事件が起きたみたいです1
「……それなんだが」
次のローストポークを口に含んだ私とお兄様に向かって、お父様が困った顔で見つめてきた。
「ルカ、セシル、帝都の城下街に行けない可能性が出てきた」
「え? なぜですか?
カイルも僕もセシルも楽しみにしていたのに」
「そうでしゅ、見たいものいっぱいありましゅ!
屋台の食べ物を自分の目で確かめたいのでしゅ」
りんご飴とか綿菓子とかかき氷とか、こっち世界のお祭りにある食べ物として存在しているのか確かめたいのに!
それに在位三百年記念なんて、「〇〇記念」とか「限定」って言葉には弱いのです。
何周年記念コインとか、ご当地限定お土産とか。
ああ、思い出してしまった。仕事の出張先の駅の売店でここぞとばかりの並んでいるご当地味のお菓子。
この世界、ご当地限定お菓子とかあるのかしら。
在位三百年記念金貨とかあるのかしら。
「三百年のお祝いのお祭りはとくべちゅと聞きました。
それに百年後は四百年祭でしゅ。三百年じゃないでしゅ。
今年のお祭り楽しみたいでしゅ」
「楽しみにしていることはよくわかっているよ。
でもね、帝都で子供の誘拐があったと連絡があったんだ。
来月の祭りの帝都を訪問中の竜人の子と人間の子が帝都の城下街で誘拐されたそうだ」
「他国の子供の誘拐ですか?
大事件ですよ!」
長寿であるがゆえに子供がなかなか生まれないこの国では、たとえ自分の子供でなかろうと貴重な存在として大事にされる。
この国で子供の誘拐事件は生きていることを後悔するような刑を受けた後の本人と一族郎党も皆死罪と聞いた記憶がある。
「ああ、ルカの言う通り他国の子供の誘拐事件なんて、今回は運よく追跡出来て子供も保護できたが、大事件だ。
我々竜王族もだが強い種族は子供ができにくい分、子供の事件が起きると過剰に反応する傾向がある。
中には三百年記念祭をやめろという者も出たらしい」
「お祭りは中止っ?」
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