誰が誰を引き取りたいって?
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「……そうでしゅか。
その時フリュブライトしゃまは意識不明だったんでしゅか。
ウラジミールの被害はおとーしゃま達だけじゃなくて、いっぱいいましゅね。
亡くなったおとーしゃまの名前はロベルト、おかーしゃまはエレンでしゅか」
「はい、そしてあなたはルドンの街のルディアーノ家の唯一の跡継ぎでもあります」
「ルディアーノ家?」
「はい。
ルードリア帝国の竜王族であり黒の大公殿の許でお育ちになったあなたにはなじみが薄いでしょうが、ノーザンバランドの人間の種族を中心とした国では家の名前があります。
私の場合は名はヨハン、家の名前はフルブライトです」
「あー、氏名でしゅね!
わかりましゅ。苗字」
なるほど。今世では名前ばっかりが定番だったからすっかり忘れていた。
苗字の存在。
やっぱりこの世界、お国や種族が違えばあるのね。
「はい。よくご存じですね。
実はルディアーノ家は三百年続いた家で……」
おおう、なんか言いたいことが分かってきたぞ。
哀しくつらい過去の話は同情できるけど、家を継げとかそういう話はちょっと待って。
「すみましぇん、私はその家名継げにゃいと思いましゅ。
まずルドンの街はないと聞きました
それに私はおとーしゃま達とヴァルハランドで暮らしましゅし、それに」
「カイル殿下に結婚を申し込まれているから、将来はルードリア帝国の皇妃ですね」
「シリンッ!」
「シリンしゃま、それは」
またその話、しかもこんなシリアスな場でぶり返されるのかよ。
恥ずかしい。
「まあ、カイル殿下の話は置いといて、確かにお話を伺い、フルブライト様は大変不運と不幸が重なってお辛い経験をされたと思いますが、セシル嬢に家名を継いでほしいというのは望みすぎかと思いますよ。
家名を継ぐということはルドンの街へセシル嬢を連れて行くとお考えでしょうか?
セシル嬢が継ぎたいと望むならまだしも、どうやらセシル嬢とエーミール達の家族のきずなは変わらないようでし、我々竜王族に家名の価値はよくわかりませんが、仮に「北の大公」や「南の大公」という名の地位と同格だと考えて、まず、セシル嬢が仮にクローデン王国に戻ってルドンの街のルディアーノ家を再興させようとしても、ルドンの街は瓦礫が残るだけで街としての姿かたちもなく、もう草原と化してしまった。
仮に王都でルディアーノ家の者として生活するとして、誰と過ごしますか?
貴殿と過ごすのでしょうか?
いくら真珠の精の血を引く貴殿でも、寿命は我々と違い、それほど長いと思えません。
きっとセシル嬢より先に逝くでしょう。
そうなった場合失礼を承知で申し上げますが、セシル嬢の養育を断った貴殿の息子夫婦が、今更セシル嬢を丁寧に身内として接するとは思えません」
「シリン、そう責めるな。何を根拠にそのようなことを」
「レオン様、あなたがそれを言いますか?
根拠?
レオン様、あなたがそのフルブライト卿と昨晩王宮の片隅で、あなたがルカ様を引き取ってセシル嬢はフルブライト様が引き取り、フルブライト様はセシル嬢を育てルディアーノ家を再興させたいというようなお話をしているところを僕は聞いてしまいましたのでね」
「ほえ?」
「レオン伯父上が僕まで?」
「なぜ義兄上がそんなことを?」」
「おいおいおい、修羅場かよ」
襲撃を受け息子夫婦を失い、自分も負傷してしまったフルブライト様の哀しい身の上話が、いきなり私におうち継がせて再興させたいとか違う話に変わってきちゃいましたよ。
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