王宮
更新の日にちがあいて申し訳ありませんでした。
完結までよろしくお願いいたします。
「王宮は広いでしゅねえ」
昨日に引き続き、夏の昼間の眩しい青空の下を飛んだ。
でも今日は昨日みたいな命からがらの怖い飛行じゃなくて、大きなお父様の手の中で、横に竜化したマーサとグレイとノーランを連れてゆったり飛行。
ヴァルハランドから帝都ルードリアまでの景色を眺めながら来ることができた。
夏、ヴァルハランドより帝都ルードリアの方が暑いとはいえ、前世で身を持って体験したうだるような日本の酷暑とは違う!
気持ちいい!
息苦しくジリジリねっとりじっとり、体にまとわりつくような暑さではなくて、カラッと暑いのです。
海の風を遮るような高層ビル群もなく、地面を覆う黒いアスファルトはない。
さて、眼下に見えた左右対称で東西南北に大きな見張り台を持つ帝都の巨大な王宮。
その中の一つの見張り台に降り立って、竜から人型に戻ったお父様達に連れられて王宮内に入った。
途中、大きな十字路の回廊でノーラン達と別れた。
「ノーランとマーサとグレイはウラジミールの件で事情聴取がある。
事情聴取と言っても、事件の時の記憶を魔法で映像化され、それに関して質問されるだけだ。
後でセシルも短い時間取られるけれど、ノーラン達が終わるまでお父様と別の部屋でゆっくりしよう」
私を抱っこして歩きながら、ノーラン達と別れた理由を説明するお父様に聞いてみた。
「おとーしゃま、事情聴取はしちゅもん難しい?」
「心配しなくていい。
幼いセシルに難しい質問はないと思うし、お父様もルカも一緒だから大丈夫だ。
さあ、お庭を見ながら待つお部屋に行こうか」
「はーい」
回廊の背の高い柱は優雅なコリント式。
廊下から見える庭は広大で、噴水や手入れされた花壇にサッカーができそうな芝生が広がっている。
「さあ、あっちだ。
途中でルカやロジオン殿が合流するだろう」
お父様が降り立った方の建物の奥を指さす。
初めて王宮に来た。
間違えた。一度来たことはある。
だがその時は、私が初めてこの世界で覚醒?したときで、王宮のある一室の中。しかもすぐ眠らされてしまったし、それ以降来た記憶はございません。
見る物すべてが新鮮だ。
金金ギラギラ絢爛豪華ではなくて、職人技が光る彫刻が施された建物。
綺麗に形を整えられ剪定された庭木。
モザイクのタイルが張られた水路の中を流れる噴水から流れるきれいな水。
「さしゅが王宮!
建物もお庭も広いでしゅ!
大きいでしゅ!
お掃除大変でしゅ!」
感動したまま思ったことを素直に口にしただけなのに、途中で合流したロジオン様が噴く。
ロジオン様は今日の姿はマントも鎧もなく、お父様達と同じような白い貫頭衣だが、それもまた似合う。
イケメンって何着てもいいのね。
「掃除が大変って、子供が言うことかよ。
えっと、エーミールが住む城もそれなりに大きいだろ?」
「はい、でもあまり他のお部屋もお庭も全部案内してもらったことがありましぇん」
「あー、そうかー。
迷子になると困っちゃうからだろうな」
ワクワクしながら辺りを見回して王宮の奥に進み、中庭がよく見える風通しがいい待合の部屋に着くとしばらくして授業が終わったお兄様が現れた。
「セシルッ」
現れた途端、私を見つけて一目散に駆け寄ってきてぎゅーっと座っていた椅子の背ごと抱きしめてくるお兄様。
出ちゃう、中身が出ちゃうから。
「ルカ、セシルが苦しがっているから」
「父上?」
「ああ、ルカ、落ち着きなさい。
セシルは消えたりしないよ」
「はい」
お父様にたしなめられたお兄様。
でもなぜかお父様の顔を見た途端、お兄様の表情が、朝感じたようなどこか不安げな危うさが消えていて、私を抱っこして幸せそうに笑っていたように見えたのは気のせいだろうか。
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