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竜に変身できる種族に転生したと思ったら、ちょっと違うみたいです。  作者: 秧摩 真羽


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私、やらかしました?

 言葉通り皇帝陛下と皇太子殿下が今我が家のダイニングルームではなく、いつものお父様の書斎の横の部屋のテーブルで夕飯を食べている。


 今日はお祭りの屋台みたいなお好み焼き、焼きそば、から揚げ、フライドポテト。


 健康?

 カロリー?

 そんなの関係ないぜ! っていうような栄養バランス無視のメニューだ。


 今回は祭りの屋台に執着していそうな私を意識したメニューとかいう言葉が聞こえて来たけど、絶対私だけじゃないと思う。


 いや、確かに屋台の食事には興味津々だったけど。

 まだ祭りに行けないと決まったわけじゃないでしょう!


 しかし今日の陛下はちょっぴりストレスが溜まっていたようだ。

 お父様が厨房で腕を振るっている横で皇帝陛下も何かとキャベツ刻んだりネギ刻んだり、とにかく包丁で刻むものは、叩きつけられるように刻まれた。


 危うくから揚げ用の鶏モモ肉まで切り刻まれようとしていて、見ていた私たちからストップが入ったくらいだ。


 お兄様とカイル様と私はお皿を準備して、できたものを机に運んだ。

 両手を使って大皿を運ぶにはまだ足取りが危ない私には、マーサが横に控えてくれた。

 運ぶとき、ソースの良い香りが鼻をくすぐる焼きそばを頑張って運んだのだ。

 頑張って運んだ分、ネギとキャベツと豚肉とイカとエビが入ったお好み焼きは美味しかった。


「イカ焼きやポップコーンなどはまたの機会にしよう。

 綿菓子は機械がないからなあ」


 なんとか三百年の記念祭を行いたい陛下は、記念祭の概要をお父様と確認しながら、フライドポテトをつまみビールを飲んでいた。


 から揚げにレモンを絞って食べていたお父様の横では、お兄様とカイル様が焼きそばを分け合って食べていた。


 うん、悪くない。どうせなら、祭りでこの光景が見たいものだ。


 どんな祭りか見たことないから、どんな雰囲気か知らないけれど。


「さて、そろそろ城に戻ろうかな。

 エーミール、ありがとう。こういう食事は王宮ではできないからな」


「料理で気分も落ち着きましたか?

 兄上は祭りのときはこういう食べ物ばっかり食べていましたからね。

 それにこういう料理を食べれば子供達にも祭りの雰囲気が伝わるかとと思って」


「ああ、ありがとう」


 椅子から立ち上がった陛下は面映ゆそうに弟であるお父様に微笑んだ。


「だからどうせなら、子供達には屋台の食事もだが、記念祭とはどういうものか見せてあげたい。皇帝と色持ちの大公が竜の姿になって王宮からこの北のヴァルハランドの聖域まで往復する飛行は百年ごとにしか見られないイベントだからな。

 だが、まさか誘拐事件がこのタイミングで起きるとは腹が立つ。

 しかもあの「聖人」とか「ナーガ教」とか聞きたくもない単語を再び聞くとはな」


 鼻を鳴らす皇帝陛下に食事中考えていたことを質問した。


「ねえ、おじしゃまは、しぇ、聖人って人に会ったことありましゅか?」


「無い。

 どうしてだ?」


「三年前の詳しいお話は分かりましぇんが、聖人はおかーしゃまが退治した」


「ああ」


「しょの時の聖人、本物? しょっくりの身代わりの人じゃない?

 聖人には双子の兄弟いない?

 奥しゃまの王女様とか子供いないでしゅか?」


 食べながらふといくつか浮かんでいたのだ。

 一つ目は死んだ聖人しかその魔法陣が使えないとはいっても、身内や仲いい人に教える可能性はなかったのかということ。


 二つ目は、呪いと聞いて思い出した前世のホラー映画達。


 ボーダーを着た人形とかはおいといて、その他メジャーなのは死体から生き返るゾンビとか、吸血鬼に血を吸われたら、心臓刺されたり太陽の光を浴びないと、死体になっても復活する吸血鬼とかいましたよね。


「聖人はおかーしゃまが倒しました。

 竜王族を逆恨みしてお化けになったり、生き返りゅことありましゅか?

 死んでも生き返る体になってましぇんか?

 あ、この世界、ゾンビやきゅうけちゅ、きゅうけち、あー言えないでしゅ!」


 くそ、お口がもつれて吸血鬼と言えないのが悔しい!

 吸血鬼って伝えたい……、あ、別の言い方があるじゃないか!


「あ!

 バンパイアとか、人に似た死なない種族いましゅか?

 聖人、本当に人間でちたか?」


 質問をまくしたてる私に、皇帝陛下をはじめ周りが黙った。


 あれ?


 もしかしてこの世界には吸血鬼とかゾンビとかいない?


 雰囲気的にキョンシーは……、お札とか道士とかないような気がするし、雰囲気的に無いと思いたいけど、そのあたりどうなんですか?


 魔族がいるって聞いたからその中に吸血鬼がいるかと思っていたんだけど。


 前世知識を口にしすぎてやらかしちゃったか、私?


「……エーミール……」


 なぜか片手で口元を覆っている皇帝陛下に、ニコニコ笑顔他三名。


「セシル、可愛い!

 一生懸命考えてくれていたんだね」


「カイルの言う通り、一生懸命考えて喋る姿が可愛いなあ。

 セシル、吸血鬼と言いたいのは分かったぞ。噛み噛みでも愛くるいなあ。

 協力ありがとう。

 伯父さん、頑張って犯人捕まえてお祭り連れて行ってあげるからな」


「え?」


 私はまったく話の流れが読めない陛下の返事。


 これ、「可愛い」でごまかされちゃう感じですか?


 あー、まさか私の言った吸血鬼とかこの世界にはない存在でしたか~?


 明日、魔族の種類の本でも読んで確認しないとまずいですか?


 魔族に属する種類に鬼とか悪魔がいるとは聞いたことあったんですけど。


 空想好きの妄想癖の子供になっちゃいましたかね?


 やばいかしらと皇帝陛下を見上げると、顔を覆っていた手が私の頭をよしよしと撫でて、にっこりとほほ笑んで去っていった。


読んでいただいてありがとうございます。

気に入っていただけましたら、ブックマークと応援よろしくお願いします。

また、お恥ずかしながら、誤字脱字ありましたら、報告よろしくお願いいたします。

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