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竜に変身できる種族に転生したと思ったら、ちょっと違うみたいです。  作者: 秧摩 真羽


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【番外編】祭りのあとは 8

 そして翌日。


 朝からすっきり気分爽快。


 ネティ様に話したからか、あの祭りの夜から襲っていた鬱々とした重苦しい不安や、心が硬くなってしまう淋しさはどこへやら。


 うーん、幼児だからだろうか。


 悩みからの回復も早いのか?


 眠るネティ様の腕から抜け出し、ベッドをよっこらしょと降りて、朝日が昇る方角のカーテンを魔法で開けると、秋が深まって少し空気が乾いた空に昇る朝日が輝いていた。


 今日もいい天気だ。


 朝一番でトイレですっきり用を足し、水魔法で顔を洗い、歯を磨いていたらネティ様も起きてきた。

寝起きの気だるげなナイスバディ美女の色気は某特撮のスペシウ〇光線も真っ青だと思われる威力で、思わず鼻血出そうになったわ。


 いや、よくよく考えれば、幼児が色気で鼻血出す方がおかしいのか。


 そんなネティ様は私と違ってパチンと指を鳴らして魔法で一瞬、準備完了。

 本日は光の加減でキラキラ金色に輝く辛子色の貫頭衣を纏い、まっすぐな黒髪をハーフアップに結い上げ、お化粧はワインレッド系のアイラインとルージュが超セクシー。

 しかし、髪のセットなどもその魔法で一瞬なんて、素晴らしすぎる。


 私は前日にマーサが準備してくれたバーガンディレッドの貫頭衣のようなワンピースを頭からウンコラショッと突っ込んで一生懸命着るのだ。


 今日はいつもマーサが手伝ってくれるお着替えをネティ様が手伝ってくれて、私の髪を同じようにハーフアップに結い上げて、赤いリボンを結ってくださった。

 そして私はいつも首にかける赤い竜鱗のペンダントをぶら下げて準備オッケー。


 朝食後、王宮に行くお父様とお兄様を見送った後、私はマーサに連れられて部屋に戻った。

 ロジオン様とネティ様は庭を散策した後、私のお部屋に行くと言ってくださったので、私は一旦マーサに連れられて部屋に戻ったのだが、……窓から中庭を見た瞬間、芸術の神が私に舞い降りた。


 幼児の手に色鉛筆と画用紙握って、睨む対象はお庭の孔雀!

 ではなく、我が家の中庭に食後の運動とばかりに烏の羽のような黒い立派な翼を広げ走る黒い獅子と毛の長いノルウェージャンフォレストキャットかメインクーンが更に巨大化して虎さんかと思えるような巨大黒猫!!


 いやん!


 リアルなベネチアの獅子?


 そして、巨大なモフモフ黒猫!


 陛下ったら、あのお猫様をどうやったらお犬様と呼べるのかわからないわ!

 黒い素晴らしい生き物と、背景には紅葉の木々と青い秋の空と秋咲の薔薇!!

 こ、これは描かねば!


 私は久しぶりに刺激された「描きたい欲求」に従って色鉛筆と画用紙を持って、マーサ達の目をかいくぐってすたすたと中庭に向かったのだ。


 走り回る二頭を眺め、そのふわっふわの猫の毛と、つやっつやで張りのありそうな獅子の鬣に惹かれてよちよちと……。


 中庭に現れた私を見た途端、動きを止めたベネチアの、じゃない、黒獅子ロジオン様とノルウェージャンフォレストキャットの巨大版ネティ様がキョトンとした顔で動きを止めた。


「セ、セシルではないか。

 大丈夫か?」


「大丈夫でしゅよ。

 あにょ、今の姿のロジオンしゃまとネティしゃまの絵を描きたいでしゅ」


 持ってきた画用紙と色鉛筆を見せる。

 お二方とも変身するとお目目がキンメダイのように金色になるのね、なんて思っている間、お二方は何やら見つめあったあと、私に指示されるまま背景にウチの薔薇が美しく咲き乱れる近くの場所まで移動してくださった。


 そして今。


「セシル。

 絵を描くのではなかったのか?」


 ふわっふわ、もふっもふの香箱座りのお猫ネティ様に顔をうずめぐりぐりと鼻先をこすりつけてかぐわしいクチナシの香りを堪能し、わっふわふの尻尾もついでになーでなで。

 そのままネティ様の横で伏せているロジオン様にゴロンゴロンと転がって、鬣に顔をうずめ、再び顔をぐりぐり。


 幸せだ。


 そして、ふわりと風に乗って近くの薔薇の植え込みから漂う薔薇の香り。


 改めて言う。


 幸せだ。


読んでいただいてありがとうございます。

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