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第六十四話




やったー、毎週更新だー!



次もできたら嬉しいな。





注:全世界の特定の方々に、先に謝っておきます。


ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい


「なにぃ! 蒲公英の副官だと!?」


「え、お兄様、ダメだった?」


「なんておいしい役職だっ! いいに決まってる! 流石は俺の嫁!」










Side 陽


やあやあ!

(オレ)だよ!

テンションMAXな陽でありんすよ!


皆、是非聞いてくれ!

馬さん家の蒲公英ちゃんがな、なんと俺に仕事の斡旋をしてくれたんだよ!

いや、別にヒモになる気はさらさらなかったけど。

つか、金はめちゃくちゃあるから大丈夫だし。


本当は、協力すると言っただけだから、働かなくてもいいんだが。

ニートでも良かったんだが。

ぶっちゃけ暇なんだよねー。

それに、蒲公英働かせて俺働かんとか、なんかアカンやろ。

てか、蒲公英は俺が守りたい。


そんな訳で、客将的な位置に落ち着いて。

役職はどうしよう、みたいな時に、蒲公英が願い出た、ということだ。

知り合いらしいからいいだろう、みたいな感じで決まったらしい。

……なんか適当じゃね?

印象悪いのはわかってんだけどさー。


「それじゃ、お兄様。一緒にいこ?」


「え、今日から? 早くね?」


任命式とかしないの?

牡丹も面倒臭そうだったけど、してたよ?


「だって、たんぽぽの副官だよ? あんまり重要なことじゃないよ」


「……なんだかなぁ」


俺の前の役職が高すぎただけだったのかもしれない。

軍師だったからのー。

てか、蒲公英の地位がまだ低いだけなのかな?


まぁ、地位なんざ関係のないことだがな。




   ★ ★ ★




「この度、馬岱隊の副官になった馬雄だ。よろしく☆」


『…………』


『…………』


『…………』


牡丹の真似をしてみた。

そしたら、二割が戸惑い、四割が怒り、残りが非常に引きつった顔をしていた。


戸惑いと怒りは仕方がないだろう。

俺、思いっ切りふざけてるんだから。

こんな人物がいきなり上官だ、って言われたら、流石に俺もブチ切れるわ。

残りがなんとも間抜けな顔をするのは、こんなふざけたところを見たことがなく、どんな顔をしていいかわからんのだろう。


簡単に言えば。

この反応の差は、俺を知っているか知らないかだ。

つまり、この中で"馬白"を知るのが四割いる、ということだ。

元西涼兵の連中が、な。


奴らからしたら、ビックリだろうな。

一応、死んだっていう噂は聞いているだろうし。

……それが狙いなんだが。


まぁ、それはいいとして。


「一つ言って置くが。蒲公英は俺の嫁だ。絶対に渡さんぞ」


「もー、お兄様ってばー」


横にいた蒲公英を抱き寄せて、警告する。

ま、当然の宣言だろう?






その後、調練に参加した。

集団行動は苦手なのだが、一緒になってやってみたが。

まだまだ甘いな、蒲公英。

全然疲れないぞ?


「なんでお兄様、そんなに平気なの?」


「え、余裕じゃね?」


「……たんぽぽ、結構厳しめに組んだんだけどなぁ」


どうやら、蒲公英の言うとおりらしい。

周りは肩で息をしてるし。


二月走って、案外体力ついたもんだ。

なかなか、今まで実感を感じられる機会がなかったからなー。


「あ、そうだ。蒲公英、ちょっと付き合ってくれ」


「何かするの?」


「あぁ。二月の間、全く槍を触ってなかったし、腕が落ちてないか試さないと」


それが理由の一つだが。

もう一つ、理由があったり。

……ちょっとは舐められないようにしないとな。






   ★ ★ ★






「少しは強くなったと思ったんだがなー」


体力とか、諸々上がったような気がしてたんだけど。

蒲公英に勝てんかった。

強くなってんだな、蒲公英も。

流石、我が嫁。


無事に目的は果たせたから別に良いんだけどね。

それに、元々槍は専門じゃないしな!

負けたって仕方ないぜ!

だっ、大体、元から勝負なんかしてないし?


「お? おー、……なんて呼んだらいいのか」


くどくどと負け惜しみっぽく悩んでたら、現代のメイド服を着た二人組の背が見えた。

別に、本物のメイド服を見たこともないから、合ってるかは知らんけど。


「あー、そこの侍女さん……は、失礼か。美女さん……は、浮気になるわ。……うむ、面倒くさい。ちゅーえーにぶんわー」


「!?」


「なっ!?」


こっちが驚くぐらい、振り向くのが早かった。

ビビるわ。

向こうも驚いてたけど。


「なんでアンタボク達の――「落ち着け、賈文和」――っ!」


「董仲穎も、いいな?」


「……はい」


いくら周りに視線も盗聴もなかろうと、軽々しく喋れんだろ。

まぁ、俺が口にせんだら良かっただけだけどな!




「……何者よ、アンタ。上層部の連中は、一番上から軽い奴ばかりだけど、そんなに口は軽くないはずよ」


「別に、奴らに聞いた訳じゃねぇさ。……俺に知らないことは何もないだけだ」


俺、馬孝雄のキメ台詞である。

気付くかなー?

気付いたよね?


「……っ。やっぱり死んでなかったのね」


「さて、どうかな?」


色々な感情が混じった顔だ。

ダイヤモンドユカイー。


「……今更、ボク達をどうする気よ。ボク達の利用価値は既にないことぐらい、アンタならわかるでしょ?」


「別に。ただ、なんて呼んだら良いのかわかんなかったから、そう呼んだだけさ!」


「……殺すわよ?」


「うわ、過激。死なんけどな。……ちょっと、話がしたいだけさ。俺個人としてな」


これに、偽りはない。

ホントなんだぜ?



   ★ ★ ★



「いやー、うん。別に、悪いことした気はないぜ? 利用価値があれば助けるし、なきゃ捨てる。むしろ、当然のことをしたと言っていい」


中庭の東屋に移動した俺達。

対面に二人を座らせて、口を開く。

事は、反董卓連合についてだ。


「そうね。別に、恨んじゃいないわ」


「俺より恨むべき奴は、皮肉にもここにいるもんな」


「……人の神経逆撫でして、楽しい訳?」


「楽しーよ。実に愉快だ」


なぜこうも敗者が集まるのか。

負け犬……は、ワン公に失礼だな。

雑魚は群がるってか。

やべー、おもしれーな。


「それはいいとして。……今、幸せか?」


「……はぁ?」


「……え?」


久しぶりに口を開いたな、董卓ちゃん。

まぁ、驚くだろうさ。

天下に悪名高い天狼様から、こんなお言葉を聞いたんだ。

無理はないだろう。


「いや、ね。ぶっちゃけ勝つ手立てはあったんよ。恋ちゃんと霞は友達だし、俺が手を貸してやんのも悪くなかった」


ま、倒れた分際で、言えることじゃねぇがな。


「そんで、どうよ。そのもしもの未来を想像して、今とどっちが幸せなんだ?」


「……私は。私は、今が幸せです。霞さんや華雄さんと離れ離れになってしまったのは悲しいですけど、詠ちゃんが、楽しそうだから」


「なっ、何言ってるのよ、月! 別に楽しくなんて!」


「そうかな? 軍師の詠ちゃんも楽しそうだったけど、今はもっと楽しそうだよ?」


「ゆ〜え〜……」


「ふむ。ちゅーえーは、今が幸せか」


「はい」


良い笑顔するじゃねぇか。


「詠ちゃんは? やっぱり、幸せじゃない?」


「うーん、どうかな。勝ってても、コイツの下はちょっと」


「言ってくれるぜ」


すげー嫌そうな顔したよ、今。

俺がいれば、かなり勝率上がるだろうにな。


「コイツがいれば、軍師としてのボクの仕事がなくなっちゃうし。それじゃあ意味がないわ」


「そんなことはないんだぜ? すり減るぐらい仕事させただろうよ、俺は」


「だから、意味がないのよ。月の軍師としての仕事がないじゃない」


主君の役に立つのが喜びか。

わからなくもないが、元の主君がアレだからなー。

迷惑を被ることが多かった俺にはわからん感情だ。


「じゃあ、詠ちゃんは今がいい?」


「……そうね。月も楽しそうだし、ボクはそれで満足かな」


互いが互いを思い合う、か。

仲が良いのか馬鹿なのか。


どっちでも良いけどな。


「そうか。……自己満足でも、手を貸して良かった」


「まぁ、少しは感謝してるわ」


「もう詠ちゃん、そういう言い方は良くないよ?」


「いや、いいさ。どうせ、俺が手を出さなくても甘ちゃん君主様達は助けただろーからな」


偽情報に踊ってた癖に、自分たちで真実を知って、助けようとしただろうさ。

最初から知ろうとしなかった分際で、どうかと思うけどな。

てか、実はチビッコ軍師共は知ってたんじゃね?





「んじゃ、改めて。俺は、馬孝白、真名は陽だ。気軽に呼びたまえ」


「その言い方はなによ。ボクは詠でいいわ」


「私は月です」


こんな軽い感じでいいのか、って?

いいんです。

ご都合主義です。

どっちにしても、これからも名前呼べないしな。


「おー、よろしくな、月に詠ちゃん」


「ちゃんを付けるな! 月の真似をするな!」


「ゆ〜え〜、詠ちゃんが冷たいよ〜」


「くっ! 殺す!」


「詠ちゃん、落ち着いて」


「詠ちゃん、もちつけって」


「月、どいて! アイツを一発殴らせてっ!」


そんなに嫌か?

詠ちゃん、格好いいじゃん。

あぁ、勿論YAZAWAな?






   ★ ★ ★






「はっ、お兄様から女の子の匂いがするっ!」


「あぁ。さっき月と詠ちゃんに会ったんよ」


「……ふぅん。じゃあ、もうたんぽぽはいらない子だね」


「え? 何故!? そんな訳ないだろ! 愛してるのは蒲公英だけだ!」


「そうやってお兄様は嘘ばっかり。証明してみてよ!」


「良いよ。蒲公英、愛してる――「いや、待て」――なんだよ、いいとこだろーが」


何故邪魔をした一刀!

せっかく蒲公英の唇が貰えるところだったのに!

別に、何時でも出来るけどな!


「何故俺は、君達の三文芝居を見なけりゃならん」


「酷いよご主人様! 一体何処が三文芝居だっていうの!」


「なんで蒲公英はヒステリックだ。そして、陽。睨むな、怖いから、マジで」


やっぱり気に食わん。

なんでこれ(失笑)がご主人様なのか。


「どうしたの、お兄様? たんぽぽ、何かした?」


「いや、蒲公英は何も悪くないさ。コイツが十割悪い」


「嘘だっ!」


「るせぇ!」


「えぇっ、逆ギレっ!?」


本当にうるさいな。

せっかくの蒲公英との時間が台無しだ。


「……もういいです……。で、ホントになんの用だよ」


「あー、初出勤なんで、一応挨拶をしにきましたー」


「なんだこいつ。新入社員の癖に、超態度悪いんだけど」


相手が相手だからな。

敬意を払う価値もない。


「まぁまぁ、落ち着いてよ、課長」


「うん、微妙! 俺、一応社長的な立ち位置のはずなんだけどな!」


「ていうかお兄様、課長って何?」


「あれっ!? 蒲公英、お前知らないで言ったのかよ!」


ホントに、蒲公英はノリで物を言うね。

でも、そこがまた可愛いよ。


そんな訳で、教えます。


「いいか、蒲公英。課長ってのは、アイツみたいなポンコツのことを――「言わねーよ! 世界中の課長さんに謝れ!」――残念ながら、この世界に課長はまだ存在しねーよ、ばーか!」


「……くっそ! コイツマジで殺してぇっ!」


頭を抱えて悶える一刀。

心底気持ち悪い。

でも、んー、愉悦。


「そんなにカリカリしないで、係長」


「あれぇっ!? ランク下がった!?」


「ていうかお兄様、係長って何?」


「すげぇデジャヴだ!」


「いいか、蒲公英。係長ってのは、コイツみたいな――「言わせねーよ!」――ポンコツを言うんだ」


「言っちゃったよ! 止めたのに!」


うるせーな、本当に。




「お前らホントなんなんだよっ!? 俺の心、抉りに来たのかっ!? もう帰って!」


「この程度が君主とか、マジポンコツ」


「そりゃあ、伯母上様と比較したらねぇ〜」


「アレは自重せんからなー」


「無視ですか!?」


うるせーな。

しょうがないから出ていってやるか。


「では失礼。ご主人様」


「ちょ、お前がそれをいうなよ! 気持ち悪っ!」


せっかくご主人様と呼んでやったのに。

そんなに甘ったるーい声で言ってやったのが気に入らなかったか。






   ★ ★ ★






自室というか、俺達の政務室?に戻った俺達。


「ねぇ、お兄様」


「ん、なんだ?」


「久しぶりだね、こんな風にするの」


「そーだなぁ。それもこれも、西涼太守なんかになりやがったあのアホのせいだ」


蒲公英の言うこんな風とは、俺が椅子に座り、その上に蒲公英が座る、という状態だ。

かわゆい蒲公英の匂いとお尻が堪能でき、後ろから抱けるという一石三鳥を味わえる、役得でしかない体制のことだ。

……あぁ、堪らんのー……。


おっと、いかんな。


何故久しぶりかと言えば、俺の仕事が増えまくったせいで、その体制ができる程の暇がなかったのだ。


まだ蒲公英が軍に入ってなかった時は、時間を見つけては蒲公英を上に座らせて、政務をやっていたものだ。

あのアホが西涼太守になる前までも、数分とかだけど、偶に座らせてた。

その時は、別に特別な感情はなかった、はずだ。

少なくとも下心はなかったぞ!

俺の座高と蒲公英の座高のサイズ感がぴったりだったから、ってだけだ!

蒲公英の頭の上にちょうど俺の顎がくるんだよねぇ。


「もしかして、伯母上さまはそれを狙ってたり?」


「……有り得るな。あの野郎」


随分と舐めた真似してくれたじゃねぇかあのアホ母親め。


「ふふっ♪ お兄様って、ホントにたんぽぽが好きなんだね」


「いや、好きじゃないぞ?」


「……え?」


「愛してる、だ。心から蒲公英を愛してる」


既に、好き嫌いの領分は越えているんだよね。

もうね、大切過ぎる存在だ。

蒲公英なしじゃ、生きていけないぐらい。

自分が死んだら意味がないから俺が一番だが、蒲公英の命は二番目に大切だ。

もはや、依存に近いかもしれんな。


確かに、俺に好意をくれる奴は、蒲公英の他に、山百合と瑪瑙がいるが。

俺が上になのは確定してしまってるからな。

愛い奴らであるし、可愛がってやるのも吝かではないけど。

だが、それだけなのだ。


けど、蒲公英は対等にいてくれる。

呼び名こそ兄っぽい立ち位置だが、それだからこその対等でもあるのだ。


「え、えへへっ。ちょっと、……恥ずかしいなぁ」


「恥じらう姿も可愛いよ、蒲公英」


「もっ、もう! お兄様の意地悪っ!」


「なんでだ? 俺は事実を言っているだけだぞ?」


「それが恥ずかしいって言ってるの!」


俺と対面するように座り直して、顔をほんのり赤らめながら猛抗議してくる蒲公英。

それじゃあ可愛いだけだって。

俺を萌え殺す気かよ。


でも、本当に事実だろ?

知ってるぜ?

可愛く見せようと、努力してることを。

俺の気を惹けるように、頑張ってることを。


そういうとこが、マジで愛らしいんだよな。

勿論、それを本人に対して言わないけどさ。

それがマナーじゃね?


「まぁ、今はそれでいいよ。……早いとこ、慣れることだね」


「……えー……。もっと優しい言葉を掛けてくれると思ったのになぁ〜」


「ははっ、冗談だって。……徐々に、慣れていってくれればいいさ」


そう言って、蒲公英を抱き締める。

あぁ、この匂い。

本当に落ち着く。

マジ癒されるー。


「いいの? 勿論頑張るけど、待たせちゃうかもよ?」


「おー、別にいいぜ。元々、俺が待たせてたしな」


左手は腰に、右手は蒲公英の後ろの髪に、指を絡ませたり梳いたりして弄ぶ。

このふわっと感が堪らんです。


「ふふっ♪ たんぽぽ、お兄様のそういうところ、大好き」


「~~~~っっ!!」


くっそ、めっちゃ嬉しいじゃねぇか!

どっ、どうしよう!

この至上の喜びをどうしてやろうか!




とりあえず、蒲公英がいい、と言うまでずっと抱き締めておこうと思う。






   ★ ★ ★






幸せな時間ほど短く感じるものはないらしく。

もう夜飯の時間である。

引き続き幸せであるがな!


「はい、あ~ん」


「ん、もぐもぐ」


「……お前ら、あたしの前で平然とやるなよ」


おぉ、翠さんや。

そんなジト目でこっちを見ちゃって。

羨ましいか?

羨ましいんだろ?


「……お前、殴るぞ」


「いやー。翠が怒ったー。助けて蒲公英ー」


「もー、しょうがないなー♪」


そう言いつつ、満更でもなさそうな顔の蒲公英。

流石、我が嫁!


「頼むから、あたしの前では普通にしてくれ。胸焼けする」


「「え? これが普通なんだけど?」」


「……そういえばそうだった」


どうやら、翠には残念なお知らせだったらしいな。

まぁ、かなりがっくりとうなだれた翠さんは放っておくが。

今は、蒲公英とハモれただけで嬉しいのだよ。


「蒲公英も、欲しい?」


「気持ちは嬉しいけど、今はたんぽぽの番だからだ〜め」


「そっか。んじゃ、お言葉に甘えて、あー」


「はい、どーぞ♪」


「もう、ずっとやってろ!」


ゆっくりと咀嚼して、味わう。

俺が作ったもんだから、勿論パーフェクトに旨いのだが。

蒲公英の愛が、もっと美味しくしてくれるのだ。


あん?

蒲公英が作らないのかって?


別に、そこまでは求めないさ。

実際作ってくれたら、嬉しくて悶えそうだがな!


……こういう時に、俺の料理スキルが低ければなー、と思うんだよね。

自分でも自信が持ててしまうぐらいの腕が俺にあるせいで、俺以上の料理が作れないと思ってしまう訳で。

すっげえ作りにくいんだろうなー、と常々思うのだ。


いや、ね。

蒲公英、普通に料理出来るんだぜ?

牡丹やら山百合やらに教えて貰ってたりしてたらしいから、かなりのレベルにはあるんだよ。

だから、勿体無いんだよなー。


ま、俺が作ってあげることに、何の問題もないからいいんだけどさ。





「ねぇねぇ、お兄様」


「ん、なんだ?」


「次は、たんぽぽにちょーだい」


「おー、構わんぞ。ほれ」


「んーん、違う違う」


蒲公英の口元に唐揚げ(ていうか、油淋鶏だ)を運んでやったのだが。

首を振って拒否された。

なんてこった!


「お兄様、お口開けて」


「む。別に構わんが」


とりあえず口を開けると、一口分の回鍋肉を入れられた。

よくわからんが、咀嚼する。

うむ、旨い。


ふと視線を感じ、前を向けば、真ん前に蒲公英の、ちょっと顔を赤らめた満面の笑み。

あら、可愛い。


「それじゃお兄様、いただきます」


「もぐ?」


「……え? ちょっ、蒲公英、おま!? それは!!」


翠が戸惑いつつも、大声を上げだす。

何故、そんなに慌てている?


「うぉわぁあぁぁぁあ!! 待て待て待て!! 蒲公英、それは頼むから!! 後生だから、今は止めてくれ!! この通りだ!!」


「……えー……」


「もぐ。ごくっ」


翠よ、食事中に何をしてる?

何故に、土下座?

対する蒲公英はふくれっ面だ。

うん、可愛いぞ。


「もう、今日だけだからね!」


「え、それ本気か?」


「そりゃそうだよー」


「……慣れろっていうのかよ」


「お兄様の料理が食べたかったらね」


わからん。

何故か蒲公英が優位なことぐらいしか。


うなだれる翠に、溜め息でもつきたげな蒲公英が口を開いた。


「ていうか、翠お姉さまは早く慣れるべきだよ。ご主人様と、まだ全然でしょ?」


「ななな、何言ってんだよ蒲公英! あたしは別にご主人様なんかっ!」


「もうバレバレだってば。気付いてないの、ご主人様ぐらいだからね?」


「は? まだ進んでねぇの? そろそろ恋人ぐらいになっとかねーとな」


「陽まで何を言ってんだ! だからあたしは――「「はいはい、わかったわかった」」――なんだよ二人して!」


いや、周知の事実だし。

西涼おった時点で知っとることだしな。

牡丹が嬉々と言いふらしとったから。

相当な親バカだぜ、アイツ。


てか、まだかよと思うぐらいだわ。


「せっかくこんなカラダしてるのに、勿体無いな〜」


「こらこら、蒲公英。食事中だ、はしたないぞ」


「むぅ。ホント羨ましいなー」


「……ぁ……ん! 蒲公英!」


「い゛っ! もー、揉んだぐらいで怒んないでよ!」


だから止めてやったのに。

案の定、翠の胸をさわさわもみもみとしたせいで、拳骨されてしまった。


……しかし、そんなに大きくなりたいのか?

別に俺は、今のまんまでも一向に構わんのだがのー。






   ★ ★ ★






夜も更け、特にやることもない俺は床に就く。

全部思い出してからは、畳が少し恋しかったり。


「いやー、それにしても最高だわ」


仕事は少なく、ほぼ蒲公英と一緒にいれるとか。

マジで嬉しい職場だ。

桃香ちゃんには感謝感謝だな。


そんなことを考えながら、Tシャツ短パンで(時代錯誤とか言うな)寝台で寝転んでいると。

コンコン、コンコンと、扉から音がした。

夜も更けているために、少し控えめな音の大きさなのが、今になっても懐かしい。


「いいよ。おいで」


「えへへっ♪ それじゃ、お邪魔しまーす」


予想通り、戸の向こうには蒲公英がおり。

部屋に入り、真っ直ぐ俺の下へやってきて、当たり前のように、隣に寝転んだ。

まぁ、当たり前のように腕を差し出した俺が言う事じゃねーだろうけどな。


「それで、今日は?」


「用がなかったら、ダメ?」


「いんや、何時でも大歓迎だけどな」


この俺が、拒否する訳がない。

向かい合って寝転がる蒲公英の頬に手を寄せる。

そのまま手を前に進め、横髪を梳く。

目を細める仕草がなんだか可愛らしい。

いや、勿論何時でも可愛らしいんだけどね。


「お兄様」


「んー?」


唐突に、蒲公英は少し空いていた俺との距離を縮め、少し俯いたまま、胸元に体重を預けてくる。

少々戸惑いはしたが、特に問題はないので、優しく頭を撫でておく。


これは、……恥ずかしがってるのか?


「たんぽぽね、お兄様のこと、あっ、愛して、るよ?」


「………………」


…………はっ!!

い、いかん!

トリップしとった!

嬉しすぎて!


これはマズい。

心臓がヤヴァイ。

恐ろしい速さでビートを刻んでやがるぜ!


にやけそうになる口を抑えつつ、そんな俺を見られないように蒲公英の頭も同時に抑える。

あ、でも、これでは心臓が高鳴ってるのがバレる!


「ふふっ♪ お兄様ってば、たんぽぽよりドキドキしてる。そんなに嬉しい?」


「勿論」


そら嬉しいとも。

嬉しすぎて発狂しそうだってーの。

不意打ち過ぎて、言葉も出てこないぐらいだからな。




あぁ、……幸せ。




とは言え。

賢者モードもなかなか辛いけどな。

蒲公英が魅力的すぎて、さ。






ま、頑張って寝ますよ。

お休みー。










陽は語る。


「はっはー! これからお前らを糖尿病にしてやるからな!」






あっ、あれは、陽君が勝手に言っただけであって!

作者の総意ではないのだ!

でも、書いたのは私に間違いはない(あるぇー?



兎も角、すいません。

中間管理職って、かっこいいですよ。







今回のサブタイは、陽君の1日、でした。


「全く、陽の凄さが全然わかってないわ、甘々君主は! プンプン!」


プンプンとかキモイ。

まぁ、客将ですし、陽君も喜んでるし、いいんじゃね?


「……そうね。私は、縛ることしかしてなかったもんね」


シリアスっぽい雰囲気出さないでください。


「なんだとぅ? 私はいつだってシリアスよ!」


アンタはシリアル(苦笑)だろーが。


「今回は私が責められてる! あぁっ! ビクンビクン!」


ほら、これだよ。






おしまい☆




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