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遠い先輩  作者: 音我手ぃ舞
〜歩み編〜
3/12

〜歩み編〜3

放課後、私と恵は教室の掃除を済ませ、2人が所属する天文学部の部室である科学実験室に向かった。




「それにしても、この時期に入部する人もいるんだねぇ。なんか面倒だなー」


恵も私と同じ意見のようだ。


「ね。同学年かな?先輩かな?」


部長からのメールには新しく部員が増えるとしか書いていなかった。だから恵に聞いても分からないだろう。でもなぜか聞いてしまう。変な癖だ。


「わかんない。っつかさ、部長のメールって本当に業務連絡だよね。なんていうかさ、詳しくないというか、箇条書きというか…」


「だよねー、きっとメールとか慣れてないんだよ。それか面倒くさがり屋なのかも」


こんな話をしているところを部長に見られたら怒られそうだ。真面目にではないと思うが。


恵と他愛ない話をしてるうちに科学実験室に着いた。恵がドアを開けて暗幕をのれんの様にくぐり中にはいる。私も続く。




「失礼しまーす」「失礼しまーす」


「10分遅刻ってところだな」


私たちにそう言ってきたのは三年、天文学部部長、【西川 拓人】先輩だ。黒縁メガネがトレードマーク。部長はずっと柔道を続けている。だから身体がごつい。身長も180センチほどあるとか。いかにも真面目そうに見える外見からはあまり考えられない。因みに三年生は部長だけだ。




「10分くらいいいじゃないですかー」


恵は仏頂面だ。私もだ。部長は時間に厳しい。特別私たちが時間にルーズなわけではない。ただ部長が時間に厳しいだけだ。




「いいや、10分は大っきいね。君たち、これから気をつけること、いいね?」


「「はーい」」


「よし、じゃあ全員揃ったことだし、ミーティングを始めよう。まず最初に、入部することになった3人を紹介するね」




ぞろぞろと3人が部長の隣に並んだ。2人は女子で1人は男子。またまた女子が増えた。天文学部はほとんど女子だ。男子は部長を合わせて4人ほど。見たところ男子と女子1人は同学年だ。もう1人の女子は先輩のようだ。




「じゃ、それぞれ自己紹介してくれる?君から」


「はい、えっと、一年の【日田 早苗】です。よろしくお願いします」


可愛いらしい子だ。ペコっとお辞儀をしてはにかんでいる。


「じゃ、次」


「はい、二年の【有野 栞】です。よろしくお願いします」


可愛い先輩だ。私より身長が低い。


「栞!入ることに決めたんだ!」


「うん、だって、夏奈にあれだけ誘われたら入りざるを得ないでしょーがぁ」


栞先輩はヘラヘラと笑った。先輩は【島崎 夏奈】先輩と仲が良い様だ。夏奈先輩は天文学部の副部長だ。優しいお姉さん的存在。よくドジをするが。そこがまた可愛い。




「次、君」


「はい、あ、一年の【中田 晴汰】です。よろしくお、お願いしますっ」


シャイボーイだな、この人。私は思わずフフッと笑ってしまった。幸い誰にも気づかれなかったよう…


「なに笑ってんの?」


気づかれてた。隣の恵に。


「別にぃ~、ただ、吃ったなぁ~と思って」


「あはは、そーだね、シャイボーイだね」


本当、恵は最近私が思ったことをそのままそっくり言うから少し怖さまで感じるわ。まぁ、考え方が似てるってことなのかな。


「みんな仲良くしてくれよー」


《はーい》


なんだか部長は先生の様だ。まとめるのが上手いんだろうけど。部長は3人を座らせて、部員の前に立って話を始めた。




「とりあえず、部長副部長の紹介しとくね、僕は部長の西川です。よろしくね、んで、島崎っ」


「あ、はい!副部長の島崎夏奈ですっ!よろしく!」


夏奈先輩はニコニコしながら言った。


「うし、じゃあ紹介はこんなもんで、本題に入ります。5月といえば、何が観測できるでしょう!恵ちゃん!」


いきなり部長に当てられて恵はポカーンとしている。


「へ?5月?? んー、分かりません」


「おい、もう少し考えてくれよな…じゃ、さっちゃん!」


当てられた。しかもあだ名で。


「えっと…土星…とか…ですか?」


合っているはず。この前図鑑で読んだもの。


「正解!感心だね、さっちゃん」


「はぁ…どうも…」


私は正解したことよりも、さっちゃんとあだ名で呼ばれることが気に障る。部長のことだからそういうのは気にしないんだろうけど。


「そう!5月は土星が観える!ということで!みんなで土星観測をする事に決めました!!」




私と恵はまた仏頂面になった。


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