真犯人は誰?
「国外の者でしかも追跡をはじく?
そうとなると捜索範囲は大変広がりますよ。
まずは死んだ犯人と接触があった可能性がありそうな者を入出国管理で追いますか?」
「ああ。それはもうエーミールが言われなくてももう調査は始まった。
もちろんその魔法陣が使えそうな魔力が高い種族に絞って」
「伯父上、その魔法陣は、特殊なのですか?」
「ああ。
私も犯人の遺体を見たが、まずその魔法陣は見た目から小さい。
検視官があざだと見誤ってしまっていたくらいとても小さなもので、昨日、事件協力のためにクローデン王国から来た人間の魔導会会員が気付いてくれなかったら、誰もが見逃していたと思うようなものだった。
そのクローデン王国の魔導会の者の話では、聖人が使っていた使役の魔法陣らしい。
我々は二度とあのようなことが起きないように、あの教団の国は破壊して燃やしてしまっていたが、クローデン王国は自国領ルドンが襲撃を受けた後、瓦礫の街に残った信者の遺体に彫ってあった魔法陣や、あのナーガ教団の信徒がもっていた書物の魔法陣を廃棄する前にすべて書き写し、その魔法陣の用途が何か調べたそうだ。
同じようなことを起こす人間が現れた時の対策のために」
「それが功を奏したということですか?
それではクローデン王国の者に犯行にかかわった者が?」
「エーミールが疑う気持ちもわかる。
とりあえず聞け。
調べた結果、その魔法陣は聖人の強い魔力と何らかの条件がないと発動しないから、今クローデン王国の魔導会の者では誰も作動させることはできないらしい」
「え?」
今ちょっと話が分からなくなりました。
「しょれだと、犯人をあやちゅった犯人は、聖人という人でしゅか?
でも、その人、三年前、おかあしゃまが倒したって聞いてましゅ。
その人、生きていましゅか?」
「本当に賢いな、私が一度話したお母様の話をよく覚えていたね。
聖人はもういないよ。
だが、聖人と同じくらいの魔力を持つ人間がゼロというわけではないし、あの聖人の側にいたナーガ教の教団幹部の誰かが生き残っていて、その呪文を覚えていた可能性もある」
「そう、エーミールの言う通りだ。
だが、事件は起きている。
仮にあの男と同じくらい力を持つ者が、もしあの男と同じように人を使役し、命を奪う過ちを繰り返そうと思って行動しているのなら、被害者を増やしたくない。
だからクローデン王国の聖人が作った魔法陣について一番詳しい者に至急協力を仰ごうとも思ってすでにルードリアに来てもらうよう依頼した。
また、もう一度聖人に身内がいなかったか調べてもらっている」
「仮にあの男の身内が生きていて、再び事を起こしているのなら私が息の根を完全に止めますよ」
「お、おとーしゃま」
三年前、目の前でお母様を失ったお父様。
さっきは何気に思うまま喋ってしまったけれど、もし聖人が本当に生き残っていたらお父様はきっと敵を討ちに行く。
敵討ち……。
お父様は強いだろうけれど、聖人が生き残っていたとしたら、お母様は相打ちなんじゃなく聖人に負けて殺されてしまったことになる。
お兄様も敵討ちに行ってしまう?
お父様が負けたら?
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