いつかやるとは思ってました
夜になりました。
すっかり熟睡してしまったらしく、周りは薄暗い。強制的に捕まえた白玉もすぐ傍で丸くなりながら眠っている。
ウインドウを開くと7時を回っている。大体3時間位眠ってしまったらしい。
体を起こし、蝋燭に火を付け配信を付ける。
「よう、皆おはよう」
《あれ、リッくん寝起き?【八千代】》
《珍しいね。キミ昼に寝ると寝付けないって言ってたのに【月見大福】》
「色々考えてたら面倒くさくなって寝ちまった」
軽く伸びをしながら反応を返す。
《それよりリッくんアナウンス聞いた!?【八千代】》
《戦国だってなぁ、名前的に大和モチーフか【HaYaSE】》
《発見したプレイヤーの情報もないし、接触してみたいね【月見大福】》
《流石、CCの考察班【BB】》
やいのやいのとコメントが爆速で流れていく。ああ、凄い言いにくい。情報ないのは捕まってるからだよ、なんて言いにくい。
《大和なら刀あるかな!?【八千代】》
《お嬢、刀欲しがってやしたもんね【蛮刀斎】》
《火縄銃とかもありそうだね【月見大福】》
「ああ、そのなんだ皆。あの国発見したプレイヤーなんだけどさ」
《お、もしかして情報あり?【月見大福】》
よし、言うか。
「あれ、朱雀なんだよ…」
《え【月見大福】》
《なぬ?【†災星†】》
《マジ?【flowerdrop】》
「情報出てないのは…アイツ、その新しい国で捕まったらしい」
《旦那ぁ…【蛮刀斎】》
《いつかはやると思ってましたわ【ハートの女王】》
《奇行度合いなら首領とどっこいだったもんなぁ【HaYaSE】》
なんで俺がアイツと同等の扱いをされなきゃならんのかは甚だ謎だが、俺は三時間前に送られてきたメッセとスクショの情報を出す。
《…アズマの人、大丈夫かな?【八千代】》
《流石にNPCに斬りかかったりは、いやするね朱雀は【月見大福】》
《絶対喜んで斬りかかるであろうな【†災星†】》
《嬉々としてやりますわ【ハートの女王】》
ああ、同じ幹部からのこの厚い信頼。いや、正直俺もやると思う。というか捕縛されたの信じられないし、実は何人か斬って逃げ延びてそう。
取り敢えず、続報はアイツが娑婆に出て来てから改めて聴こう。
今は別の話題で話を逸らしておこう。
「そうだ皆、街で小麦粉って見かけた?」
《小麦粉?【八千代】》
《店売りでは見ないね【月見大福】》
《料理でもするのかの?【†災星†】》
ああ、やっぱり小麦粉は出回ってないんだ。ちょっと残念だな。あの大量の果実は寝かせて置くしかないか。いや、頑張ればジュースとかいける?
どうにかして果実の調理法を考えていると、思わぬ所から声が上がる。
《小麦粉なら心当たりがある【BB】》
《あ、メルティちゃんの所のヤツだね【桜吹雪鱈】》
「え、BBほんと?」
マジで、小麦粉あるの?
《フレンドになった子が、お菓子作りが好きで、NPCに融通してもらったって【BB】》
《料理人になるとNPCと接する機会が増えるらしいよ首領【桜吹雪鱈】》
成程、NPCが独自に作ったりしてる事もあるのか。
ここにきて元PKの弊害が出てくるとは思わなかったな。
《少し、譲ってもらう?【BB】》
「いや、今回は俺が出るよ」
思えばNPCやプレイヤーと接する機会なんて、数えただけでも少ない。あのガチムチうさ耳爺さんとか暗部ギルドのお偉いさん位しか話す機会が無かった。
折角足を洗って隠居生活を送っているんだ。地元民と親交を深めるのも悪くはないだろう。
「そのメルティさんに紹介して貰っていい?」
《うん。首領が、望むなら【BB】》
《ビビちゃん今の言い回しカッコいい!【桜吹雪鱈】》
BBからの承諾を貰い、俺は小麦粉を手に入れる可能性が出てきた。やっぱり仲間がいるって素晴らしいね。
「作るモノはまだ言えないけど、近いうちにこの島でパーティでもしよう」
《ぱーてぃー!!【八千代】》
《良いね、何が出て来るのか楽しみだ【月見大福】》
《兄上の料理は美味いぞ!【†災星†】》
《ならば儂も幾つかテーブルを拵えておくかの【ゴドー2号】》
《今から楽しみだなぁ【HaYaSE】》
《パーティ代だ『100000マニー』【刃狼】》
《刃の兄貴、桁がやべぇ…【蛮刀斎】》
よし、楽しくなってきたな。
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