お母様が亡くなったわけ3
やがて聖人は、いつの間にか「平等」という名の教団の理念は消え、いつの間にか魔力を欲しがるだけの存在と化した聖人の言うがまま、寿命は短く魔力は小さくても、生命力が強い人間の命が魔力還元に効率がいいと大量虐殺を開始した。
そして彼らは、大国クローデン王国の森の街ルドンの領主の館の地下から冥界の門を開け、鍾乳洞を伝って冥界に進もうと計画を立てた。
鍵へと変える命はその街の領主の街の住民。
襲撃し、住民の命を使って門を開こうと虐殺を始めた。
だが、その街は、お母様が守護していた国の街だった。
お母様が異変に気が付かないはずがない。
お父様の話では、その日、ルードリアの帝都の王宮で会議に出席していたお父様のところに、会議中にもかかわらず半泣きのお兄様が転移魔法で現れ、産後間もないお母様と生まれて間もない妹が急に消え、行き先がわからないと告げた。
お兄様の言葉に、会議に出席していた皇帝をはじめ各貴族が慌てた。
産後間もなく、力が落ちているお母様と、生まれて間なしで転移魔法に耐える体ではない赤ん坊の失踪。
すぐに千里眼の能力持ちの皇帝が世界を見渡し、国境の北の山の向こうの人間の街で竜化して街の襲撃者と戦っているお母様を見つけた。
人間の力など竜王族には羽虫のような存在。
竜化して戦うなどまずありえない異常事態。
皇帝はすぐにお父様に王宮の近衛兵の精鋭を連れていく許可を出し、お父様はそのまま近衛兵を引き連れ、付いていくと言ってきかないお兄様と皇太子のカイル様ともにその街に転移した。
ただ、お父様達がたどり着いた時には時すでに遅かった。
お母様は聖人から人間より魔力や能力が高い種族に対して力を奪う魔法陣の攻撃を受けて、膨大な魔力を失い、残った力でルドンの街を襲撃したナーガ教の信徒を撃退し、かろうじて聖人の首をとったものの、お母様と聖人は相打ちとなり力を使い果たしていた。
クローデン王国のルドンの街に駆け付けたお父様とお兄様とカイル様達と言葉を交わして数分後、目の前で塵と化してしまったそうだ。
領主一家をはじめ、街の住民は虐殺され、その街で一番堅牢な建物のはずの領主の館が一番悲惨な状態だった。
カイル様は千里眼で領主の館の奥に隠されていた私と、森の奥に逃げ込んだ住民が数家族を見つけたそうだ。
私を見つけたお父様達は、そのまま聖人が治めていたナーガ教団とナーガ国を滅ぼし、巨大な新興宗教国家は一日で地上から消えた。
聖人の登場からクローデン王国のルドンの街の襲撃までの期間はナーガ教団の虐殺時代と称され、ナーガ教の生き残った信徒と領土に関しては信徒の被害を受けていた近隣諸国で後処理をしたそうだ。
さて、その襲撃事件で、一番脅威となったものは聖人が作った命を魔力に変換し貯蓄する魔法陣だった。
その魔法陣にたまった魔力の量で、魔力がない人間であろうと竜王族や魔族を虐げることができると証明されたため、各種族の魔法陣知識が深い代表者で構成された魔導会が発足した。
そして各国の魔法陣は生活で使う従来のものだろうと、すべて魔導会に届け出がないものは、存在を認められず、届け出がない魔法陣を使用したり、許可なく新たな魔法陣を作成した者は厳罰となることが決まり、届出を行うのが面倒な者たちの手によって急激に魔法陣が消えた。
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