俺、やっぱり最強なの?
「うーん、レベル100か。…すごいのかすごくないのかイマイチわかんないな。
とにかく、スキルがモリモリされてるのはよくわかったけど…。」
レベル100とか、魔力がどうたらとかのデータだけ出されても、すごいのかすごくないのかが全く分からずにいた。
しかも、何故「幸運」だけMAX表記なのだろう。MAXってどういう状態なんだ。
とにかく、こんな
「ステータス画面」なんてものが出るのだ。ここがヨーロッパではないことは、信じる他無いようだ。
「ヨーロッパに行くとステータス画面が出る」
なんて話、聞いたことがない。
・・・ステータス。冷静に考えると、
ここはいわゆる「ゲーム」の世界に近い、ということのようだ。
だが、待てよ。それ、どんな世界だよ…。理解が追いつかない。いやいや、さらに冷静に考えてみると、そんなことあるワケが…。
そんなこんなで俺が頭を捻っていると、再び腹の虫が騒ぎ出した。
「そ、そうだった…。お腹減ってたんだった…とにかく何か、食べないと…。」
俺はヨロヨロしながら、宿屋、食堂、露店、最早何でもいいから食べ物にありつける場所を求めて歩き出した。
その時である。
「キャアァァァァァァァァァァ!!」
背後から、まるでこの世の終わりを知らせるような女性の悲鳴が、けたたましく響いてきた。
そして、どよめきと共に、慌てふためいた街の人々が、波のように押し寄せ、俺の横を走り抜けていく。
振り返る。
するとそこには、一つ目の、3mはあろうかという巨人…化け物が、立っていた。
「うわ…何だコレ…。
あ、そうか!何かのアトラクションで、こいつは着ぐるみかな?!
それで『ステータス画面』ね!なるほど!」
しかもよく見ると、一体の着ぐるみの後ろには、さらに多くの一つ目着ぐるみがゾロゾロと控えている。
パレードそのものだ。
「何ブツブツ言ってんだア?俺、腹減ってんだ。」
目の前の一体が、喋った。よくできた着ぐるみだ。
「もうお前でいいやア、食っちまお。」
そういうと着ぐるみは、俺目掛けて太い腕を伸ばし、あっという間に俺を握り、掴み上げた。
その力は、今まで体験したどんな痛みを遥かに超えるものだった。
「な゛、なにずんだ、や、やめ…」
俺は、異常なまでの苦痛に顔を歪める。
宙に浮いた俺の横目に、耳に。辛うじて街の様子が映る。
大勢の一つ目たちは、建物を破壊して回っているようだ。
響く悲鳴。崩れる家々。
この世の光景では、ない。
・・・わかってた。俺がどんなに疑いに疑っても、ここは本当に異世界なんだろう、と。
あまりに現実離れしすぎていて、認めたくなかっただけなのだ。
だが、この痛みは、間違いなく本物だ。
自分の身体に深く達する、死を覚悟するには十分な痛みだ。
・・・だが、これだけは認めたくない。
「こ、んな…」
「お、まだ生きてんのかア。しぶてぇなぁ。ま、いいやア。このまま頭からいっちまお。」
「こんな、ワケわかんないまま!もっかい死んで!たまるかァァァァァァ!!」
俺は、腹の底から叫んだ。
思えば、ここに来てから叫びっぱなしだ。だが、多分これが今日1の叫びだ。
次の瞬間。
俺の身体炎がほとばしり、一つ目の化け物を吹き飛ばした。放り出された俺は、尻もちをつきながら着地。
そんな俺の目に飛び込んで来たのは、
炎が一瞬にして、その巨体、そして一つ目の群れ全てを!
覆い尽くす有様だったのだ!
「ぐあアアアア!!なん、何だこの力はアアアアア!!お前、ま、まさかアアアアアア!!」
断末魔、そしてブスブスという音に包まれ、化け物たちはみるみるうちに崩れ、灰と化していく。
あまりに呆気なく、事は終わりを迎えた。
ステータス画面・・・あれが本当なら、こういう事態は予測していたけども・・・
それでも、ほんの一瞬だ。こうも簡単に・・・。
「ゆ、勇者じゃ・・・。」
どこからともなく、呟くような声が聞こえてくる。
「あの力…あの炎!浮かび上がったあの紋様!かつて『最強』と謳われた、伝説の勇者の再来じゃアァァァァァァ!!」
妙な老人の、妙な叫びに呼応するかのように、街の人々が合わせて歓声を上げた。
そして、湧き上がる
「勇者!勇者!」
「勇者!勇者!」
「勇者!勇者!」
勇者コール。
老若男女、口々に俺を称賛する言葉を、大声で叫んでいる。
いや、まぁ、確かに、みんな助かって良かったと思うし…俺も死なずに済んだけど…。
大袈裟じゃない…?




