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勇者と魔王と後、神様も  作者: 鈴木りんご
二章「人類と魔族」
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第25話 クロエ、見守る



 クロエは二人の戦いを見守っていた。


 戦いは膠着状態が続いている。


 どちらかというと押しているのはルル。手数は圧倒的にルルの方が多いのだが、それでもレミの防御を破るには及ばない。


 レミも時折隙を突いて聖剣の能力を利用した攻撃を仕掛けるが、ことごとくルルに防がれている。


 そう簡単に決着がつくことはなさそうなので、クロエはジアたちの方に視線を向けた。


 三人とも真剣に二人の戦いを見守っている。


 だがその体勢は先ほどとあまり変わっていない。ジアはうつ伏せに寝転がっていて、その上にマクシムが胡坐をかいて座っている。アルベルトはその横で普通に座っていた。


 クロエは立ち上がる。そして三人のところに行って、ジアの横に座った。


 そしてジアの猿ぐつわを外しながら話しかける。


「説明してもらえる?」


「ぇと……ルルと一緒にじゃ、駄目ですか?」


 ジアは抑え付けられたままの体勢で、顔だけをクロエの方に向けて答えた。


「わかった。それで構わない。でも一つだけ教えて」


「なんでしょう?」


「ジアとルルは私たちの敵?」


「違います」


「そう……じゃあ、詳しくはこの喧嘩が終わってからでいいわ」


 そう言って、クロエは二人の戦いに視線を戻した。


「クロエ。ちょっといいか?」


「何?」


「少し場所を変えよう」


「ええ」


 アルベルトに促されクロエはジアたちから少しだけ距離を取る。


「わかった気がする」


「何が?」


 レミとルルの戦いを見守りながらクロエは問う。


「本当にヤバイのはルルじゃない。ジアのほうだ」


「どういうこと?」


「初めから違和感があったんだ。クロエにはあの二人がいつも喧嘩をしている理由がわかるか?」


 そう言ってアルベルトは視線をレミたちの方に向ける。


「ジアを取り合っているんでしょ?」


「まぁ、簡単に言えばそうだな。でも正確に言えば、二人はジアを幸せにする権利を奪い合っているんだ」


「それは決して特別なことじゃない。好きな人に幸せになってほしいなんて誰もが願うこと」


「確かに。でもあいつは特別だ。誰しもが願うようになる。あいつを幸せにしたいと。そしてあいつはきっと全ての人の幸せのために尽力する。クロエも気がつかなかったか? あいつはとても簡単に内側に入り込んでくるって」


「ええ。それには心当たりがある」


「たぶんあいつにとって自身と他人との境界はとても曖昧なんだ。あいつは自分のことのように他人の幸せを願い、他人の幸せを自分のことのように喜べる。そして驚くことに、それは決して一方通行じゃない。誰もがあいつの幸せを願い、自分の喜びのように感じることができる。それはきっと恐ろしく強大な力で、魔王がここにいる説明にもなるはずだ」


「ジアたちが来て、たった一週間。どうしてあなたに、そこまでわかるの?」


「まぁ、俺の趣味は人間観察だからな」


「そう……」


 いつもアルベルトは物事を大袈裟に話す。イージス内では彼の話は話半分で聞くのが常識だ。


 だからクロエは適当に相槌を打ち、引き続き二人の戦いに意識を集中することにした。




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