吸血鬼の弱点と言えば
「どうした?
王宮から持ってきてほしいお菓子のリクエストでもあるのか?」
「お菓子も欲しいでしゅけど、ニンニク、大量のニンニクを持ってきて欲しいでしゅ。
あのきゅうけちゅき弱らせましょう。
さっき、マーサがいなくなってからあのウラジュミールに捕まった時、私、今日のお昼の焼肉弁当のニンニクの臭いで、ポイッって投げられました」
「何? ニンニク?」
あれ? この世界では吸血鬼の弱点の一つはニンニクと一般的に知られていないの?
それとももしかしてニンニクに弱いのはあのウラジミールだけ?
陛下をはじめ、カイル様も、お兄様も、マーサも顔に「?」マークを浮かべて、どこか疑心暗鬼だ。
でも、ウラジミール乗っ取られていたベルトランはすぐ納得した顔で、ポンと両手をたたき皆に説明した。
「確かに……、効くと思います。
あの男はあのニンニクの匂いが本当に嫌いみたいで、ニンニクの香りが残っているセシル様を自分の棺の側で殺して魔力に充てる予定を急遽変えて、その場で殺そうとしたくらい怒り狂いましたから」
「そうか。
じゃあ、ベルトラン。
使って申し訳ないが、ニンニクと一緒に片手で食べられるようにカットされたガーリックトーストとかお願いしてもいいか?
ニンニクの話を聞いたらお腹が空いてきた。
今日は父上達と一緒にノーザンバランドの最北端から飛んできたので、お昼の消化が早いみたいだ」
「そうですね、僕も同じものでお願いします。出来たらトマトもほしいです」
結界を張りながらも、話を聞いていたお兄様達が、早速ベルトランをパシリに使おうとしている。
「じゃあ私はガーリックステーキを挟んだサンドイッチを、じゃない!
私も一緒に王宮に戻るぞ、ベルトラン。
ニンニクはみじん切りや摩り下ろした方が臭いがきついし、炎のツタにふり掛けてやろうか。
それにあの自己陶酔男にニンニクが効いたら大変面白いじゃないか」
今まで見たこともない人が悪そうな笑みを浮かべた皇帝陛下に、そんな陛下の顔を見てちょっとたじたじとなっているベルトラン。陛下はベルトランの肩を組み一瞬で消えた。
「……陛下まで行ってもよかったでしゅか?」
「気にしなくても大丈夫だ。セシルこそお腹は空いてないか?
それに、私たちのガーリックトーストの件は「ふり」だ。
本気でお腹が空いているわけではない。
父上は根は面白いことがお好きな方だから、ちょっとこっちがふれば乗ってくるだろうと思ったんだ。
すぐ戻ってくるだろうから、私たちの結界も心配ない」
「あの様子だと伯父上の場合、厨房のニンニクを全部持って来る気がするね」
「だな」
うんうんと笑いあった少年二人は、上空を見上げ再び結界の維持に集中し始めた。
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