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IF  作者: 小塚彩霧
7/25

7.文化祭

中学生活最後の文化祭。

私もあっちゃんも文化祭委員をやっているので、是非とも盛り上げて成功させたいところ。


文化祭が近づいてきて、何かと放課後に作業がある。

会議室で、文化祭委員が集まり、文化祭用のポスターを作っている。

私は文化祭の最後に踊るフォークダンスに参加を促すポスターを描いていた。

他のクラスの女子が私のポスターを見て言う。


「この絵の男子ってさ、津川?」

「え!?」

「この女子はむんちゃん?」

「ええ!?」


本人もいるところでそんなこと言われると、付き合っているとはいえ、ちょっと恥ずかしい。


「つうかさ、むんちゃんと津川って付き合ってるんやろ?放課後一緒におるん、よく見るけど。」


ざわっと周りの人間が色めき立った。


「付き合ってるって、やらしーこといっぱいしてるんちゃうん?」


面白がって男子が囃し立てる。


「あほ!俺らそんなん違うぞ!」


あっちゃんが叫んだところで先生が入ってきた。


「お前ら、なに騒いどんねん!はよ作業せんか!」


◆◇◆


文化祭当日。

文化祭委員は展示部屋の当番や舞台発表の進行などで、各自ドタバタでゆっくり見物する暇もなかった。


あっちゃんとは朝、委員の召集で顔を見たきり、まったく口も利いていない。


やっと最後のフォークダンスの時間。

去年は別の輪になったから踊れなかった。

2年振りのフォークダンス。

2年前は私の手も握ってくれなかった。

今年はちゃんと踊ってくれるよね?


オクラホマミキサーの音楽が流れる。

文化祭委員はクラスの輪とは違って人数も少ない。逆方向に回っていくけど必ず回ってくるはずだ。


しばらく踊って段々あっちゃんに近付いてくる。

あっちゃんとちゃんと手を繋いで踊りたい。


(あっちゃん!)


ドキドキする。あっちゃんが私の手を取ってくれた。

彼と寄り添うようにして次のステップを踏み出そうとしたその時、2年前と同じように曲が終わってしまった。


(圭子、今回もオクラホマミキサー、踊れんかったな…。)

(うん、ちょっと残念。)


体を離す前にあっちゃんが私の耳元で囁いた。

2年前にはこんな言葉を交わすこともなかったのに。

あっちゃんの優しい声が嬉しかった。


◆◇◆


後片付けも済んで、ほとんどの生徒が帰った放課後。

鞄を取りに教室に上がる。


「あっちゃん、待っててくれたん?」

「うん、まあ、俺もさっき仕事終わったところやったし。」


あっちゃんが教室の一番後ろの席に鞄を置いた。


「なあ、オクラホマミキサー、踊らん?」

「え?でも、音楽無いで?」

「歌えばええやろ?音痴でも笑うなよ?…ほら、来いよ。」


あっちゃんが差し出した手に私の手を乗せた。


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