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加護もらっちゃった

逃げたいと願う令嬢と、膝の上に座られたい王子様のお話


「あの・・・アシュリッド様、ブロッサム?これは一体・・・」

「マーガレット・フロート、お前の目は何のために付いている?見たらわかるだろ?」

「わかるだろと言われましても・・・」

「アッシュ、お義姉様は少し頭が弱いから見ただけでは判断できないの」


マーガレットは目の前の状況判断に困っていた。

由緒正しい公爵家の大きな我が邸は王城に程近い立地に建っており、その屋敷の応接室も広々としていてオーダーメイドの家具で取り揃えられている。


先程、マーガレットが友人達との観劇から帰宅すると、執事より婚約者であるサンデー侯爵家次男のアシュリッドが来ていると報告を受け、急いでその応接室の扉を開けた。


3人掛けのソファーにはちょこんと腰掛けた状態の義妹ブロッサムとそのブロッサムの膝に頭を乗せて横になっているアシュリッドが応接室を占拠していた。

上品なこの空間には少々下品な装飾の2人の存在感は大きい。


「お加減が悪いのでしょうか?お医者様を呼びましょうか?」


「ね?お義姉様は馬鹿なのよ。アッシュもよくこんなのと我慢して婚約していたわね」


かける言葉に困ったため、マーガレットは体調を気遣ってみたもののそれを馬鹿にした言葉が返って来た。


撫子色で柔らかな髪。

目には大粒のエメラルドを嵌め込んだかのような瞳。

鼻はあまり高くないが、小顔で同世代の女の子達からは羨望の眼差しが向けられるその顔は、今流行りの薄化粧で魅力が増幅している。

顔面とは真逆でブロッサムは気が強く陰湿な性格のだが、顔面が良いことでその欠点を含めても周りからの評価はプラスに作用するらしい。

我儘だがそれもまた可愛いフロート家の次女として、特に異性からの人気が高い。


そんなブロッサムはマーガレットに対しては特に目の敵にしているようで、態度も言葉もどこかナイフのように鋭い。

マーガレットも慣れているとは言え、長年傷付けられて自尊心はズタズタだ。


「俺は寛大だからな。でも、マーガレットよりもブロッサムの方が頭も良くて美人だし、俺の事を優しく癒してくれる。俺はマーガレットのようにふくよかな女性よりもブロッサムの様な細身がいい。もう我慢も無理だな!だからマーガレット、俺の婚約者を君からブロッサムに変わる事になった!!」


今度はアシュリッドからの援護射撃にマーガレットの気分はどん底だ。

ブロッサムとは違い見た目の通り俺様なこのアシュリッドは唐紅色の髪のように、苛烈な性格だ。

黙っていれば見目も良く、もてるため自信家なのだがその分ちょっとした事で発火しやすい。

マーガレットはこの男に着火しないように、婚約した当初から気を使い気分を害さぬように過ごしていた。

婚約当初から性格に難があり、ここ数年は蔑ろにされていたため、好意は全く無かったが長年婚約を結んでおり一方的に婚約を解消されるのは少々腹立たしいし、悲しい。

喜ばしい事でもあるが、それ以外の感情も混じり合い気分は複雑だ。


「お食事もあまり食べないのに、どこから養分を吸収しているのでしょうね」


ブロッサムは馬鹿にしたように笑う。

確かに、義母の命令でマーガレットには一日2食。

しかも、使用人たちの賄いと同じ物をごく少量しか与えられていないので、ブロッサムの小馬鹿にした内容は本当だ。

しかし、そんな事わざわざ答えるのも馬鹿馬鹿しくて、マーガレットは無表情のまま2人に問いかける。


「わかりました・・・。お父様には?」

「もうお父様が手続きも済ませているわ~」


本人の預かり知らぬ所で、婚約解消手続きは済んでいたらしい。

父親にとってもブロッサムとアシュリッドにとっても、どこまでもマーガレットは取るに足らない存在なのだと思い知らされる。

その扱いの酷さに傷つき、嬉しいはずの婚約破棄は様々な人物に対する遺恨が残るかもしれない。


ただ、マーガレットとしても、ブロッサムとアシュリッドは性格的にお似合いだと思う。

このアシュリッドもブロッサムに対してはデレデレと甘えるので本当に愛している事もうかがえる。

きちんと手順を追った婚約解消であれば誰も傷つくことのない円満な婚約解消となていただろう。


「今までありがとうございました」


淡々とした口調に筋肉を使う労力も惜しみ完全に無表情でそのまま応接室を後にし、マーガレットは離れの自室へと急いだ。


離れ自体が厄介払いのためにマーガレットに当てがわれた唯一の場所だ。


しかし、結局は敷地内。

聞きたくもない声がよく聞こえる。


マーガレットの部屋からは洗濯を干しに来たメイド達の甲高い笑い声がよく聞こえる。

マーガレットの事をバカにする家族同様、使用人の中にもマーガレットを小馬鹿にする人物もいたりするので、話題の中にはマーガレットの話も度々上がってくる。

今回の婚約破棄も早々に話しの種だろう。

そうなれば聞きたくない話も必然と聞こえるため、この離れも居心地が頗る悪くなるのは予想できる。


自室へ入るとドアを閉め、マーガレットはドアを背に寄りかかる。

この邸の中で安らげる場所はない。


すると、幼馴染の彼の声が頭に響く。


『嫌なことがあれば逃げておいで?』


(逃げたい。ここから・・・)


マーガレットは心の中で願い、ゆっくりと目を閉じて10秒数える。


思い浮かぶのは幼馴染の顔だけだ。


「マーガレット、いつも突然だな」


耳元で聞き慣れた声にマーガレットは大きく息を吐いた。

いつもこの時間は無意識のうちに呼吸を止めているのだ。

耳から聞こえる優しい声音と身体を包む温もりに強張っていた緊張感が解けていくのをマーガレットは感じる。


ゆっくりとマーガレットが目を開けると、目の前には優しげに微笑む幼馴染の姿があった。


「今日もおかえり、マーガレット」


金髪の柔らかな髪は少し癖があるのだが、今日も櫛で丁寧にすかれているのかサラサラで頭をぐしゃぐしゃにしたくなる衝動が湧き出てくる。

本人はそれを大層嫌うため、マーガレットは手を伸ばしたい気持ちをグッと堪えた。

仕事の邪魔にならない様にサラサラの髪を耳にかけているため、片方の耳は完全に無防備にむきだしだ。

変わりにマーガレットはその耳朶を摘み、フニフニと感触を頼んだ。

柔らかくて、冷たいその部分はマーガレットの癒しでもある。


「マーガレット、人の耳を弄くり回さない」

「貴方の耳はいつも私を癒してくれるの」

「そうか、俺がいつもマーガレットを癒しているのか」

「要約するとそうなのかしら?」

「要約せずともそうだろ。マーガレットの触れているその耳も俺の身体の一部だ。さて、そろそろ俺の膝の上から退いてくれるか?・・・あまり、色々とよろしくない」


マーガレットには言葉の後半はゴニョゴニョと聞こえにくく、何を言っているのかは聞き取れなかったが言われた通りに彼の上から退くように立ち上がった。


マーガレットが膝の上に腰掛けていたその主は、この国の第三王子のラダシェルだ。

金髪に青い瞳の青年は口さえ閉じて居れば、気弱げな美青年である。

本人もそのことは自覚しているのか、親しい者達以外には猫を被り人畜無害そうな性格で魅せている。

甘えて自己を通す事に長けており、突進してくる令嬢達へのいなし方も上手い。

本当はナルシストの自信家なのだから、見たままを信じ込むとラダシェルの手中に収まるので要注意だ。

マーガレットは心の中で彼のことを人形遣い(パペッティア)ならぬパペッシェルなんてあだ名で呼んでいるのは秘密である。

バレたら報復が怖い。


マーガレットはラダシェルの事は幼少より知っている旧知の仲だ。

母親同士が女学校時代の学友で、ラダシェルの母ダリアが側妃とし王家へと娶られてからはマーガレットの母プリメリアが時折おしゃべり相手として、王城の側妃の離宮へと定期的に通っていた。

それは子供達が産まれてからも変わりなく、マーガレットが物心ついた頃にはプリメリアに手を握られてその美しい離宮へと遊びに行くのは日常的なことであった。


母達のおしゃべりの最中にマーガレットとラダシェルは2人で遊ぶのだ。

ラダシェルの母ダリアは子爵家の出で後ろ盾の薄い側妃であったため、ダラシェルは王子と言えど腹違いの2人の兄に比べて自由に育ちやんちゃであった。

マーガレットの母プリメリアは公爵家の1人娘であったが、淑女としての礼儀作法や社交は完璧であったが、根がお転婆。

マーガレットはそんなプリメリアとは正反対のおっとりとした怖がりやな性格で、そんなマーガレットに対してラダシェルは兄貴風を吹かせていつも一歩先を先導してくれる頼もしい友人だ。

いい歳の令嬢がそんな友人に未だに依存して頼ってしまうのは恥ずかしいが、マーガレットが心を許せる相手が今はラダシェルしか思い浮かばない。


そんなラダシェルの初恋が亡きプリメリアだという事をマーガレットは知っている。

本人から直接聞いた事は無いが、見ていれば幼いマーガレットですら気づくレベルでラダシェルはプリメリアに夢中であった。

いつも、マーガレットにはこそこそと顔を真っ赤にしながら何かプリメリアと話しているのをこっそりと見ていた。

ラダシェルに何を話したのか問いかけても、2人だけの秘密だとつっけんどんに突き放された。

そして、遊び疲れて母の膝で寝ているマーガレットが起きると何故か幸せそうな顔をしたラダシェルがプリメリアにピッタリとくっつき座っているのだ。

そんな表情を見ていればプリメリアに恋をしているのに気づくし、表と裏の顔を使い分けているラダシェルを見ていればプリメリアを見習っているのもわかる。


ちなみにマーガレット自身の初恋はラダシェルなのだが、早々に失恋してしまっているし、解消したとは言え一応婚約者も居たのでその気持ちは蓋をして閉じ込めている。

その気持ちは噯にも出さないのは、プリメリアの遺伝と影響をマーガレットも受けているからだろう。


そんなプリメリアの存在は偉大で、もう亡くなっているが故にマーガレットは母に太刀打ちできないのも理解している。


「お腹、空いてるだろ?」

「もちろん。でも、今日は珍しく暖かいスープだったの。暖かいものが出てくるのは久々だったから、嬉しかったなぁ〜


マーガレットは勝手知ったるこのラダシェルの執務室。

自分の定位置に腰掛けて、仕事中のラダシェルの顔をそっと盗み見る。

ラダシェルは側近のヒューレイに目配せしてをし、ヒューレイはそのまま部屋を出ていった。

マーガレットとはヒューレイともそれなりに長い付き合いであるが、必要以上に話す事もなく顔見知りの域を抜け出せない。

寡黙な男で腕っ節も強く、剣技も優れている。

子爵家の出で、ラダシェルの母方の従兄弟に当たるのだが、いつも突然現れるマーガレットに驚く様子もなく堂々としている。


「今日は何があった?」

「一方的に婚約解消されちゃった」

「はぁ?」


ラダシェルは、絞り出したような低い声を上げ怒気を含んだオーラを出し始めた。

それまで落ち込んでいたマーガレットは、そんなラダシェルの怒りに少し気持ちが浮上する。


「義妹とね、婚約を結び直すのですって。でも、よかったわ。これで怒鳴られないように彼の顔色を伺う必要が無くなるのだから。でも、どうするのかしら?婿入りで進めていたのに、ブロッサムと結婚してどうするのかしらね」


フロート公爵家の当主は現在不在である。

祖父の跡を継ぎプリメリアが当主であったが、病で体調を崩してからは入婿である父が当主代理を務めている。

母が身罷ってからはそのまま代理として、フロート家を回しているがマーガレットが結婚して当主になるまでの当主代理でしか無い。

この婚約自体もプリメリアが亡くなってから、フロート家の親族の反対を押し切り父が自分の後ろ盾のために侯爵家次男のアシュリッドをフロート家に入婿として迎える予定であったのだが・・・。

ブロッサムはマーガレットと半分は血で繋がってはいるが、フロート家の血を引いていないためアシュリッドがブロッサムと結婚したところでフロート家とは関係なくなる。


「勝手に本人達が言っているだけだろ?」

「お父様にも許可を得て、手続きしたって言っていたけれど・・・」

「それは・・・まさかお前の親父・・・」


ラダシェルが何か言いかけた時、扉がゆっくりと開き先程出ていったヒューレイが戻ってきた。


「お待たせいたしました」


ヒューレイはサービングカートを押してきたが、背の高いヒューレイにはどこか不釣り合いだ。

乗っていた物をマーガレットの目の前に並べていく。


「いつもありがとうございます」


ヒューレイは一度、頭下げるとそのまま存在感を消して壁の方に立つ。

それと同時にラダシェルは執務机から立ち上がると、マーガレットの向かいへと移動してソファーにゆったりと座り直した。


「マーガレット、召し上がれ」


マーガレットは目の前のスイーツを手に取ると、ゆっくりと食べ始めた。


「美味しい〜。今日もブロッサムからあまり食べていないのに、なんでそんなにぷくぷくしているのか聞かれたの。ここに逃げ込んで美味しいものを沢山いただいているなんて思いもしないものね」


マーガレットが食事量の割に肉付きが良いのは、こうしてラダシェルに色々と食事やスイーツを恵んでもらっているからだ。


「ぷくぷくって・・・普通だろ」


美味しそうに食べるマーガレットを見ながら、ラダシェルも適当に摘めるものを指で掴み口に運ぶ。

行儀が悪いのだが、ラダシェルがすると微笑ましく見えてしまう。


「まぁ、マーガレットはガリガリよりぷくぷくしている方が俺の膝上に移動してきた時、クッションになっていい。ガリガリだと痛いだろ」

「重くは無い?」

「丁度いい。これ、うまいぞ」


ラダシェルは先ほど食べたソーセージを同じように掴むと中腰になり、マーガレットの口の前に持ってくる。

マーガレットは躊躇う事なくそれを口に入れると、パリッと言う音と共に口の中にジワリと肉汁が溢れる。

そのままその肉汁が垂れないように、吸うとそのままラダシェルの指がソーセージを押し込み、すぱりとマーガレットの口に収まった。


「あ、わりぃ」


微かに指先がマーガレットの唇に触れ、ラダシェルは指を引っ込めた。


「本当だ。美味しい」


マーガレットは残りの一本を空かさずフォークにさして皿の上にさらっていく。

ラダシェルを見ると指をじっと見つめていて、ソーセージを取ったことには気づいてないようであった。

そのまま気にせずに、フォークで切り分けて口に運ぶが先程ほど口の中に肉汁は広がらず、少しだけ残念な気分になる。


家で食べれない分はここで補うとばかり、マーガレットはゆっくりと食べ進めていった。


「ご馳走様でした」

「マーガレット・・・その・・・さっきの婚約解消の話だが・・・」

「あ、それはちょっと落ち込んだけど、ラダシェルに話したらスッキリしたわ、ありがとう。でも、そろそろ帰らないと・・・」

「あ・・・いや・・・うん。わかった。いつも通り馬車を用意する」

「いつも突然でごめんなさいね?」

「いつもの事だ。あとは、ヒューレイ頼む」

「かしこまりました」


マーガレットは立ち上がるとラダシェルからお土産を渡された。

お礼を伝えながら、受け取ったお土産にマーガレットは頬が緩んでしまう。

そのままラダシェルの執務室から秘密の扉を使い退室しヒューレイと共に離宮から人気の無い勝手知ったる裏道を通り、馬車にたどり着いた。


ヒューレイとはここでお別れだ。

代わりに、いつも送ってくれる女性騎士が同乗してくれる。

彼女もラダシェルの親戚だ。


「いつもごめんなさいね?」


今日、謝るのは何回目だろうか。

いつもラダシェルの所に逃げてくるが、突然マーガレットが訪れるため色々な人に迷惑をかけてしまう。

でも、ラダシェルもヒューレイもこの女性騎士も誰も嫌な顔ひとつせず、暖かく迎えてくれる。

家族からどんな仕打ちを受けようが、心を壊さずに保てているのはラダシェルのおかえりの一言があるからだ。

ある意味、マーガレットの逃げ先であるラダシェルは帰る場所でもある。


しかし、それもあといつまで続けられるかはわからない。

ラダシェルが婚約でもしてしまえば、マーガレットの帰れる場所はどこにも無くなってしまう。


第三の王子のためラダシェルの婚約は後回しになっているとも、ラダシェル自身が婚約を拒んでいるとも聞き及んでいるため、真相は定かでは無い。

ラダシェル自身に聞いてしまえば早いが、マーガレットにその答えを聞く勇気が無かった。

その答えを聞いてマーガレットの居場所が無くなるのが怖いからだ。


馬車に乗り込みあれこれ考えていると、あっという間に邸の裏に着いた。

女性騎士が先に馬車から降り、マーガレットも後に続く。

マーガレットだけが使う秘密の入り口からこっそりと敷地に戻る。

敷地に戻る手前で、女性騎士とは別れ家の者に見つからないように忍足で離れの自室へと戻って行った。


部屋に帰り早速お土産を広げると、先程食べていた物が詰められていた。

分量的には2食分賄えそうな量だ。

今から夕食の時間が楽しみでならないマーガレットであった。









婚約解消から数日後、マーガレットは当主代理である父に急に呼びつけられた。


マーガレットが緊張の面持ちで執務室の前で深呼吸をして部屋をノックする。

扉が開くと、父であるその男は鋭い眼光で一瞬だけマーガレットへと視線を向けてきたが、すぐに視線を逸らし前に近寄るように促してきた。

マーガレットが父親の執務机の前までやってくると、机の上に3枚の用紙が丁寧に並べられて置かれている。


「この中からおまえの嫁ぎ相手を選べ」

「え?」


親子らしい日常会話は皆無のため、用件だけ述べられる事には慣れているがマーガレットでさえ、突然も話に思わず聞き返してしまう。


「聞こえなかったか?お前の嫁ぎ相手を選べ」


父親は一言一句強めの口調で同じ言葉を口にした。

その言葉に唖然としたが、それでは相手の思う壺だとマーガレットとは慌てて疑問を頭の中で整理して、問いかける。


「お父様、フロート家は私が継ぐはずですが?嫁げとはどう言う事でしょうか?」

「そんな事、お前が気にする必要がない。私が段取りを行う」

「しかし・・・」

「うるさい。お前もあの女のように私を馬鹿にしているのか?お前は、この中から嫁ぎ先を選べばいい」


マーガレットは高圧的な父の態度に萎縮した。

婚約解消の話すらも父からは何も無かった。

長年碌な会話も無く、嫌われている事は感じとっていたがまさかここまで蔑ろにされるとは思って居なかった。


「選べるだけありがたいと思え。お前が選ばないのなら私が勝手に決める」

「少しお時間をいただいてよろしいでしょうか?」

「3日だ。3日のうちに決めろ」

「かしこまりました」


マーガレットは机の上に並べられた資料を纏めて手にする。

この険悪な雰囲気のこの場所に留まり、婚約者候補の確認をする事がマーガレットには耐えられそうに無かった。

マーガレットが退室の挨拶をする時にも、父親がマーガレットに視線を向ける事はない。


マーガレットは持っている資料を握り潰し、破り捨てたい衝動を抑えて、離れへの道を急ぐ。今は何も考えたくはなかった。


父親は侯爵家の出だが、子沢山の末っ子だったため家を継ぐ事も無く早々に文官の道を志していたらしい。

真面目で実直。

そんな父親には恋人が居た。

義母である。


しかし、そんな2人を引き裂く事となったのがフロート家の一人娘であったマーガレットの母プリメリアだ。

プリメリアも当時婚約者が居たが、その相手が視察先で水難事故で身罷った。

結婚適齢期の娘の婚約者の死去で、祖父は慌てて次の相手を探さなくてはならなくなった。

そこで、当時釣り合いのとれる年齢と信頼のおける家柄、婚約者も居らず婿入りできる優秀な人物として父の名があがったのだ。

父は愛する人が居たため抵抗したようだが、父の実家が本人の意思を無視して婚約を結んでしまったらしい。

そのため、父と義母は引き裂かれる形となった。


お互いに納得して別れたわけでは無い。

父と母、義母の関係が当時どうだったかマーガレットにはわからないが、父と義母の間にはブロッサムが誕生した。

そして、ブロッサムは父に愛されマーガレットは父に嫌われている。

それだけは事実だ。


マーガレットは少し頭が混乱したまま、部屋まで戻り目を閉じた。


(逃げたい・・・)


ゆっくりと数字を数えながらラダシェルの顔を想像していると、いつの間にか温もりに包まれる。

花の良い香りとマーガレットが1番落ち着く人の香りとが鼻腔をくすぐる。


「おかえり、マーガレット」「おかえなさい」


ゆっくりと目を開けて、見上げるとすぐそこにラダシェルの顔があった。


「ただいま」


マーガレットはそのままラダシェルの胸に顔を埋めた。

突然の婚約の話が、思っているよりも辛すぎて手に力がこもり、持っていた紙からクシャリと音がしたがそのままマーガレットはラダシェルの胸に額をグリグリと擦り付けた。


「お、おい!やめろ」

「まぁまぁ、マーガレットは甘えん坊さんね」


楽しそうな声の主に気付き、マーガレットは慌てて立ち上がり膝を折り挨拶をする。


「お久しぶりです、ダリア様。突然申し訳ありません」

「気にしないで、マーガレット。貴女を私の娘と思っているもの」


目の前にはラダシェル似た女性が微笑み座っていた。

正式にはラダシェルがこの女性に似ているのだが。


「母上・・・」


彼女はラダシェルの母で、側妃であるダリアである。

朗らかな性格で、良く学生時代の母の話を教えてくれる。


「今丁度中庭でラダシェルとお茶をしていた所よ。人払いもしていたから、こちらに移転できたのね。久々に見たわ、プルメリアの精霊の加護」

「母上、もうマーガレットの精霊です」

「でも、元はプリメリアの精霊よ?」


マーガレットの母プリメリアは聖霊に愛された、加護持ちであった。

その能力は治癒であったが、婚約者を救えなかった事に嘆き精霊達も同じように悲しんだそうだ。


そして、その力は自分自身への治癒は行えない。

病に侵されたプリメリアはマーガレットを1人残し儚くなる事に再び嘆いた。

婚約者を亡くした時のあの悲しみを精霊達は思い出し、プリメリアの想いに呼応し代わりに精霊達がマーガレットのそばにいる事を選んだそうだ。


プリメリアが亡くなる直前に教えてくれた。

プリメリアは精霊と話せたが、マーガレットには見る事さえできない。


しかし、マーガレットに寄り添う精霊達は家族に虐げられ、傷つくマーガレットに加護を授けた。


それが、移転の力だ。

マーガレットが逃げたいと思えば、逃げれる力を授けてくれた。

だが、その力にはある条件があった。


なぜか移転先はラダシェルの膝の上だけであった。

ラダシェルの気の許したものしかいないタイミングとマーガレットが逃げたいと強く思うタイミングが合えば、ラダシェルの膝の上に移転する。


ラダシェル限定の移転。


すこし不便な力ではあるが、この力のおかげで負の感情を消化する事ができている。

ありがたいことに迷惑をかけているラダシェル本人は嫌な顔もせずにマーガレットの移転を受け入れてくれるのだ。


「あ、あのぉ・・・」

「あら、ごめんなさい。マーガレットもそちらに座って。もし、ご希望ならラダシェルの膝の上でもいいわよ?」

「は、母上!」

「私はこちらの席に・・・」


マーガレットはラダシェルの横に腰を下ろす。

辺りを見渡せば、色とりどりの花が咲き乱れ蝶が花達と戯れている。

ダリアの管理する離宮の庭園だ。

マーガレットも幼い頃は良くここで、ラダシェルと遊んだ。

花を愛でたいマーガレットにラダシェルが急に追いかけてきていつのまにか追いかけっこに変わるのだ。

体力の無く、走るのに適さない靴を履いたマーガレットは直ぐに捕まってしまっていたが・・・。


一度派手にこけて両膝から血を流して泣いた事があった。

そのあと、ラダシェルから走りやすい靴をプレゼントされた事がある。

あの靴は今はどこにあるのだろうか?

マーガレットはボーッと昔の事を考えていると、手の力が抜け、もっていた用紙がヒラリと地面に散らばった。

ラダシェルの足元に落ちた一枚は、マーガレットよりも先にラダシェルに拾われ、ラダシェルはそれを一見すると眉間に皺を寄せた。


「おい、これはなんだ?」

「婚約者候補?」


マーガレットは残りの用紙を拾おうと机の下潜り込むが、動きが早かったのはラダシェルだった。

残りの釣り書きもラダシェルに掻っ攫われた。


ラダシェルは三人分のその内容を確認する。


「なんだこれ、金持ちの嫡男2人と当主の後妻。お前の家に婿入りできない奴らばかりじゃないか・・・」

「そうなの?確かに嫁ぎ先とは言われたけれど、私まだ見ていないの・・・。婚約を解消したばかりなのに、婚約者を早々に選べと言われて・・・、凄く嫌で・・・逃げてきた。ごめんなさい・・・」

「謝るな」


ラダシェルの手がマーガレットの頭を撫でる。

いつもなら髪が乱れるような事をラダシェルはしない。

家族が起きる前の早朝、マーガレットに優しくしてくれる侍女がヘアセットをしてくれている事を知っているからだ。

凝ったアレンジで無ければマーガレット自身でもできるが、やはり手の器用な侍女にしてもらえる髪結が他者からマーガレットに与えられる特別な事なのだ。


「マーガレット、わたくしも見てもいいかしら?」

「はい」

「ラダシェル、ちょっと見せてちょうだい」


ラダシェルは投げるようにしてダリアに手渡すが、ダリアがその態度を咎めることは無かった。

ここは離宮で気心の知れている者ばかりのため、ラダシェルは不機嫌さを隠す様子はない。


「これは、まぁ・・・見事に・・・ラダシェルの予想が当たっていそうね。ラダシェル、わたくしが陛下にお願いして差し上げるから貴方はマーガレットを」

「よろしくお願いします、母上。ヒューレイ、今日の仕事は明日に回してくれ。俺はこれからマーガレットに用事がある」

「承知いたしました」


ラダシェルは立ち上がると、マーガレットへと手を差し出した。


「マーガレット、少し移動しよう」


マーガレットは出された手を取り、立ち上がる。


「いってらっしゃい、2人とも。この庭園は人払いしてあるからごゆっくり。わたくしも、今から陛下に用事ができたので失礼するわね、マーガレット」


「突然、お邪魔しました。ダリア様」

「今度あった時はお義母様と呼んでね?」

「母上!」

「?」


ダリアは柔らかい笑みを浮かべて手を振りながら、2人を見送った。







ラダシェルにエスコートされてたどり着いた先は、昔おままごとで良く遊んだ木の下だ。

芝生がふかふかで木陰で涼しく、遊び疲れて寝てしまってもプリメリアとダリアに見つけてもらえる、とっておきの場所だ。

そこにラダシェルは自分のハンカチを取り出し芝生の上に敷いてくれて、2人は腰を下ろした。


「昔はここで良くおままごとに付き合ってくれたわね」

「俺は木登りが良かったけどな」

「スカートでは無理だったもの。ところで用事とは何かしら?」

「あー、そうだな・・・。うん・・・、ちょっとまって・・・」


何か言いにくいのかラダシェルは手を上げ、待つように言ってきた。

いつもマーガレットが見ている自信家のラダシェルとは違い、少し不安そうな表情を見せ猫かぶりの時のような可愛さを感じた。


暫く沈黙が続き、ラダシェルは意を決したように両手をついて腰を浮かせると、そのまま片膝を付いてマーガレットの前に跪いた。

マーガレットはその動作に驚き、目を見開いた。


「マーガレット・・・その、俺と結婚するのはどうだ?」

「え?」

「変なヤツと結婚するよりは良くないか?」

「それは・・・確かにそうだけれど・・・」


「今、母上が父上に俺がフロート家の婿養子に入る事提案しにいっている。マーガレットの婚約がなくなった今しかチャンスがない。このまま、マーガレットが他家に嫁げば、フロート家はお前の父や義母、義妹に乗っ取られる。だから、今のうち俺と婚約しないか?王命であればお前の父親も断ることもできない」

「でも・・・ラダシェルは?私なんかと結婚するのは嫌ではないの?」

「なんかとか言うな。俺は・・・マーガレットがいい。今まではただの幼馴染で逃げ場所を提供するしかできなかったけど、これからはマーガレットを自分で護りたい」

「私は・・・」

「はいとしか受け入れない。はいと言えよ」


ラダシェルの瞳には熱が籠っている。


「はい」


マーガレットの口からはその言葉が自然とこぼれた。


「あ゛ー!!」


ラダシェルはそのまま芝生に手をつき、地面に向かって叫んだ。


「ラ、ラダシェル?」


ラダシェルの奇行にマーガレットは心配になり思わず、身を乗り出すがラダシェルの動きが一歩早くマーガレットの膝の上にごろりと寝転んだ。


「ちょっと膝かせ。柄にもなく緊張して、疲れた」

「ど、どうぞ?」


許可を得る前に膝を奪われたので、どうぞ以外の言葉がマーガレットは浮かばなかった。

マーガレットの膝の上には見慣れている整った顔があるが、この位置からその顔を見るのは初めてだ。


「やっぱり、少し肉付きがある方がいい」

「それは良かったわ」

「な、無理やり言わせたけど、俺と結婚するの本当にいいのか?」


ラダシェルはマーガレットの垂れている髪を指に絡めて弄びながら聞いて来た。

目線は指先にあるため、マーガレットと視線がぶつかる事は無い。


「私ね、ラダシェルが初恋相手なの。だから、初恋が叶うのってロマンティックだと思わない?私、とても素敵だと思うわ」

「はぁ?初耳なんだが」

「言う訳ないじゃない、初恋を自覚して早々に失恋したもの」

「失恋?」

「ラダシェルは私のお母様の事が好きだったでしょ?だから、早々に諦めたのよ。お母様に勝てるわけ無いし。・・・今でもお母様のことが好きなの?」

「はぁ?俺の初恋はプリメリア様じゃない!」


ラダシェルは慌てたように起き上がる。


「あら?そうなの。なら2人目?でも、ラダシェルは私を除け者にして顔を真っ赤にしながらお母様に夢中で何か話していたし、私が寝ている時お母様の横にピッタリくっついて幸せそうな顔をしていたわ。私よく覚えているの」

「あ、あれは・・・」

「誤魔化さなくていいのよ?私はお見通しなんですからね」


マーガレットの初恋相手は当時のラダシェルだ。

無意識に視線を向けていたので、見間違えようがない。


「プリメリア様に必死で話しかけていたのは・・・、その・・・マーガレットの事を聞いていたからで・・・」

「私の事?」

「俺と遊んでいない時は何していたのかとか、マーガレットの好みとか色々と・・・。横に座っていたのは、マーガレットの寝顔見ていただけで・・・」


ラダシェルの顔は真っ赤に染まり、マーガレットもラダシェルの赤面が感染して頬を赤く染めた。


「別にプリメリア様を想っていたわけじゃない!クソっ!そんな事言わせるな!」


ラダシェルは再び四つん這いになり、真っ赤なその顔を恥ずかしそうに隠した。


「なら、お互いに初恋同士ね」


羞恥心よりもロマンティックなその言葉にマーガレットの胸はときめいた。


「今は?」

「え?」

「今は・・・今はどうなんだよ」

「そうね・・・少し難しい質問だわ。婚約者が居たから、良くわからないの。でも、元婚約者よりもラダシェルの方が大好き」


マーガレットは気持ちのままを素直に伝えた。

婚約者が居る身で他者へ想いを向ける事をマーガレット自身が良しとは思っていなかった。

アシュリッドへの気持ちは婚約中から微塵も無く、恋そのものとは無縁だったためマーガレットの恋は初恋の時の想いでしかない。


「あぁ!」


ラダシェルは再び、マーガレットの膝の上に頭を乗せて横向きに身体を向けた。

マーガレットと反対向きに顔を向けているため、表情が半分しか見えないが、耳が赤いので照れているのは継続中らしい。

マーガレットはそれか可愛くて、ラダシェルの頭を撫でた。

いつもなら嫌かるが、今日は許してくれるだろう。

撫でていると真っ直ぐに伸ばした髪に、癖が戻り始めた。


「今はそれでいい。絶対、俺と一緒の気持ちにさせてやる!」

「一緒?」

「あ、愛してる


ラダシェルの声は小さかったが、マーガレットにははっきりと聞こえた。

久しぶりに聴いたその言葉にマーガレットは気持ちがほっこりと暖かくなるのを感じた。


「ありがとう、ラダシェル」


そして、マーガレットの心と比例するように、膝がスカート越しにも熱くなるのを感じた。







その後、早々に第三王子ラダシェルとフロート公爵家のマーガレットの婚約は整った。


ラダシェルの調査報告でマーガレットの父は虐待とお家の乗っ取りを企てたとして、フロート家から籍の抹消。

今後マーガレットへ接触を禁止するため、義母とブロッサムと一緒に離島への島流しが決まった。


アシュリッドには別段お咎めは無かったが、彼の父親がマーガレットの父親と裏で手を組んで乗っ取りの計画を認知していたため、家格降格となり代替わりが行われた。

アシュリッド自身は早々にブロッサムに見切りをつけたが、本人自身の性格にも難ありのため、婚姻を結べる相手が見つからず、苦労しているらしい。





そして、マーガレットとラダシェルの婚姻自体は最短で結ばれた。

結婚しなければ、マーガレットが爵位を継承できないためだ。

婚姻自体は証書に書き込めば成り立つため、国王と王妃、そして側妃であるダリアの前で愛を誓った。


「あれだけで私達夫婦なの?」

「そうだな」

「全く実感がないけれど・・・」

「気持ちの持ちようだ」


王子との結婚のため式は挙げることになっているが、一年後に落ち着いて取り行う事となった。

そこまで大きな式に本人たちはしないつもりだが、女公爵と王子の挙式のため外野の方が五月蠅そうだ。


「あと、一年で少し痩せないと」

「今のままでいろよ。普通体型なんだからそれくらいがいい」

「ウェディングドレスは美しい状態で着たいわ」

「そうかもだけど・・・もしかしたら、今以上に腹が出ている状態かもしれないだろ」

「どうして?」

「子供がいないとも限らない」

「まぁ・・・ラダシェルはせっかちなのね」

「マーガレットが呑気なんだろ」

「・・・結婚式までは寝室は別にしましょうね?」

「はぁ!なんだよそれ?」

「だって、ラダシェルが意地悪を言う意趣返しよ。それに今はラダシェルが1番危険だもの。結婚の申し込みの時、私の事を護りたいと言ってくれたでしょ?だから、ラダシェルの言葉を反故にしないように、私なりの配慮ね」


マーガレットの言葉にラダシェルは肩を落とし、目をとろんとさせる。


「マーガレット?僕、寝室は一緒がいいな。ねぇ、お願い、マーガレット・・・僕たち夫婦なんだからさ」


甘えたように、上目遣いで手を握り締めてくる。

ラダシェルの武器である猫かぶり、秘儀甘え上手。


甘えん坊モードのラダシェルにマーガレットは耐性がほぼ無い。

少年のようなつぶらな瞳で甘えられ、マーガレットの決意も空しく寝室の件はラダシェルの案に軍配が上がった。


「恐ろしや、パペッシェル・・・」

「うん?なぁに?マーガレット」

「いいえ、なんでも無いわ」


マーガレットは今後甘えん坊モードに耐性を付ける事を決意した。


「・・・もし、今後ラダシェルから逃げたいと思ったらどうなるのかしら?移転先は」

「はぁー?俺から逃げれるわけねぇだろ。まぁ、安心しな、逃げたいと思う事が無いように精一杯可愛がってやる」


この日以降、ラダシェル宣言通り、マーガレットの加護が発動する事は無かった。


ただ、ラダシェルがマーガレットを膝の上に座らせたがる様子は公爵家の者たちに度々目撃されるようになる。




逃げたいと願う令嬢と、膝の上に座られたい王子様のお話はこれにておしまい。


これ以降は仲睦まじい夫婦のお話が紡がれるのです。


最後までご覧いただきありがとうございました。


今回は自分のところに逃げて欲しい+膝の上に座らせたい王子を書きたかったので書きました。

毎回、妄想力だけで書いているため文章・語彙と読みにくい部分もたくさんあると思います。

どうしたら、読みやすく言葉のレパートリーが増えるのか・・・。

元々現国の成績良くなかったので・・・関係あるかしら・・・。

あ、でもB&Lの小説読み始めて成績爆上がりはしたのですが・・・。


本当に、本当に読んでくださってありがとうございました!!

よければ評価のほどよろしくお願いします。


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