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竜に変身できる種族に転生したと思ったら、ちょっと違うみたいです。  作者: 秧摩 真羽


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お母様が残したもの

 さて、塵となって消えてしまったお母様だったが唯一残したものがある。


 それは、今も私の首から掛かっているペンダントにされた赤い竜鱗だ。


 これは、お母様がやんちゃな幼少時、森に降り立った時に出会った少女に渡した生え変わりの鱗の破片。


 子供の時は基本の竜体に変身したときにいくつか鱗が生え変わるものらしい。

 人間でいうと永久歯に生え変わる前の乳歯みたいなもの?


 ちなみに、竜はほとんど卵生だがこの竜王の一族は胎生、しかも人間の形で生まれる。


 竜に変身できるようになるのは三歳から五歳の間だそうだ。

 そうなると力も魔力も大人と同等になり、それから徐々にほかの種族の姿にも変身できるようになる。


 ということは、私ももうすぐ竜になれるのだ!


 髪が黒いからお父様と同じ黒竜なのかな。


 ちなみにお兄様は紫の竜だから髪の色は関係ないのかな。お父様もお兄様くらいの頃は鱗が紫だったって聞いたし。


 それはさておき、三年前に他界し、塵となって消えてしまったお母様の鱗がなぜ一つ残っていたかというと、これはお母様の幼少時の黒歴史の産物。



 当時、もうすぐ四歳になる頃のお母様は、北のノーザンバランドの、人間が住むあのお母様が守った街ルドンと精霊の国の狭間の森に百年に一度一日だけ咲く花があると知った。


 その花園は森のせせらぎの川沿いに咲いていて、白から青い花が光を放ちながら咲き乱れ、春の陽光に反射する水面の上に小さな虹がかかる風景を見たものは、祝福を受けて幸せになれると。


 その花畑を見たくなったお母様は、周囲の大人が忙しくて百年後しか連れて行ってもらえないとわかると、周囲の自分のお目付け役の目をくらまし、国境を無視して目的地にむかった。


 屋敷を飛び出し、花園付近の森に降り立ち、元の姿に戻って歩きだしたところで子供に不埒な真似をしようとした輩に出くわした。


 相手を撃退したのはいいけれど、幼いお母様は相手の攻撃で首と太ももを抉られケガをしてしまった。

 しかも相手を撃退するために魔力を使い果たしてしまい、傷を治すほど治癒力もなく痛みで動けなくなっていた。


 でも、花を見に来ていた森の近くの街のルドンの領主の女の子が、泣いていたお母様を見つけて、急いで手当てをしてくれた。

 その後、お母様は無断で国境を越えたとかややこしい問題もあったそうだが、無事引き取られ、後日、手当のお礼として、お母様が生え変わりの時期にはがれた鱗を特殊な魔法で保存して、ペンダントに加工したものを少女に渡して、更に彼女が住む街と国を守護すると約束したのだ。


 でも、その街も聖人と呼ばれた宗教団体に襲撃され、街は廃墟と化し、今は草原になっているそうだ。

 私の首にかかっている竜鱗はお母様の形見なのだからお父様が持っていたらいいんじゃないのとも思うが、お父様は「これはセシルの大事なお守りだから、絶対なくしてはダメだよ」と言った。


 長い話を終えた後、「生き残ってくれて良かった」といったお父様。


 その日、城に行かず自分がお母様のそばにいれば良かったという後悔がお父様にあるのだと思う。

 確かに目の前で死なれたら、言葉では言い表せないくらいショックだろう。


 だから、はたから見たら異常と思えるほど用心深くなるのは仕方がないのかもしれない。


 子供は極力自分の目の見える範囲においておくし、私の場合は、お父様の秘書兼執事のジェイク、メイド頭で子守役のマーサ、家令のノーラン、家庭教師のベルトラン以外はお父様かお兄様がいない時は誰も近づけないし、お父様が日をまたいで外出するときは、お仕事でもお兄様と私は連行される。


 お陰様でお父様が出先で会う肩書の高い方々に笑顔を振りまき外交しましたよ。


 でも、お父様の過保護のおかげで、重箱育ちでも一味違った育ち方をしていると思うの。

 

 お父様に連れられて、外の世界を見る機会もあって、お父様が治めるヴァルハランドは黒い城と白い石造りの街並み、中央のルードリアは平野を流れる川沿いに建てられた淡いベージュを基調とした優雅な街並み、西の砂漠に面した白の大公様が治めるイスマイルの街は日干し煉瓦にアラベスク模様が美しい街、東の青の大公様が治めるアナトールの街は巨大な色とりどりの石を切り出して作られた建造物が多く、古代エジプトのファロスの大灯台みたいなでっかい建物が港にあって、その塔を見たときは、お父様の用事がなかったらぜひ中に入ってみたかった。そしてお母様の故郷、南の赤の大公様の治めるトレヴァランドの街は行ったことはないけれど、本を見る限り、テラコッタ色のメルヘンチックな街並みだ。


 今のところコンクリートジャングルの街というか東京、ニューヨーク、ラスベガスやドバイのような巨大ビル都市、夜はネオンの輝く街はなさそうだけど、他の国にはあるかもしれない。


 あのキラキラしい夜景とかこの世界にもあるかな? 


 あったらおもしろいな。


 お母様が守護していた国があるノーザンバランドにある国々とか西の砂漠を越えて広がる西の平野にある国々に行ってみたいと思うけど、特殊な魔法をかけないと転移魔法に耐えられる体じゃないと言われているし、お父様達が変身した竜の手の中に入って移動するのは、肉体的にも精神的にもまだお子ちゃまだから、成長して竜に変身できるようになったらお父様達みたいに空を飛んで遠くへ旅に出たいのだ!



読んでいただいてありがとうございます。

気に入っていただけましたら、ブックマークと応援よろしくお願いします。

また、お恥ずかしながら、誤字脱字ありましたら、報告よろしくお願いいたします。

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