美女来襲
「鏡の前で百面相をしてどうしたの?」
「シリンしゃま?」
さて、今日はお父様の執務室にはシリン様がいらっしゃいました。
あの熱を出した日から久しぶりに会いましたが、その間までには桃やら梨やらフルーツのお見舞をいっぱいいただいていたようなので、ちゃんとお礼を言いました。
今日はなにやら大人の話し合いらしいので、昨日はお父様のお膝の上でしたが、今日はお膝から離れてお絵かき。
色鉛筆もヴァルハランドで使っていたのと同じメーカーのもので百色セットが用意されていたので、昨日はお父様の部屋から見えるお庭の噴水の天使を模写。
そして、今日は鏡を見るまでは、このお父様とお母様の肖像画を模写していた。
シリン様は私の絵を覗き込んで、壁にかかっている肖像画と見比べていた。
ほほほっ、上手いでしょう?
褒めていいのよ。絵は上手なんだから。
「グレイから話は聞いていたけど、本当にセシル嬢は絵が上手だねえ。
一度、僕の故郷のきれいな泉の絵も描いてほしいな」
「シリンしゃま、グレイを知っていましゅか?」
「ああ、前も言ったと思うけど僕とエーミールは王宮で一緒に学んだ仲だけど、その中にはグレイもいたからね。
今でも連絡は取り合っているよ」
「ほう、おとーしゃま達と一緒に……。
私もお友達欲しいでしゅ」
「そうだなあ。
でも、セシル嬢はもうカイル殿下やルカ様と学友みたいなものじゃないのかな?
ルードリア帝国は魔素が多いからか魔力が強いものが多いからか人間や獣人も子供が少ないからなあ」
「学校は無いでしゅか?」
「ああ、街にある子供から大人までお互い知りたいことを教えあう学び舎のことかい?」
ん?
学び舎?
学校とは違うっぽいぞ。子供が少ないからそういう施設がないのかしら。
「シリン、きっとそれはノーザンバランドとか西の砂漠の向こうのネヴィル平野の国々にある子供の教育施設のことだ。
同じ学年で生まれた子供たちを一緒の部屋にして、教育を受けさせる。
あっちは人間や獣人が多いから、子供も多い」
「おや、ロジオン様。
三日前から各地に視察に回られていると伺っていましたが、お戻りで……まさか、後ろにいらっしゃる方はっ」
私に目線を合わせるために膝をついていたシリン様は、さっと立ち上がり、執務机にいたお父様も表情を引き締めて立ち上がり、深く頭を下げ名を名乗ったので、私も立ち上がって最敬礼のお辞儀をして「ヴァルハランドのセシルでしゅ」と自己紹介した。
「よいよい、頭を上げてくれ。
世の中から引きこもっていた身としては、「はじめまして」と挨拶するのはなかなか照れ臭いものだな」
大きなロジオン様の背後から現れたのは、黒髪黒目で、ナイスバディなマーサもかすんでしまうほど凹凸の美しい体つきをした超がつく美女だった。
黒の貫頭衣からのぞく手足はしなやかで長く細く、お肌は輝く真珠の様だ。
クローディアお母様の肖像画も、皇后陛下も、上皇后陛下もお美しいですが、オーラが違う。なんかこう、今まで会ったことがない種類のオーラを感じて怖い。
しかし、なんでこんな美女とロジオン様が?
……。
まさか、お父様の再婚相手問題を見かねてロジオン様がだれも太刀打ちできないような美女を見繕ってきたのか?
だからこの数日、噂で聞いていたけど、私は女性の襲撃と遭遇しなかったのか?
ロジオン様の紹介なら安心できるのか?
なんだ、この急展開は!
読んでいただいてありがとうございます。
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あと数話で完結しますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
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