事件が起きたみたいです2
ちょっと待てよ。
犯人、何してくれるんじゃ!
帝都の、年で一番大きな、しかも今回は三百年記念のお祭り。
帝都の祭りは今まで一度も行ったことがなかったから楽しみにしていたのに!
「さすがに三百年記念祭を完全に中止にはしないと思うが、安全のために子供が参加する行事は時間を短縮するか、中止にしたらどうかという意見もでていて関係部署はもめている。
ただでさえ祭りの最中の街は警備を厳重にしていても軽犯罪が多い。
祭りに参加する子供連れの貴族は、子供を城下町に連れて行かないでくれという話お達しがあったのだ」
「ええ?
おとーしゃまもおにーしゃまもカイルしゃまも強いのにダメなの?」
竜王一族でも「黒の大公」と呼ばれていて、力も魔力も有数といわれるお父様に子供でもお父 様と引けを取らない力を持つといわれているお兄様と、八歳ですでに現皇帝より力が強いと言われているカイル様と一緒でもダメなんて、どういうこと?
「もしかして、他国の子供の誘拐事件と関係があるのですか?」
「他の国でもあったのでしゅか?
今回のその犯人もちゅかまってないの?」
「ああ、そうか、セシルは知らないかもしれない。
教えていなかったけど、先生から最近ノーザンバランドにある魔族と妖精族の国で子供が誘拐される事件があったという話を聞いたから、気を付けるようにというお話はあったんだよ。
どちらも力が強くて寿命が長い種族だから、かなり深刻な問題になっているって。
僕はカイルがいる王宮内の警備もしっかりしている学習室に転移魔法で移動しているから誘拐される可能性なんてほとんどないし、忘れていたけど」
「じゃあ、誘拐事件かいけちゅまで街に行くのがダメでしゅか?
このルードリアの事件も犯人逃げちゃいましたか?」
「僕もカイルもセシルも王宮の式典だけ参加ということですか、父上?」
「今回の事件は子供も無事保護できたし犯人を捕まえることができたんだが、犯人が逮捕寸前に自殺したそうだ」
「犯人死亡でかいけちゅできない?
犯人は一人じゃない?
しょしき的グループでしゅか?」
「しょしき・・・組織?」
「そうよ!
そしゅき、しょ、ごめんなしゃい、おとーしゃま、はっきりまだ喋れない」
「いいんだよ。そのうちしっかり喋れるようになるからね
しかし、セシルはルカの横で育ったからかな?
難しい言葉をよく知っているね」
にっこりと笑ったお父様は、途中、話に夢中になってしまった私の皿を見て、残っていた最後の一切れのローストポークをフォークで刺し、私の口元に持ってきたので、あーんと口を開けて、パクりと食べた。
うん、おいしい。
満面の笑みにお父様も満足そうだ。
空になったメインディッシュのお皿をどけて、デザートの梨は自分で食べる。
うん、冷えているし甘いし瑞々しくておいしい。
「おとーしゃま、何があったの?」
眉間にしわを寄せているお父様のおでこをなでなですると、お父様は相好を崩した。
そうです。悩める美青年も素敵ですが、笑顔のほうがいい。
「そうだな、子供に話す内容じゃない話だが……」
「子供でもお話は聞きたいでしゅ。
おまちゅり行けなくなったら嫌でしゅ」
「そうです。それに僕たちの身の安全のためにも教えてください」
「わかった。今回の事件の話をしようか。
今回の事件だが、今回帝都に国賓として来ていた竜人の家族と人間の家族が一緒に街を散策していたところ、子供を攫われたそうだ。
犯人は家族に同行していた護衛を撒いて転移魔法を使って逃げたが、街の警邏隊達が足取りを追って帝都外れの国立公園で捕まえたらしい。
だが、子供達を保護し、逮捕する寸前で首を切って自殺してしまったから、犯行動機が分からない」
「首を切るなんて血まみれじゃないですか。子供達は大丈夫ですか?
そんなものを見て……トラウマになっていませんか?」
「ルカは優しいな。
幸運にも犯人から子供達を取り戻し警邏隊の一人がすぐに親元に転移させた後に切ったから、犯人が死ぬ瞬間を見させることはなくて良かったよ。
ただ、警邏隊達の一瞬の隙をついて自殺だろう?
犯行動機が分からない」
「死人に口なし、ですか?」
お、お兄様、八歳の子供にしてはすごくクールな言い回しです。
「動機は分からないとは言え、持っていたものとか犯人から何か見つからなかったんですか?」
「ああ。厄介なものが見つかったそうだよ
ルカ、三年前の事を覚えているか?」
「父上、その言い方はまさか、例の教団ですか?」
お兄様は三年前という単語にものすごい勢いで反応し、お父様の側に駆け寄った。
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