お母様が亡くなったわけ1
イケメンお父様の妻だったクローディアお母様は約三年前に他界している。
今年の秋に三回忌。
亡きお母様は現在の「赤の大公」の妹で、名前はクローディア。
赤銅色の髪に琥珀色の瞳の赤いドレスを着た深紅のバラのような美女の肖像画は屋敷のお父様の部屋に掲げられている。
お母様は自分が守護を与えていた街を守る際に自分の魔力を使い切って他界した。
魔力の高い種族が死ぬときは髪の毛一本も残さず塵になるという。
お母様も例にもれず、塵となって他界した。
竜は肉体も強靭で魔力も知能も高く寿命は長い種族のうちの一つだ。
でも、いくら無敵のような強さを誇っても、致命傷や自分の限界以上に力を使い切ると死ぬのは当然で、お母様も例に漏れなかった。
お母様は北の平野ノーザンバランドで宗教団体ナーガの教祖、「聖人」と自称した男と戦って命を落とした。
それは十数年前、ある男が、ルードリア帝国との国境である北の山脈を越えたノーザンバランドのはるかかなたの北の山のすそ野にある国の小さな村に突如現れたことから始まる。
それ以前の男の経歴はどこかの街の神官だとか、流れの商人だとか言われているがはっきりしない。
当時、その地方は不作が続き、その地方を治めていた国の中で特に人間の国は食糧難で困っていた。
どの畑も主食となるジャガイモの芽が生育せず枯れてしまう。
ジャガイモが育たないと厳しい冬の食料に困ってしまう。
昨年も同じ現象に陥り、食料が足りず冬に多くの餓死者が出た。
今年もまた同じ冬になるのかと春から頭を悩ませていた人々の間にある男が現れて、彼らが見たこともない魔法を使った。
枯れかけた芽がみるみる成長して奇跡を起こした。
その奇跡は瞬く間に人間の国々の話題となり、各地へ広がった。
ただ、当時のルードリア帝国はノーザンバランドの国々とはそれほど国交を持っていなかったので、その一人の男が起こした奇跡の話題はそれほど知られなかったらしい。
短命種の人間国家が多く次々と国が変わるので、それほど関心を持っていなかったそうだ。
やがて聖人と名乗りだした男は、その後も住民の簡単なケガや軽い病気なら誰でも無償に治療した。
やがてある国の王が聖人のうわさを聞きつけて「難病の一人娘を回復させてほしい」と依頼し、見事王女様を回復させた。
その功績で聖人は王の娘の婿となり、やがて聖人は自分の教えを国教とし教団と国名をナーガとして教祖という名の王に就くことになった。
そのナーガ国は、今までの各種族をもとにした国とは異なり寿命や魔力は種族関係なく平等にすべき世の中になるべきだというスローガンを掲げ、種族関係なく、聖人を信仰するものは誰でも国民となれる国と謳った。
聖人は、生きとし生けるもの全ての力と寿命が平等にされた世界が完成された世界だという思想のもと、魔力がない人間でも聖人が作った魔法陣と呪文を使えば、簡単な生活魔法が使えるように支援した。
読んでいただいてありがとうございます。
気に入っていただけましたら、ブックマークと応援よろしくお願いします。
また、お恥ずかしながら、誤字脱字ありましたら、報告よろしくお願いいたします。




