それは逮捕じゃないですか?
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「おとーしゃまが好きな女性とデートしたいなら邪魔しましぇんが」
「いないいない、お父様は今そんな相手はいないから。
お父様がちゃんとセシル達をお祭りに連れて行ってあげるから」
「むー、ちゃんと言いたいことがちゅたわっていない気がしましゅ」
「父上、セシルが心配しているのは、きっと僕達がお祭りに行ったときに、街に偶然を装った女性が現れて、お祭り見物をその方々が許可なしに同行しないかとかそういうことですよ。
セシル、そうだよね?」
「さしゅが、おにーしゃま。
わかってりゅ」
そうそうそう、言いたかったのはそれよ!
まったく、この昨日今日と城が襲撃されたり、殺されかけたり、お父様達とは実の家族じゃないとか、種族が違うとか色々問題が立て続けで、頭が熱いし、思考がうまくまとまらなくなっちゃったわ。
ナイスフォロー、お兄様!
うんうんと頷くとお兄様は得意げな表情で言葉を続けた。
「父上、僕もセシルとカイルと一緒にお祭りに行くことを楽しみにしていますから」
「それはお父様も同じだよ」
「じゃあ、おとーしゃま、約束破ったら、メでしゅからね」
「そうです、メです」
私とお兄様と一緒に見上げられて、お父様は注意勧告を受けているのに、滅茶苦茶うれしそうに笑って、私とお兄様を抱きしめた。
「わかったわかった。
セシルにもルカにも怒られないように頑張るよ」
「うわあ、エーミール、デレデレ。
完全に親バカの顔だね」
「うるさい、シリン。昨日は家庭崩壊の危機だったんだぞ」
「はいはい。雨降って地固まる、だね」
「あの、シリンしゃまとおとーしゃまは仲良しでしゅか?」
「何? セシル嬢、僕に興味がわいた?
僕とエーミールは年が近いから、殿下とルカ様みたいな関係かな。
一緒に王宮で勉強した仲なんだ」
おおうっ、説明しながら再びシリン様のピンクがかった金混じりの赤い瞳に甘い誘惑を載せたような微笑みを向けられると、妙に心臓がドキドキしちゃうよ。
「シリン、話しながらセシルを誘惑しないでくれないか?
セシルの可愛い顔が真っ赤になってしまっているではないか」
「誘惑なんて言い方がよくないですよ、エーミール。
こんなに可愛らしい子なんですから、自然と微笑んでしまうだけです」
と、再びそこで顔面アップの近距離スマイル。
お肌が滅茶苦茶きめ細かくて陶磁の肌?ゆで卵を剥いたような肌?なんというのかしら?とにかくツルツル。
つきたてお餅のようなプルプルお肌と言われている私もびっくりしちゃいます。
しかも、そこへ再びナチュラルウィンク攻撃は困っちゃうんですけど。
私、まだ三歳にもなっていませんよ。
そういう妖しい魅力の免疫ないんです。
いや、前世でも華々しい恋愛とかイケメンの中を泳ぎまくるとかやったことないんで勘弁してください。
「確かにセシルは可愛いよ。僕の自慢の妹です」
「可愛らしいのは分かっているが……」
おうっ、今度はお父様とお兄様の可愛い攻撃ですか。
照れちゃいますよ!
顔をどちらに向けていいのかわかりません!
あちこち顔を右往左往していたら、再びシリン様と目が合ってしまいました。
「セシル嬢は今度三歳だったかな?」
「はい。
シリンしゃま、おいくちゅでしゅか?
おとーしゃまとお友達なら、おとーしゃまと年が近いでしゅか?」
「ん? そうだね。エーミールより少し若いよ。
僕は二十八歳。
さっきも言ったけど、僕も結婚相手の候補にどう?
セシル嬢は殿下との方が年は近いと思うけど、僕もいいと思うんだけど」
え? 二十八?
二十五歳差って親子やんけ。
それで結婚相手として立候補って、三歳未満の幼児に求愛行動は犯罪じゃないの?
それは社会的に許されるの?
五十歳が二十五歳に求婚するのとわけが違うと思うよ。
「シリンしゃま、ブーでしゅ!犯罪でしゅ!逮捕ぉ~でしゅ!
ロリコッ、ふがっ」
「こらっ、セシルッ」
しまった。心の声がそのまま駄々洩れになってしまった。
慌てたお父様の手で口をふさがれたものの、ほぼ丸聞こえ。
シリン様を除いて、ついに周囲を爆笑の渦にしてしまった。
でも、仕方がないと思うの。ウケを狙ったわけじゃないし。
三歳にもならない幼い子に結婚相手としてどう? なんて何度も聞く大人はおかしいでしょ?
「おやおや、わが孫は、竜王族に育てていただきながら、本能的に人間と同じ感覚を持っているようですな」
「失礼しちゃうな。
長命な種族は二十五歳差なんてほとんど同い年というか近い方なんだけどな。
そういうところは本能で人間的な感覚なのかなあ」
「シリン、ふてくされるなよ。
というか、お前がセシルをからかいすぎるのがよくないんだぞ。
ほんと、耳まで真っ赤で、熱を出したかのようじゃないか」
「しょーです。さっきからお顔があちゅいままでしゅよ」
そうよ。さっきからずっと熱いのよ。
いくらこの世界の夏が快適な気温でも、からかわれすぎて熱いったらありゃしない。
ふんっ、と怒りを表現してお父様のお膝の上で腕を組んでみたら、くらりと来た。
「ん? セシル、ちょっといいか」
「なんでしゅか?」
いきなりおでこと首を触られ、お父様が焦って立ち上がった。
「熱がある」
と言って。
そのあとは「熱だと?」「医者を呼べ」などと喚く周囲の大人たちの騒ぎ。
そして大きな声を聞かせないようにと気を利かせたお兄様の手によって「お熱の時は眠った方がいい」と強制的に魔法で眠らされた。
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