表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/92

第七十五話



遅くなって申し訳ないです。




にじファンへの最後の投稿。




「答えは得た。大丈夫だよ蒲公英。俺も、これから頑張っていくから」


「ちょっ!? それは完全にセウトにゃーっ!!」


「くぶぁはあっ!!」










Side 一刀


やぁ、みんな!

品行方正、頭脳明晰、容姿端麗、完全無欠な天の御遣い、北郷一刀だよん!


……あぁ、石投げないで!

反省と後悔はしてるから!


こほん!

まぁ、先ずは現状報告からだ。

といっても、ここは平常通りの運転してるんだけどね。

数日前に南蛮から帰ってきたばっかりだけど、戦らしい戦なんてしてないから、書類仕事はそんなに増えてない。

しかし、今回の戦い?で大きく変わったことがある。

言わずもがな、陽に関することだ。


残念ながら、陽の方は欠片も変わっちゃいない。

ってか、アイツがそう簡単に変わってたら逆に怖いわ。

前世のころから殆ど変わってないんだからな。


変わったのは、蜀の皆だ。

出会いが出会いだけに、第一印象は最悪だった。

が、恋に勝ったことで一目置かれたらしい。

大陸最強とも言える恋に勝ったんだから、当然だろうな。


しかし、不信感までは拭えなかったようだ。

なんと言うか、皆には一貫性がなく、行動原理が不透明な奴にしか見えなかったそうだ。

桃香の理想を否定しておきながら、蜀に協力的だったり。

人の恋路応援してたり。

仕事が異様に早かったり、遅かったり。


要するに、意味がわからんということだ。

多くの知識を持っていることも相まって、何をしでかすかもわからない奴に見えてたらしい。

俺の親友だって知ってても、いまいち信用できないという。


しかし、――陽にとっては黒歴史だろう――美以や三人を手懐ける姿を見て、印象が変わったそうだ。

俺にとって、陽が三十分そこらで動物を手懐けるなんてのは訳ない話だ。

将来はサーカスの調教師とか飼育員になることを本気で薦めるレベルで、動物に好かれてるタチだったからな。

……サフ〇リなパークにじいちゃんと行ったとき、車にすげぇよってたかってきてたなぁ。


まぁ、そんな一面を知らない皆は、動物っぽい美以を従える手腕に凄いと思ったらしい。

この時代では、動物っていうのはまだ殆ど未知の存在が多い。

実際のところ、ホントは犬や猫なんてのはこの時代にいたかどうかのものだ。

……この世界にはたんまりいるんだけどさ。


あとは、陽が散々美以達を可愛がったお蔭で、皆が癒されたことが功を奏した。

軍を乱さない為に黙ってたけど、皆暑いのは我慢してたから、木の棒に飛びつく四人というか四匹?に癒されたのは相当陽の印象を上方修正してくれたようだ。

皆、女の子だよなぁ、と思ったのは秘密だ。

別に文句はない。

あるわけがない。

ギスギス感は無くなって胃が大分楽になったんだからな!


そういえば、真名も交換したって聞いた気がする。

やっぱり嬉しいよ。

親友がさ、認められてないってのは辛いものがあったし。

俺より頭もいいし強いのに、俺の方が偉いってのも凄い違和感だし。

……これは個人的なことか。


まぁ、良い傾向だし、暫くは静観しようかな。


頼むから問題は起こさないでくれよ……!






   ★ ★ ★






Side 三人称


「美以よ、その耳を私に寄越せ」


「いっ、いきなりなんにゃ!? 顔が怖いし近いにゃー!!」


いかにも迫真!といった顔で顔を近付ける。

迫力が有りすぎて、美以は半泣きである。


「あー、ごめんごめん。お兄様に可愛がってもらってたことへの嫉妬だから気にしないで」


「気にするにゃ! 気にしない方がおかしいにゃ!!」


「にゃにゃにゃにゃー」


「みぃの真似するにゃ!」


先程から怒ってばかりの美以。

仕方がないだろう。

何せ、対峙する相手は蒲公英なのだから。


「うぅー、たんぽぽはイジワルにゃ」


「星お姉さまの比べたら?」


「大したことないのにゃ。星はイジワル魔神なのにゃ」


イジワル魔神ってなんだ。

とは思ったが、蒲公英は華麗にスルーすることにした。

趙雲が美以と出会えば必ず一度はからかう為、間違いではないが。


趙雲を犠牲にする蒲公英さんはずる賢い。


「まぁ、それはおいといて」


「おいておくにゃ!?」


「うん、おいておくにゃ」


「だから、真似をするにゃと」


ころころと表情が変わる美以は面白いが、流石に蒲公英はこの辺りで止めておくことにした。


「美以はさ、コレ、ちゃんと生えてるよね」


「にゃう、くすぐったいにゃ」


「けど、他の三人って、ホントに生えてるの?」


完全に被り物に見えるからこその言葉。

美以の耳を指でいじりながら、蒲公英は核心を突く。


「は、生えてるにゃ」


「あっやしー」


「みぃの部下たちは全員耳と尻尾をもってるにゃ! 本人に聞くといいのにゃ!」


「ふ〜ん?」


美以がしどろもどろになるのは仕方ない。

流石にそこまでは把握していないのだ。

気付けば、部下たち全員に耳と尻尾があったとしか言えなかった。


「ミケ、シャム、トラ、集合するにょ!」


「だいおーさまー?」


「呼んだにゃー?」


「眠たいにゃん」


わらわらと集まる三人。

やっぱりこれ、被り物だろ。

と、蒲公英は思った。

でも、尻尾が非常に気になるところである。


「お前たちに集まってもらったのは他でもないにゃ! たんぽぽがお前たちの仲間になりt――ぎにゃっ! なっ、何をするのにゃっ! ふしゃーっ!」


「だってさー、どの耳が仲間になりたいなんて聞いたのか確かめないと」


三人に対して、ない胸に反ってふんぞり返っていた美以の後ろにいた蒲公英。

その美以がふざけた事を言ったので、耳を引っ張り上げた。


猫よろしく威嚇する美以を見て、やっぱり猫だなと蒲公英は思った。

……因みに、美以の耳を引っ張るという暴挙が陽にバレ、とんでもないことが起こるのは、まだ先の話。


「うにゃ? でも、たんぽぽは耳と尻尾が欲しいんじゃにゃいのにゃ?」


「それはそうだけど」


「だったら、みぃの臣下になるにゃ」


「や、それは無理」


「そ、即答にゃ……」


とある目的の為にその2つは欲しいが、美以の臣になるのは本末転倒である。

返答の速さには、美以はうなだれた。


「ていうか、なんで臣下にならないといけないの?」


「みぃたちにとって、耳と尻尾は仲間の証にゃ。だから、みぃたちの仲間になる証として、耳と尻尾を付けるのにゃ」


どこから出したのか、後ろのミケとトラが耳と尻尾を持っていた。

シャムは立ったまま寝ていた。

どうやら、元々ついていない者が従臣するとき、その証として耳と尻尾をつけるきまりのようだ。

益々、三人の頭のアレは被り物だろうと蒲公英は思ったが、今はどうでも良かった。

それより重要なのは、あれをどう手に入れるかだった。


「ねぇ、美以」


「なっ、なんにゃ? 顔が怖いにゃ」


「たんぽぽ達は、仲間じゃないの?」


「うぐっ」


「悲しいなー。せっかく仲間の美以達に、何か美味しいものでも奢ってあげようと思ってたのに。残念だなー」


それはそれは、とても悲しそうな声で蒲公英は呟く。

同じ蜀の仲間だということを強調して。


「う、む。美味しいものを食べさせてくれたら考えるにゃ」


「美味しいものが食えるにゃ!」


「美味しいものー!」


「(じゅるり)」


食い物に簡単につられる三人。

シャムはよだれをすする音を鳴らす。

夢の中なのか、起きているのかは定かでない。


兎も角、南蛮勢は全く以て食に対する思いが強かった。


「たんぽぽは、仲間だと思ってるから連れていくんだよ? 美以は認めてくれないの?」


「うー、わかったにゃあ……。耳と尻尾は渡すにょ」


「ホント!? ありがとう、美以。いいこだねー」



回りくどい手を使ったが、耳と尻尾を手に入れた蒲公英。

お礼として美以の頭を撫でる。

これが、実は籠絡の一手だったりする。


「にゃふー……。気持ちいいにゃー。ゴロゴロー」


「いい子いい子ー」


蒲公英はテクニシャンだった。

手つきが滑らかで、ここがいいというところを的確に刺激する才を持っている。

撫でテクだけならば、陽を凌ぐレベルである。

……余談だが、陽の息子はとてもお世話になっている。


而して、蒲公英は猫耳と尻尾を手に入れた。






   ★ ★ ★






Side 陽


夕飯を終え、ソファーっぽい物に腰掛けてまったりした時間を過ごす。

やぁ、こんばんは。

黒歴史を消し去りたい陽です。


いや、ね。

敵視みたいなのからは解放されたんだけどさ。

その代わりに、生暖かい視線が向けられるんだ。

しかも、つけられた二つ名、なんだと思う?


調教師、だぜ?


なんじゃそりゃ、って話だよ。

やってらんねぇって。


しかし、蒲公英はどうしたんだろう。

俺に待ってて、と言って、部屋から出て十分ぐらいが経つ。


そういえば、昼には美以にご馳走してくれたものの、耳を引っ張られたと聞いた。

普段はそんなことしないのに。

いくら蒲公英でも、動物愛護的な意味で、お仕置きせねばなるまい。

俺も鬼じゃない。

翠との鍛錬で譲歩しておこう。


しかし、遅い。

と、思ったら直ぐに、戸が開いた。


「ど、どうかにゃ、お兄様?」


時が止まった気がした。

割と本気で鼻血が噴き出しそうだった。

いや、だってさ。

今、俺の前に誰がいると思う?

率直に答えるなら、蒲公英だ。

俺の可愛い可愛い嫁な蒲公英たんだよ。

しかし、格好がいつもと少し違い。

どこで入手したかはしらん。

そんなことはどうでもいい。


目の前に、猫耳+尻尾を装着した蒲公英がいるってことが重要なのだから。


口と鼻を抑えながらうずくまる俺を心配そうに見つめる蒲公英をちらりと盗み見る。


「……ぅくっ……!」


「ホントに大丈夫にゃー?」


「あ、あぁ」


危ねぇ!

鼻から愛が溢れるとこだった!

くそぅ、破壊力が凄まじいぜ……!

ってか、俺得過ぎて困るっ!

真正面から見続ければ、貧血になりそうだから、うずくまっている訳だがっ!

でも、猫な蒲公英が見たくて堪らないっ!

外して欲しくないっ!

でも直視できないから辛いっ!

なんてジレンマ……っ!


大体、蒲公英の、にゃー、ってなんだ。

可愛い過ぎただろうが!!


あぁあぁぁ、愛でたいぃいぃ!

でも、鼻血はあかん。

失血死とかシャレにならんし。


さっきから、蒲公英をチラッと見ては目を逸らし鼻血を堪えるとう無限ループにハマってしまっている。

あ、ニヤリと笑った。

これは、何か悪戯めいたことを閃いた時のサインだ。

……バレたのか?


「にゃにゃーにゃにゃん♪」


「ぐっはぁっっ!!」


なんてことだ!

蒲公英のやつ、猫語が使えたというのかっ!

今、確かにお兄様と、俺を呼んでいたっ……!

あかん、お兄さん理性が天元突破しそうや。


「にゃあ♪」


「!?!?!?」


それは不意打ちだった。

いきなり抱き付いてきたかと思えば、子猫が甘えるように、頬同士をすり寄せてきたではないか!

しかも、その位置でにゃあにゃあと鳴きよるから、耳元に直接甘い声がするんだ!

辛抱堪らん!


「なぁーお」


「…………」


ちくしょう、鳴き声上手いな!

猫好きにはホントに破壊力半端じゃないぞ!

てか、鼻血はどこへやら。

一周して大丈夫になったのか?

……まさか、蒲公英はこれが狙いだったのか?


「ふにゃあ♪」


「可愛いなぁ、蒲公英は」


未だに頬を合わせる蒲公英の頭の後ろを、ホントの猫を愛でているように撫でる。

流石に顎下を撫でたって意味はないからしないけど。


すると、蒲公英は突然離れてしまう。

何故だ!

その柔らかくてスベスベな頬の感触が欲しいぞ!

それを察してくれたのか、蒲公英は目を細めて俺を見据える。

何から何まで、今は猫っぽい仕草だ。

蒲公英は演技派だな!


「ん、にゃ」


「!!!!」


一瞬、何をされたかわからなかった。

蒲公英が顔を近付けてきたのと、そのすぐあとに何か頬が濡れたような感じがしたのはわかったのだが。


……ま、まさか、頬を舐められるなんて。


多分、今も継続して舐められてなかったら、わからなかったとだろう。

たとえ蒲公英の舌の感触を覚えてたとしても、だ。

流石に予想つかないもの。


未だに、ちょっとした粘着質な音が耳に届く。

頬からの感触を察するに、小さく出した舌で、主に顔を動かして舐めているのだと思う。

何故わかるのかと言えば、……まぁ、これには息子が結構世話になっているからだ。


ってか、犬猫に舐められたって別になんとも思わないのに、人がやるとなんで卑猥に見えるのか。

俺、かなり興奮してるわ。


「んぅっ!? んんっ、はむ、ちゅっ」


「っぷは。あーもう、可愛すぎ。……襲うぞ?」


「にゃあん♪」


せっかくこんなに甘えてくれてるんだし、可愛がってあげないとな。

頬を舐めていた蒲公英の舌を、顔をずらして口で捕まえる。

そのまま唇で挟んではむはむする。

今は舌を絡める気はないので、そのまま啄むような短めのキスを施す。

最初からずっと魅力的だったので、襲いたいのは半分冗談で、半分本気だ。

猫語でだが、確かに求めてくれた蒲公英は、更に密着するように抱き付いてきて、俺の耳を甘噛みしてきた。


基本的にノンケでタチでSな俺だが、蒲公英相手だと、受けにもなる。

蒲公英もどちらかと言えばSだから、そうならざるを得ないのだ。

俺は、苛めたい愛でたいという感じだが、蒲公英は奉仕したいっていう気持ちらしいから、ベクトルはちょっと違うけど。

まぁ別に、蒲公英に攻勢に出られてもなんの不満もないが。

兎も角、情事に励むことができるときは、攻めと受けを交互に交代している。


何故こんな話をするのかと言えば。

今日は俺が攻めの日なのだが、主導権は蒲公英に握られっぱなしになりそうだからだ。

今でさえ、可愛がってるのは俺なのに、猫な蒲公英にリードされっぱなしになってる。

別に不満はないんだがな。


「うん、我慢できんわ。寝台いくぞ」


「にゃ!」


「嫌って、……ここで、するのか?」


「にゃあ♪」


どうやら正解らしい。

ふむ、必然的に座位になるか。

色々と種類はあるが、総じて密着しやすく、激しい動きはしにくい座位。

どうやら蒲公英さんはまったりエッチがご所望らしい。

ここ三日は、お互いかなり激しかったからなー。


「わかった。優しくする」


「ふにゃあっ! にゃ、ぁっ」


軽く触っただけなのだが、反応が良い。

蒲公英も、興奮してたのかな?

っていうか、猫はまだ続けるつもりなのか。

まぁ、可愛いからいいんだけどさ。


色々と考えることを放棄し、蒲公英が悦びそうなことだけを考えて蒲公英の服に手をかけた。






   ★ ★ ★






「そういえば、美以の耳を引っ張ったそうじゃないか」


「…………あ」


「いけない子だ。お仕置きしてあげる」


「にゃあ♪」


「そんなに嬉しいか。じゃあ三倍だな、……翠との鍛錬は」


「にゃ……? にゃんですとおぉぉぉおぉーーー!!!」


どうやらお仕置きは、性的な意味だと思ったらしい。

残念ながら、俺の言葉は死刑宣告に等しいものだが。


蒲公英の絶叫は城中に木霊したとさ。










陽は語る。


「猫耳最高! いや、別に犬耳でも狐耳でも最高だけどな!」




二次創作の許可がおりなきゃ、事実上、なろうへの最後の投稿ですね。


「ちょっとー、しんみりするじゃない」


最後ぐらい、真面目にね。


「最後じゃないことを、私は信じるわ」


その心は?


「私が登場できなるくなる」


この期に及んでそれかよっ!


「だってー、後書きないと、私が出る機会ないんだもん」


最後までホントに自分勝手だな。


「なんとでも言いなさいな。私は永久に不滅なんだから!」


この作品は、とかじゃないのね。

「まぁねー。

うなだれるバカはほっといて。

PV:911,537アクセス

ユニーク:88,365人

7/17の1時現在のものよ。


これだけの人が、このバカの拙いモノを読んでいただけたことに、深く深く感謝するわ。


本当にありがとう。


それじゃ、また会う日まで。


ばいばーい☆」






おしまい☆




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ