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死神は謳い、道化は踊る7

密猟団と動物愛護団体を徹夜で狩り尽くしてて更新忘れてた。

奴らは人に非ず、人に非ずんば生きるに能わず。


パルと戯れながら人の尊厳を失ったパルモドキを酷使する生活…素敵だ。皆もどんどん合成機に入れちゃおう。

炎を宿した斬撃。

急激に肥大した炎を剣身に宿す姿は正しく戦乙女のように優美。

早さに秀でたラファエルや、守りに徹するウリエルと同じように彼女の真霊武装にも特化した性能がある。


殲滅能力。


今この瞬間、彼女の攻撃は全てその周囲にも影響を及ぼす。



「最初にこれを使ってればよかったんじゃない?」


「『炎精の火』」



斬り結び、その合間に放つ精霊魔術。

真霊武装は消耗が大きい。

彼女が今発動している間にも、精霊は己の寿命を蝕みその炎を灯す。

だが、既にミカエルに力を抑制しようと言う考えはなかった。

先程の間にペイルライダーから逃げた王女は王の亡骸と共に後方に下がっている。

民も、兵すらも失った彼女の枷などもうない。



「侮りはない…貴様を討つぞペイルライダー」


「良い気迫だわ!」



絶えず放たれる斬撃を躱し、受け流し、時には受け止め笑い続けるペイルライダーの姿に苛立つ。


ーー何を笑っている。


王国最強の騎士。

自分を信じた者達は最早いない。

ならば、最後まで王女を護るだけだ。



「死んでしまえ」


「まだまだ戦えるわよ!」



剣を交わす二人だが、状況がペイルライダーの劣勢。身を焦がし徐々にHPを減少させる。

だが止まらない。

明らかに消耗している状態なのにも関わらず彼女はその動きを変える事はない。



「怪物が!」


「よく言われるわぁ…『レイジアックス』」


「くっ…」



振るった戦斧がミカエルに当たった。

NPC特攻を持つアビリティ。そして彼女の身に着ける装備は全てNPCから奪った物。それらは全てSTRに補正の入るアイテム。

剛腕の腕輪、筋力の首飾り、剣兵騎士勲章。

効果さえ違えば同じSTR補正だろうと重なる。


威力は絶大だ。

後方へと飛び、痛む全身を抑えてミカエルは再び剣を構える。



「『炎精の守護』」


「また見た事のないアビリティ!」



防御系統の精霊術で身を固める。

例え異邦人だろうと、攻撃を与え続ければ何れ死ぬ。

集束する炎が暴発しペイルライダーを襲う。



「『クライドスラッシュ』!」


「あはっ、『断裁』」



赤と黒の衝突により、周囲が軋む。

炎と纏った剣圧と爆風の応酬は地を抉り、敵を屠る。彼女の神官服は既に煤塗れ、所々を黒く焼き肌を露出させている。


ペイルライダーのHPにして残り4割と言った所。

彼女は確かに単騎、集団においてどちらも無類の強さを誇るが欠点もある。


それはとても簡単な事。

彼女は高威力の範囲攻撃に弱い。

幾ら人並外れた機動力と破壊力を持とうと、副次効果として放たれるミカエルの炎風からは逃れられない。

自分の周囲に留まる事の無い炎が吹き荒れる少女は今この時、確かに優位に立っていると言える。



「息が上がっているようだな、ペイルライダー」


「そう見えるかしら?」



速度自体は変わらないが、徐々に隙を見せる事が増えてきた。痛覚設定を常に100に設定しているペイルライダーは熱が肺に入る感覚もある。

そこに隙が生まれる。


命を取り合いを楽しむが故の欠点。



「その腕、貰ったぞ!」


「あら…」



打ち付けられる戦斧を上へ跳ねのけ、左の腕を両断するミカエル。


腕が落ちた。












そして、死神の枷が外れた。



「ふふっ…あははっ…あはははは!」


「・・・・ッ!」



これだ、自分の求めていた戦い。

国を落とせば訪れるだろう、強敵との戦い。

HPは最早2割を切り、もう一撃でも受ければロストしてしまう。

だが、まだ…まだ足りない。



「さあ、三幕目が上がったわ!」


「何を言って」


「『ハイ・ヒール』」


「なっ…!?」



ただの白魔術。

受けた傷が塞がり、次第にHPが回復していく。

神官服が飾りだと思ったか?


ペイルライダーは、白魔術師だ。


ハイ・ヒールで欠損は治らない。それでも、先程まで削った体力は戻った。

STR補正の装備を付けるのはこの為、彼女はMPとINTにしか数値を振っていない。



「お姉さん、今凄く楽しいの!

だから、少し本気を出しちゃうわね?」



鈍い音を立てて戦斧を床に突き刺す。

一本だけの腕を前へ掲げ、まるで天へと祈るように膝を付く。



「貴女にお姉さんの命を引けるかしら?…『死神』」



瞬間。



大口を開けた黒い異形がペイルライダーを呑み込む。咀嚼し噛み千切られる四肢が黒く変色する。

白い神官服は、まるで正反対を示すかのように赤黒く変色している。

彼女の背後から黒い四本の帯…いや黒鎌が生えた。



「なんだ…それは…」



得体の知れない怪物。

覗く腕や足には黒い紋様が浮かび上がり、その眼は朱く輝く。

手に持つ戦斧が大鎌へと姿を変える。



「さあ、悲劇を始めましょうか」



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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 [一言] 粋がるな 読者で俺は 最弱だ 次の読者が 作者サンを(字余り) ドン、もうちょっと時間かかって良いよ 具体的には王女サンが…
[一言] ペイルライダーは確かに単騎、集団においてどちらも無類の強さを誇るが欠点もある。 それはとても簡単な事。 ペイルライダーは……ボッチである。 と、文章が続くと一瞬、空目しました。
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