのか茶髪プレイヤーが声を掛けて来る。



「あ、ちょっと!」


「今度は新規狩りに見つからないように気を付けてね」



時間の無駄。

自分の為に時間を浪費するのは好きだが、知らない他人の為に使うのは嫌いだ。

後ろ手で右手を振りながら歩く。

新規狩りねぇ、時間も経ってPKに余裕が出てきた頃なのかな。

歩きながら考えるが、まあもうPKは卒業だし関係ないか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「行っちゃった…」



手を振りながら、あの人はスタスタと歩き去ってしまった。さっきの会話が聞こえてしまっていたのだろうか。折角助けてくれた人に失礼な事をしてしまった。



「さっきの方なのですけど」



春姫が重苦しく口を開く。



「先程のPKと彼の会話、私聞いていたんです」


「首なんとかってヤツ?」


「首狩道化、と名乗っていました」



ああ、そういえばそんな名前だった。

初めて向けられた人からの悪意とPKの恐怖ですっかり忘れてしまっていたのだ。



「何か情報がないかと思って調べてみたんですが…」



春姫が出したウインドウには文字の羅列。

アルテマ・オンラインの専用掲示板だ。その一つに興味深い名前があった。



「首狩道化捜索用?」



見れば最近立てられた物らしい。

なんでも、アルテマの前身クロノス・オンラインで猛威を振るっていたPKクランのリーダーの捜索。

他のメンバーは確認されているが、彼だけ一向に姿を見せないと。

掲示板の製作者は事前にその男の情報を事細かに記載していた。

名前はリクだとか、目付きが異常に鋭いだとか、正体不明のユニークスキルを使うだとか。

さっきのあの人と合致する箇所が多い。

そして最後の一つ、道化は必ず首を落とす。

さっきの光景がフラッシュバックする。



「じゃあ、あの人って…」


「多分、本人だと思います。その首狩道化の」


「ボクもさっき春姫に見せられたんだ」



だからこの二人はあんなに頑なだったのか。



「でも、あの人レッドネームじゃなかったよ?」


「そこが分からないんです。

PKに気を付けてとも言ってましたし」



頭を悩ませる私達。

PKに遭遇したら、それよりも怖い人がPKを倒して去っていった、忠告までして。

何が何だか分からない状況だけど、それでも彼は私達を助けてくれた事には変わりない。



「首狩道化のリクさん、かぁ…」

名前だけが先行し過ぎた影響か…そもそも首狩道化はクラン名ではなく、個人の二つ名だったりします。それが分かってない時点で彼らは理解度が足りてなかったり…。

あと、首狩道化捜索用は迷惑プレイヤー板の一つが熱心なファンによって変更された物。

何故か一部過激なファンがいるPKクラン。

…掲示板回は一応作ってたりする。いつ出るかは知らないけど。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 首を切られた後にお団子三兄弟wにされたPKさんゲーム辞めちゃったんじゃw てか、最前線クランが手を組んでも勝てないのほんと草 超少数精鋭だな
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