失言じゃなかった!
「ほえ?」
「シリン様、何を言うんですか!」
「シリンッ」
「お嬢ちゃん、モテモテだな」
声を荒げるお兄様とお父様、茶化すロジオン様を無視して、私の前に真っ白の髪を三つ編みにして、白銀の鎧を着ているシリン様が膝を折って私に目の高さを合わせてきた。
「セシル嬢。
今日会えて光栄だよ。
君のおかげで他国も含む一連の誘拐殺人事件と解決、そしてあのナーガ教団の虐殺時代の極悪人の聖人が、実は吸血鬼に操られた人間だったという驚愕の事実まで突き止められたからね」
「しょ、しょれは、偶然でしゅ」
おおうっ、シリン様のお目目はよく見るとピンクがかった赤い目に金が混じった色をしていて、目を合わせるたびににっこり微笑まれると、妙に心臓がドキドキ。
なんか魅惑的な微笑みだぜ。
女性っぽいお顔立ちだからセクシーさがなんか男性的な男らしい色気じゃなくて、妖しい妖艶なオーラを近距離で感じてドキドキしちゃうわ。
「ウ、ウ、ウラジミールがベリュトランになってお家に来るなんて思ってましぇんでしたし、誘拐事件と関係してりゅなんて思ってましぇんでした」
ほら、ドキドキ緊張のあまりいつも以上に噛み噛みになってしまったじゃないか。
恥ずかしい。
「確かに、まさか子供の誘拐殺人事件まで関係してるとはだれも思わなかっただろうな。
でも、偶然の産物かもしれないが、セシルは兄上達がやってきた晩に、聖人が生き返るとか、吸血鬼とか言っただろう?
あれが良かったんだよ」
「え? あれでしゅか?」
そう言われれば確かに陛下に言った。
あの時はまだこの世界に吸血鬼とかゾンビとかいるのかも知りもせずに口にして、キョンシーとか言わなくてよかったと後から胸を撫でおろしていたわ。
「そうです。
昨日、例の誘拐殺人事件で集まっていた騎士団と魔導会の会議室に陛下が突然おいでになり、発見された魔法陣やノーザンバランドにいるナーガ教団の元信者の洗い出しをしていた私達の状況報告を聞いた後、突然西の砂漠にある巨大な神殿があるオアシスにロジオン様がいるから大至急行くぞ、とレオン様と僕を連行されました。
どうやら陛下なりにルードリア帝国だけでなく他国の他種族に魔力が強くて魔法陣に詳しいものを調べていたようで、そこからロジオン様に会って確認するのが一番手っ取り早いと思われたようで、ロジオン様の行方をお探しになっていたようです」
なんと。昨日の朝、そんなことが王宮で起きていたとは。
「会議中、会議に出席している他の誰の了解も取らぬまま、陛下は俺とシリンを巻き込んで西の砂漠にあるナジュラのオアシスに転移魔法で移動して、オアシスの奥にある神殿でお休みだったロジオン様を連れてルードリア帝国に戻られたんだ」
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