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竜に変身できる種族に転生したと思ったら、ちょっと違うみたいです。  作者: 秧摩 真羽


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今世の私と家族

 私の視線の先には空になった哺乳瓶。


「セシル、お腹一杯になったかな?」


 へえ、私はこの世界でセシルという名前なのか。


 で、最初に見たのがルカお兄様、今の子がカイル、で、抱っこしているのがお父様なのね。

 そして、この一人だけ貫頭衣に豪奢な刺繍が施されている「カイル」って子の関係は何だろう。よく見るとルカお兄様と似てなくもないけど、それは美しすぎるという共通項かしら。

 

「お父様」に抱っこされながら順番にじーっと三人を眺めていると、ポンポンと背中をやさしく叩かれて、はしたなくもゲップが出てしまいましたよ。


 いやん、美形三人の前で、恥ずかしい。

 お腹一杯飲んだ後、ぽんぽんと背中をやさしく叩かれちゃ、「げぷっ」と出てしまいますよ。赤ちゃんなんだから!


 しかし、さすが「父上」と呼ばれていただけあって、抱き方も安定感抜群。

 

 銀髪の「カイル」と呼ばれていた男の子のほうが黒髪の「父上」から空になった哺乳瓶を受け取って顔を覗き込んで私の口周りを拭いてくれる。


「ミルクもしっかり飲めたし、クローディアの竜鱗の加護もあれば帝都から領土の屋敷までの飛行にも耐えられる」


「母上の竜鱗があったからセシルは助かったものね」


 クローディアって誰? お母様のこと?

 今はまだ見ぬお母様は赤い竜?

 でもって竜鱗とは何?


 疑問がいっぱいの中、彼らの視線の先を追うと私の首から金の細い鎖で掛かっているルビーのような赤い大きな石。今の私の手では両手じゃないとつかめない。


 これが鱗?

 どう見ても宝石の原石か何かにしか見えないよ。

 眠っているときも重いと感じていたのはこれだったのかしら。


 会話だけではすべてを推測できないけど、なんか引っかかる。


「カイルのおかげであの中から竜鱗も見つかったし、この子も助かった。

 ルカ、屋敷の受け入れ準備もできたようだから帰ろう。

 いつまでも帝都の王宮にいるとよくないからな」


「うん、わかった。王宮にいると父上捕まっちゃうもんね。

 おうちまでは僕がセシル運ぶ。

 カイルも手伝ってくれてありがとう。伯父上たちと一緒にまた遊びに来てね」


「ああ。すぐ遊びに行くよ。こんなかわいらしい子に会えるチャンスを逃すものか!

 あ、今ならその窓からなら誰にも見られず行けると思う、エーミール叔父上」


「ありがとう。

 では、兄上にもよろしく伝えておいてくれ。

 ルカ、先に出れるか?」


「うん、カイル。セシルを僕に渡して」


「わかった」


 抱っこの腕がいったん大人の腕から子供の不安定な腕に変わったとたん、寝ていたベッドのすぐ横の金の縁取り枠の窓から天使、美青年の順に飛び出し、次の瞬間黒と紫の西洋ドラゴンが現れた。


 窓から下がどれくらいの高さかわからないけれど、窓から見える外の大きな木より大きいよ!


 二匹の竜は金色に黒の目に、大きな口からは立派な牙、そして折りたたまれた背後に見える大きな羽がのぞいている。


 いやはや、壮観ですなあ。紫と黒の鱗が太陽の光に反射してキラキラだよ。


「おやおや、真ん丸な目をきょろきょろさせて、可愛いね。

 あの姿は初めて見るのかな?

 黒い方が君の父上で私の叔父上のエーミール、紫のちょっと小さいほうが君の兄上ルカだ。私は君の従兄弟になるカイルだよ。

 今度また機会があったら私の姿も見せてあげよう。

 またすぐ会うから、それまでは元気にしているんだよ」


 琥珀色の瞳がドラゴンになった二人にびっくりしていた私を覗き込んできた。


「さあ、眠れ」


 いや、待って、まだしっかりドラゴン見てない・・・・

 そして私の意識は再び強制終了。


読んでいただいてありがとうございます。

気に入っていただけましたら、ブックマークと応援よろしくお願いします。

また、お恥ずかしながら、誤字脱字ありましたら、報告よろしくお願いいたします。

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