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アルトメルン最強決定戦1

ブランク過多&書き方が若干変わった疑惑はあるけど投稿。

まだ読んでる人居るのか分からんけど不定期でやってきやす。


モッキンバード早く実装して欲しい。

『レディース&ジェントルメンッ!!

ようこそ血に飢えた異邦人達!アルトメルン最強決定戦の司会を務めるのは、この俺!ドライ様だぁぁぁぁぁぁ!!』

「うるさ…」


 思わず耳を塞ぐほどの絶叫を響かせ、馬鹿みたいに騒ぐAIの姿に思わず顔を顰める。

 


「最強決定戦だってさ、リッくん」

「見た感じ、ちょこちょこと攻略組も混じってやすね」

「報酬良さげだったもんねぇ」



 現在地はアルトメルン闘技場。

 俺を囲むように座る四人と共に今日、俺は決闘イベントを観戦する為にアルトメルンを訪れた。


 乱戦形式で行われるPvP…バトルロワイアル。上位入賞者にはスキルポイントが、一位通過報酬はなんとスキルチケット一枚だとか。

 職業、レベル問わず…ユニーク以外ならば何でも取得出来る魔法のチケット。

 クロノスでも実装されていたが、これは中々に有用なアイテムだ。



「首領、一個くれよぉ」

「ほれ」

「サンキュ…デカくねえかぁ?」



 手元に置いた馬鹿でかいポップコーン。

 文字通りビッグコーンなる物を食っていると、横からHaYaSEが手を伸ばす。



「でもよ。死神も天剣もいねえ最強決戦なんじゃぁ、お遊戯会も良い所なんじゃねえのぉ?」

「アイツらを引き合いに出すのはどうかと思うけど、まあ折角の祭りだし。それに新規組の中にも生きの良いのが居るんじゃないか」



 別に強い奴を物色しようなんて気は更々なく、本当にただ観戦するだけ。イベントなんて久々なんだ、目一杯楽しみたいじゃん。

 それに、連中が出張ってきたらイベント処の騒ぎじゃなくなるし。



「乱戦か、八千代は出ないの?」

「八千代が出たら直ぐに終わっちゃうもん」



 さも当たり前のように言う八千代。

 確かに、コイツは既にレベルキャップに到達しているし『剣の道』があれば容易に突破出来るかもしれない。



『準備は良いか野郎共!アルトメルン最強決定戦、一日目の決闘を始めるぜぇぇぇ!!』



 AIの声に応じ、デカデカと空中に文字が浮かび上がった。次いでウインドウが細かな文字に変換される。

どうやら、出場プレイヤーの名前らしい。



「個人情報もへったくれもねえ」

「ネーム防止はあるみたいじゃん。ほら、所々伏字になってる」

「お、ホントだ」



 全体の二割程だろうか、nonameの表示。

 つまり八割は自分の名前を明かしても良いと思ってる訳になるが、何とも自己顕示欲豊かである。

 いや、俺達が言えた事ではないが。


 さて、そんなプレイヤー達はと言えば、互いに蹴落とし合い、時には共闘し、その数を減らしている。



「初心者狙いか」

「まあ、順当と言うかなんというか…」



 最初に狙われるのは、新規や装備が充実していない初心者連中。得物を出してるのは良いが、動きも単調で何より挙動不審だ。PvPと言うよりもゲーム自体慣れてない事が伺える。

 前衛ならば振っても空振り、後衛はそもそも攻撃する暇さえない。

 数人に襲撃を掛けられれば、ロストも秒読みだろう。



「これじゃあ新規狩りを見てるのと大差ない。まあ、予選ならこんな物なのか?」

「人の欲って奴は怖ぇなぁ首領」



 その割に随分と楽しそうじゃないかHaYaSE。しかし同意見だ。スキルチケットにはそれ程の価値がある。平時では新規勧誘やら熱烈支援やらを謳う奴らも今日ばかりは修羅となる。


 数分もしない内に初心者組は狩られ尽くし、残るは中堅と攻略組。

 前座も早々に、やっと面白くなってきそうだ。



「このイベント。確か一週間続くんだよな。これが予選って事であってるか?」

「四日間予選、その後に勝ち残った四人で一騎打ち。最終日に決勝じゃなかったっけ」

「誰が残りやすかねぇ、知ってる名がありゃあテンション上がりやすけど」

「俺が覚えてるのは、居ないだろうな」

「首領は人の名前覚えなさすぎじゃんよ」



 脳のリソースが足りないんだ。

 とんでもない動きをする奴なら覚えられるんだけど。


 ジトリと睨むflowerdropから視線を逸らし、言い訳を考える。すると、会場がにわかに騒ぎ出すのが聞こえて来る。 



「なあ首領、あのプレイヤー…すげぇ既視感があるんだけどぉ」

「ん?どれどれ」



 何事かと闘技場内を観察しているとHaYaSEが徐に指差す。それは、黒フードを被った大槍を構えるプレイヤー。耳を欹てると、他の観客もソイツの話題で盛り上がっている。


 縦横無尽に戦場を駆け回り、先駆けとばかりに多くのプレイヤーを屠る。

 傍には侍るように二体の獣…あれは虎か。


 いや、ちょっと待て。

 虎以前に集中してソイツを見ていれば、どうにもその()()()は俺のよく知る物だ。

 ウインドウを開きフレンド欄を確認。



「……アレ、BBじゃん」

「やっぱりぃ?」

「ホントだ、ビビちゃんいる!」



 BBの現在地は、アルトメルンだった。

 チャットを送ってみても既読無し。



「俺、出るって聞いてないぞ」

「珍しいね。あの子がボスに言わないなんて」



 言ってくれれば応援幕でも持って来たのに。

 若干のショックを受けている間に、黒フード(BB)は更に虎の数を増やす。

 二体から三体、そして…五体。

 確か、あの槍の効果は『虎影』の数に応じたバフだったか。

 速度を増し槍を振り回すその姿は、戦武者。

 見応えあるなぁ、なんて他人事のような感想を抱いていると不意に俺の脇腹を突く感触。



「ねえリッくん。あの槍、八千代知らない」

「あー、あー…」



 そりゃあ作ったの、つい最近だからね。

 意味深な笑顔を向け俺を見ながら太ももを抓る八千代に、何を言おうか視線を彷徨わせる。

 ちょっと待って、ダメージ入ってるって。



「試し切りには、最適でやすね」

「てか、BBも首領がここにいる事知ってるはずだよなぁ。サプライズだったりするのかぁ?」



 そうだ、俺は朝……確かにこのイベントを見て来るとクランチャットに送った。BBからはサムズアップの謎顔文字が帰ってきたが、それが理由だったのか。

 


「もうビビちゃんの独壇場だね」



 目まぐるしい変化なんて物は無い。 

 一人一人確実にロストしていく。


 流石ウチの前衛と言えば良いのか、陣形の壊し方を良く理解した立ち回りとダンスでも踊るような華麗な動作。

 クロノスでアイツが良くしていた動き……魅せPK。

 それに五体の虎の乱舞が組み合わさり、曲芸でも見てる気分になる。



「終わりだな」



 自然と漏れた独り言。

 その瞬間、最後の一人の胸を突き刺し彼女は迷いなく……俺の方を見た。

フードに隠れて見えなかったが、その顔には道化師(ピエロ)の面。


 手に持つ槍を掲げ、小綺麗に一礼する。

 直後、爆発音のように響く歓声。



「勝っちまったよ、BB」

「てか、どうやって首領の居場所特定したんだぁ?」



 煩いAIの声を聞き流し、仲間達と共に頭上に?マークを乱立していると……ピコンと通知が入る。

 個人チャット、送り主はBBだ。



「丁度良くBBから呼び出しだ」

「行ってきなよリッくん、あの武器の事は後でじっくり聞くからさ」

「ウチ等はここで待ってるよ~」



 なら遠慮なく。

 八千代の後半の発言を聞き流しビッグコーンをHaYaSEに渡してから、俺は指定された闘技場入り口に向かう。




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― 新着の感想 ―
再開待ってました! じっくり読ませてもらいます。
おかえりなさい
エタッたと思ってた作品が更新された時って驚きとうれしさが混ざった何とも言えない感情あるよね
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