敵も味方も
職場の女性社員が休みがちになった。妊娠したが、状態が安定しないようだ。半日で帰ったり、数日入院して点滴したり、を繰り返している。
昨年、結婚して2年目に妊娠して、公表したが3・4ヶ月目に流れてしまった。今回は(薄々気がついたり漏れ聞いたりしているものもいるけど)公表されていない。
「みんな気がついているんだから公表すればいい」という意見もある。「仕事に支障が出ているんだから管理職がなんとかしないと」という意見もある。追い込まれた当人は退職を決めようとしている。皆が同年代で、同業者で、同じ学校の出身で。
誰が何が敵なのか、味方なのか。
結婚すればヤれば出来る、十月十日すればポコっと生まれる、それが当たり前。そう考える人は多い。でもそうじゃない人も、カップルもいるのだ。
我が家の場合は7年間出来ず、親に「検査したら」「病院に行ったら」とつつかれている時に妊娠が発覚した。安定するまで親に言わないでいたが、直後(妊娠4ヶ月に入る頃)に祖母が亡くなり、葬儀に参列することとなった。一人目が生まれてから二人目を妊娠するまでも何度か生理と生理の間が開いて1月半〜2月で再開して、ということがあった。そういえば一人目の前にも何度もあったから、早期流産を繰り返していたのかもしれない。
職場の別の同僚の場合は、奥さんが妊娠して、でも4ヶ月目くらいに流産してしまった。お互い長距離通勤だったこともあり、「妻を支えたい」と同僚が退職、職場を替わった。
前の職場の同僚は、長く付き合っていた相手との間には避妊しなくても子どもが出来なかったが、浮気したら子どもが出来たので、前の相手とは別れて今の相手と結婚した。子どもが2人いる。
職場の同僚だった人は結婚して7・8年くらいだろうか、夫婦で犬に愛情を注いでいる。
妻の従兄弟2人は結婚して20年くらいになるだろうか、揃って子どもが出来なかった。帰省や法事で会うとウチの子どもたちを可愛がってくれた叔父さんは、3年前に亡くなった。
以前の職場のお客さんは、姪っ子が出産したが亡くなった、夫と赤ちゃんだけ残された、と病院を恨んでいた。道北の周産期医療の、最後の砦の病院だった。
誰が何が敵なのか、味方なのか。もう祈るしかないのか。
上の子が産まれて暫くしてから母や叔母が「バアちゃんが亡くなる2・3月ほど前に『○○の子どもが産まれる』と言ったんだよ。『従兄弟の△△のことじゃないのかい?ボケたんじゃないかい?』って言ったんだけど」と。時期的には妊娠したかどうかくらいで、私たち夫婦が気がついていなかった頃。初孫だった私のことを、他に孫ひ孫が何人も産まれているのに気にかけていたのだろうか。
下の子が生まれる前は、妻の祖父母が相次いで亡くなった。妊娠4ヶ月の終わりと出産(帝王切開)の前々日。
偶然なんだと思うけど。子どもたちが産まれて来るために、祖父母が守ってくれたのかも知れないと。そう考えたら。
誰にも言えない。妻にも言えない。