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プロローグ うれしき人が息の香ぞする

……また前世の夢を見る。

燃えたぎる城の壁。攻め込む革命軍。遠くから聞こえてくる悲鳴と足音。床に残る血の跡。

いやだ、やめて。あつい、こわい、近寄らないで。なんで、どうして、、

早く夢から醒めて!!!!

「はぁっ…はぁっ…」

ベッドから大汗をかきながら勢いよく起き上がる。手で顔を覆い、周りをギョロギョロと視線だけ動かして見て回る。充電中のスマホ、パソコン、流行りのバンドのポスター、彼氏の写真…大丈夫。私は現代にいる。暗いテレビに反射した、日本人の顔をした自分の頬を撫でる。ここには誰も私を脅かす人はいない。夜の暗い闇の中、月明かりだけが部屋を照らす。


荒い息を整え、ベッドから降りてキッチンに向かう。喉が渇いた。ふらつく足元だったが小さなライトだけ付け、冷蔵庫から取り出したお茶をコップに注いで一気に飲み干した。喉が大きく鳴って、水分で身体が満たされるのを感じる。ふーっと息を吐き、家族が全員寝てしまい静寂としているリビングのソファへ腰掛ける。明日も会社があるから早く寝なければいけないのに、まだ手が震えている。あの夢のせいだ。それは残酷なほど鮮明に、繰り返し見てしまう悪夢だった。恐らく前世の記憶なのだろう。そうでないと説明の付かないくらい現実的で恐ろしいものなのだ。夢を見ている最中、私は登場人物の一人に憑依してるかのように意識も行動も同調していた。その子の一生を壊れたテープのように繰り返し辿る。リビングに飾られている某アニメのプリンセスをモチーフにした雑貨を眺める。


前世、私は「一国の姫」だったらしい。髪の毛の色は赤くてフワフワのウェーブ。上等なドレスを纏い、それに負けず顔立ちは美しかった。だけど蝶よ花よと育てられた訳ではない。

王が手を付けた踊り子の娘であった。

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