3.告白
焼き増しした写真を友達に配る。
あっちゃんとの写真も焼き増ししたから渡したいけど、渡すタイミングがない。
放課後、あっちゃんに渡そうと一人になるタイミングを狙うことにした。
廊下で掲示物を読んでいるふりをしながら、彼が通りかかるのを待つ。
彼が来たけれど友達と一緒だ。
流石に友達といる時に私と話すのはきっと嫌なんじゃなかろうか。
(だー!早く一人にならないかな?)
友達二人と一緒に校門に向かっている。
そのあとを少し離れて付いていく。
校門を出たところで一人と別れた。
(よし、あと一人!)
結局、家の前で友達と別れた。
その友達が離れていくのを見届けつつ、あっちゃんの家の門の前まで走る。
「津川!」
あっちゃんは振り向いたけど、そのまま家に入ってしまった。
もしかしたらまた出てくるかもと思って少し待ってみたけど出てこなかった。
◆◇◆
あれからもう一度声をかける勇気が出なくて、結局写真は渡せず終い。
彼への写真は机の引き出しの奥底に仕舞いこまれた。
まあいいか。
私の生徒手帳には二人で写った写真が挟んである。
家でゴロゴロしていると電話が鳴った。
電話に出ると、若い男の人だった。
「村井さんのお宅ですか?」
「はい。」
「圭子さんはいらっしゃいますか?」
「私ですが??」
「…」
電話の向こうで何やら話し声がする。
『ほら、本人出たぞ、代われよ。』
「??」
「もしもし。あの…俺…」
「!!」
もしかして、この声!あっちゃんじゃないの!?
マジで!?うわー!
一体どうしたっていうの?
あ、もしかして、振られるパターンか?
一瞬で頭の中でいろんなことがぐるぐる。目眩がしそう。
「村井?」
「は、はい!」
「俺、津川やけど…。」
「う、うん!」
「…」
また電話の向こうから声が聞こえる。
『ほら、早く言えって!』
ああ、引導渡されちゃうの?私。
「あの、俺、ずっと圭子のこと…」
あっちゃんの言葉の続きが怖い。コクリと生唾を飲んだ。
「す…好きやってん!だから、俺と付き合おう!」
「え?え?何かの罰ゲームとかなん?」
「あほか!冗談でこんな恥ずかしいこと言えるか!」
「だって…嘘やろ…信じられへん…。」
涙が静かに溢れ出て、頬を伝う。
嬉しいとか悲しいとか悔しいとか驚いたとかいっぺんにやってきて、泣きたい訳でもないのに涙が止まらない。
「…泣いてんの?昔からすぐ泣くな、お前は…。」
「…っく。だって、あっちゃん…。」
「俺かて、泣きたいくらい緊張してるんやぞ!…で、返事は?」
「…私でいいのん?ぐずっ。」
「だから、圭子がいいねん、俺は!」
「ありがとおっ…っく。」