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いいなずけ!? ~8年振りに幼馴染と再会しました~  作者: 五十嵐 バスク
第六章 急接近!?

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バレンタインデー特別番外編

現在休載中ですが、バレンタインデーということで短めではありますが書きました!

これは、ヒラリちゃんが俺の前から消える八年前、小学一年のバレンタインデーの話である。




「ゆーくん、ゆーくん!」


「何、ヒラリちゃん?」



足がすっぽり隠れるほどの雪が積もった二月十三日の学校からの帰り道、突然一緒に帰っているヒラリちゃんが話し掛けてくる。



「ばれんたいんって知ってる?」


「うん、知ってるよ。女の子が好きな男の子にチョコをあげる日でしょ?」


「そう! それでね、その……ゆーくんはチョコ好き?」


「好きだよ。え、チョコくれるの?」



そう訊くとヒラリちゃんは恥ずかしそうに俯きながら「うん」と答えた。

嬉しくなった俺は、



「やった! 楽しみ!」


「あ、あまり上手にできないかもしれないけど……」


「ヒラリちゃん、お菓子作るの上手じゃん!」



時々、彼女と遊ぶ際に彼女が持ってきてくれるクッキーやまふぃん? はとても美味しいので、きっとチョコも美味しいに決まっている! とそう思っていた。

このときの俺は楽しみ過ぎて、少しでもヒラリちゃんのチョコを美味しく食べたい

と思い、帰ってから母さんに晩御飯はいらないと言ったのを覚えている。



次の日、休日のため、家で今か今かと呼び鈴が鳴るの待っていると、ピンポーンと部屋に鳴り響く。急いで玄関に行き、扉を開くと、そこには暗い表情を浮かべたヒラリちゃんが少し大きめの紙袋を持って、立っていた。



「おはよう、ゆーくん……」


「おはよう。どうしたの? 具合悪いの?」


「ううん……うっ……ごめんなさい!」



突然泣き出すヒラリちゃん。その時に初めて、彼女の膝が血で滲んでいることに気付いた。



「血出てるよ!? 待ってて、ばんそーこー持ってくる!」


「待って……! これ……」



彼女は涙を必死に堪えながら持っていた紙袋を差し出してきた。

よく見ると袋の底は潰れていた。



「ここまで来る時に転んじゃって……落としちゃったの……」



抑えていた彼女の涙は再び流れ始めた。

紙袋を受け取り、中を見ると箱が入っていた。取り出して開けて見ると、恐らく最初は丸かったであろう、雪のように真っ白な砂糖がまぶされた黒茶色のケーキはほぼ半円に近い形になっていた。

俺は崩れている部分から少し摘まんで口へ運んだ。甘さの中にほんのり苦味のあり、しっとりとした生地。それは初体験の食感だった。



「これ、何て言うケーキなの?」


「……ガトーショコラだよ」


「がとうしょこら? すごく美味しいよ!」


「ホントに?」



彼女は涙を拭いて不安そうに訊いてくる。



「ほんとだよ! また作ってよ!」



そう言うと、ヒラリちゃんの涙は止まり、笑顔になっていた。



「うん!」



その時食べたガトーショコラの味は今でも覚えているし、変わらず俺の好きな食べ物ランキングの一位にヒラリちゃんのガトーショコラとして名を残している。




「ちょっと、お兄ちゃん! 話聞いてた?」


「あ、ごめん。なんだっけ?」



懐かしい思い出の回想から戻ると、テーブルの向かい側に座っている澪が頬を膨らませて怒っていた。



「もう! 私の作ったガトーショコラ美味しい? って聞いたの!」


「あ、ああ。美味しいよ。ありがとな」


「良かった! お兄ちゃん受験勉強頑張ってるし、可愛くて優しい妹からのご褒美兼バレンタインデーだからね」



澪は頬杖をつきながら嬉しそうに微笑んだ。



「今全部食べちゃうのは勿体無いし、残りは夕飯の後に食べようかな」


「そう? じゃあ私が冷蔵庫に閉まっとくよ」


「ありがとな」



澪に片付けを任せ、俺は部屋に戻り、机に向かう。

もし、もう一度あのガトーショコラが食べることが出来たら……そう思いながら四季高の過去問題集を開いた。

読んで頂きありがとうございました!

良ければブクマ、評価宜しくお願いします。

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