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IF  作者: 小塚彩霧
2/25

2.接近

中学3年間で一番ビッグなイベント、修学旅行。

クラスが違うから、一緒に行動できるわけでもないけど、やっぱりちょっとウキウキする。

学ラン姿も好きだけど、私服姿もちょっと気になる。


新幹線で東京まで移動。

私が1組であっちゃんが2組。2クラスで1車両ということで、あっちゃんと同じ車両になった。


(ラッキー!!)


私の座席から、あっちゃんの座席は2列向こう。結構近い。

立ち上がって、背もたれ越しに覗き込んでみる。


(きゃーん。あっちゃん、メガネ姿もかっこいいなぁ~///

これは写真に収めねば!!!)


堂々と隠し撮り?してたりでかなりの不審人物。


「どうせなら二人で一緒に撮れたらいいのなー…」


心の中でつぶやいたつもりが、思いっきり独り言になっていたらしく、

私の横の通路を通りかかった同じクラスの女子に腕を掴まれた。


「じゃあ、撮ればいいやん。行こう行こう!」

「えぇ?あっ、あれっ??」


あっという間にあっちゃんの席に連れてこられた。


「津川、むんちゃんが一緒に写真撮りたいって。」


その一言で辺りがわぁっと沸いた。

あっちゃんのとなりに座っていた男子が立ち上がり、私に席を譲ってくれる。

断ろうにも周りが既にそれを許してくれない。

皆の好奇の眼差しの中、彼の隣に座った。


(あっちゃん…。)


恐る恐る彼の顔色を伺う。

でも、あっちゃんは頬杖をついて窓の外を眺めたまま、こちらを向いてはくれなかった。


「ほら!津川、こっち向いて!!」


カメラを構えた女子がそう言ってシャッターを押した。


私は怖くてあっちゃんの顔を見れなかった。

お礼もそこそこにカメラを受け取ると自分の席に戻った。


◆◇◆


楽しかった修学旅行から戻り、撮った写真も焼き上がった。


(あ…。)


ずっと窓の外を眺めていたあっちゃん。

なんだ、ちゃんと笑ってるじゃない。

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