非日常なビリヤード:東野圭吾風 created by ChatGPT
以前書いた短編小説をChatGPTに「東野圭吾」風に書き直して貰いました。
青年が目を覚ましたのは、人工的に照らされた明るい部屋の中だった。
「……っ」
身体のあちこちが鈍く痛む。固い床に長時間横になっていたのが原因だと気づくまで、数秒を要した。
見渡した限り、そこは無機質な空間だった。
中央にぽつんと置かれた手入れの行き届いたビリヤードテーブル。そして壁際には、ひとつだけの椅子。
それ以外に家具らしきものはない。
窓はなかった。時間の感覚も奪われている。今が昼か夜か、青年には判断できなかった。
唯一の出口と思しき扉は、部屋の雰囲気にそぐわない異様な存在感を放っていた。
分厚い金属製。まるで潜水艦のハッチを思わせる作りで、さらにその周囲には数十ものロックが噛み合っていた。
(……閉じ込められた?)
自分が最後に覚えているのは、行きつけのビリヤード場でキューを構えていた場面だった。
仲間と笑い合い、少しばかり調子の良い夜だった。
そしてカウンターに腰を下ろし、見知らぬ中年の男に酒を奢られた。
「ずいぶんお上手ですね」
男は穏やかに微笑み、青年も最初は警戒を解かなかった。だが、空腹と興が乗った勢いに任せて一杯を受け取った――
その後の記憶はない。
……そして目を覚ますと、ここだった。
ビリヤードテーブルに近づく。テーブルの上には、ナインボールの定型どおり、菱形に組まれた9つのボールが美しく配置されている。
青年はひとつを手に取り、ポケットに放り込んだ。
カチッ。
金属音。扉のロックが、一つだけ外れたのが見えた。
試しに残りのボールも番号順に落としてみた。だが、それ以降、扉は沈黙を保った。
天井を見上げると、小さなカメラらしき穴に気づく。
誰かが見ている。誰かがこの部屋を支配している。
青年はボールを再び組み直し、自分のキューケースからブレイク用のキューを取り出す。
いつもの構え、いつもの呼吸で……ブレイクショット。
カチッ。カチッ。
2つの金属音。2つのロックが解除された。
(そういうことか……)
ここを出るには、ボールを落とす。しかも、ルールがある。
ミスをすれば、すべてが振り出しに戻る――。
時間は不明、空腹と乾きが喉にまとわりつく中、青年は何度もラックを組み、ブレイクを繰り返す。
そしてある時、照明がわずかに暗くなった。コンディションの変化。
それだけで一本の球を外し、次の瞬間、ロックはすべて元に戻っていた。
(第二ステージ……?)
明確なルールは無い。だが、間違いなく「誰かの意図」がある。
青年は冷たい汗を流しながら、黙々と、そして狂気すれすれの集中で球を追い続けた。
いつからか、扉の音を気にするのをやめていた。
気づけば体力は限界を超え、意識はぼんやりとしていた。
何ステージ目かもわからない。最後のブレイクから、9番ボールを沈めたとき――
ガチャリ……
扉が開いた。
外から差し込んだ光に目を細めながら、青年はその場に崩れ落ちた。
次に目を覚ましたとき、そこは柔らかいベッドの上だった。
「まだ起きないでください」
近くにいた若い女性が、心配そうに青年に声をかけた。
「ここは……どこだ?」
自分の声が、自分のものとは思えないほど弱々しかった。
「もう大丈夫です。あなたはテストに合格したのですから」
「……テスト?」
唐突に扉が開き、かつての中年の男が現れた。
青年は本能的に立ち上がろうとするが、後ろに控えた屈強な男たちを見て、拳を握りしめるにとどめた。
「申し訳ないことをした。だが、君には素質があった。あの部屋で、それを証明してもらった」
「冗談じゃない……俺は死ぬかと思ったんだぞ」
「だが、死ななかった。それが全てだ」
男の声音が変わった。あの夜の酒場で見せた表情とはまるで別人だった。
「なぜ俺なんだ?」
「プロは目立つ。君は、ちょうどよかった」
青年は唇を噛んだ。
「君はもう、以前の自分には戻れないよ。日常に飽き、刺激を求めていたはずだ」
「……ッ!」
「君のような人間が、この世界に必要なんだ。我々の“競技”には」
青年は言葉を失い、ただその場に立ち尽くしていた。
数日後、青年は元の生活に戻った。だが、かつての日常には、もう何も感じられなかった。
「……戻ってくると思う?」
あの若い女性が、男に問いかけた。
「いずれ必ず。彼はすでに“こちら側”の人間だからね。
あれは、ただの入口に過ぎなかったのだから」
男は静かに笑った。その目に映るのは、次なる“ゲーム”の始まりだった。
いかがでしょうか。雰囲気出てますか?