表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者と魔王と後、神様も  作者: 鈴木りんご
四章 「勇者と魔王と後、神様も」
45/52

第45話 ルル、対峙する



 ――十日後。


 魔王城、王の間。


 そこにルルはいた。


 しかし魔王ルル・ビダルの姿は玉座にはない。仲間たちと共に玉座に対峙し、立ち尽くしていた。


 何故なら玉座には既に魔王がいた。ルルではないもう一人の魔王。


 玉座には金の瞳と髪を持ったベネディクト・ビダルの姿があった。


『お父さんが魔王なの?』


「そうだ。会話は皆がわかるよう、人間の言葉でかまわない。私も神により人間の言葉を解する力も与えられている」


 ルルの問にベネディクトは人間の言葉で答えた。


「どうして人間の町に攻撃を仕掛けたりしたのよ。ルルの攻撃を仕掛けないでって書置きを見たでしょう? 私たちが巻き込まれる可能性だってあった。それなのにどうして? お父さんの所為で余計な血が流れた」


 ルルではなく、レーネが叫んだ。


「その必要があったからだ。私は神によって魔王に選ばれた。勇者を探し出して討たなければならない。ルル、お前がそれをなさぬから、私がなすのだ」


「そんな必要はない。人間と戦う必要なんてなかった。人間は私たちと何も変わらない。話せば、少し心を開けば簡単に分かり合える」


 ルルは真っ直ぐにベネディクトを見据えて言う。


「例えそうだったとしても、戦わなければならない。世界が神がそれを望んでいる」


「神なんて関係ない。これは私たちと人間の問題よ」


「そうか……では、ルル。いいことを教えてやろう。お前と共にある人間たち、その多くを私は目にしたことがある。そう……五年前の戦いだ。私は彼らと戦った。私は彼らに敗れたのだ。そしてそこの不思議な武器を使う男だ」


 そう言いながらベネディクトはマクシムを指差した。


「彼がお前の母親を殺した」


「…………」


 皆の視線がマクシムに集中する。


「私の妻は私を守って、その男に殺されたのだ。それでも戦う必要はないと、お前たちはそう言うのか?」


 ベネディクトはそう言って、ルルとレーネを交互に見据えた。


「そうね。戦う必要はない。だって当然の報いだもの。人間たちはただ幸せに暮らしていただけなのに、魔族が攻撃を仕掛けた。彼らは守るために戦った。それは当然のことでしょう。私たちは殺されて当然のことをした。先に殺したのは私たち。それにマクシムさんだってその戦場で父親を失っている。だから……」


 そこまで言って、ルルはマクシムの方を向く。そして頭を下げて言葉を続けた。


「ごめんなさい。私たちのせいであなたの大切な人が失われた」


「そんな……ルルが謝る必要なんてない。仕方なかったんだ。みんな知らなかったから……俺だって多くの魔族を殺した。俺がルルの母親を殺していたなんて……」


「はっはっはっ……」


 ベネディクトはルルたちのやり取りを見て笑う。


「そうか……お前たちはそれでいいのかもしれない。だが、私はその男が許せんのだ。私の愛する妻を殺したのだ。許せるわけがない。話し合いなどできるわけがない。そこで提案だ。その男を殺せ。そうすれば話し合ってやらんでもない」


「そんなことできるわけがない」


 ルルが叫ぶ。


「では……話し合いはできん。戦いになる。そしてこの戦いは私とお前たちだけの戦いではない。お前たちと魔族との戦いだ。魔族はすでに知っている。私の前に魔王に選ばれたものが人間と手を組んでいることを、そして神がそれを望んではいないことをな。だから話し合いを望むのなら私を説得するしかない。それにはその男の死が必要だ。さぁ、どうする?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ