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撃鉄の響く戦場にて  作者: KY


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獣王国の失敗

また起こる大戦の気配・・・。 人からの欲望から戦いや争いが起き、その足音は分からないうちにそばにいる・・・。

獣王国王宮は今までにないほどに暗い空気に包まれていた。

宰相が公国暫定政府と結託し、辺境伯であるマサルを公国に引き渡した。

しかし、マサルは自分の組織力で脱出した。 それどころか自分らが仕向けた姫騎士との関係が今、大きく影響を及ぼした。 

現帝国皇帝は姫騎士からしても弟だ。

暫定当主に座った事で交渉を行い、王宮側の望まない形になってしまった。

そこから脱走に手を貸した事で王宮は焦り、暗殺部隊を出した。

暗殺部隊は帰還せずで終わり、マサルは領都に逃げ込まれてしまった。


「公国の連中は使えんとは・・・。 しかし、これからどうするか・・・。」


「私の失脚ではあ奴は納得はせんでしょうな・・・。」


「だが、なぜあ奴を追い詰めた?放置でも良かろう?」


「それは違いますぞ。 王よ。 あ奴は野心の塊。 早いうちに牙や爪を折っておくべきでした。」


「・・・。」


「我らは自国の被害をあ奴に押し付けるために政略結婚をさせたが、それは大きな間違いだった。 彼らは大いに彼に肩入れし、発展してしまった・・・。 こうなる前に気が付くべきだった。 その上で姫騎士に男子を産ませてしまった事で後継ぎの問題も・・・。 彼がどのような要求をするかも検討が出来ません。」


「むう、公国の支援は打ちきりだ・・・。 逃した罰は下さねばの。」


「それはお止め下さい!わざわざ味方を減らすべきではありません。」


「しかし、罰を与えねば、ワシの気がすまん!」


「ならば、誠意を見せる様に促すのはどうでしょうか?」


「ほう?どのような?」


「自分で罰を決めさせるのです。 そして、それを実行させることです。」


「お主が言うのであれば、そうしよう。 まずはあの男が何を言うかは検討が付くか?」


「独立することは必ず言います。 支援の打ち切りも。 その他はわかりません。」


「そうか・・・。」


王宮の高官の中には、積極参加した者もいた。

その影響は大いに出ていた。 出来るだけ被害が出ないように辺境伯派の貴族と付き合いのある者は働きかけをした。 しかし、辺境伯派の貴族はとりなしもしなかった。

当然、マサルは領内で療養中の為に詰問の使者が、王宮に現れた。


「お目に掛かれて光栄であります。 辺境伯様が家臣でエロッゾと申します。」


「うむ、エロッゾとやら用向きは何かな?」


「はい、幾つかの事を聞いてくるようにと、申し渡されましたので、そちらを確認をさせて頂きたく。」


「そうか。 発言を許す。 申してみよ。」


王と宰相は、数名の家臣や家来のみでマサルの使者と相対した。

使者としてきた男性は狐耳の獣人で、一人で来ていた。


「はっ、まずはマサルの身柄拘束の免状を出したのは、なぜですか?」


「疑いがあるのであれば、潔白を晴らす機会を与えたまでの事・・・。」


「それが拷問を伴うとしてもですか?」


「拷問?そのような事をしていたのか・・・?国の方からも苦情を伝える。」


「お願いします。 次にですが、国に入る際に暗殺部隊が襲い掛かってきたとの話があります。 それについてのお話をして頂けますか?」


「それはこちらも行き違いというより人為的ミスが起きてしまった。 謝罪をさせて頂こう。 だが、彼らも戻っていないので、誰が命じたかまではわからんのんだ・・・。 すまぬ。」


「そうですか・・・。 分かりました。」


使者はそのまま退室し、アバロンへと帰還していった。

王宮側もあまりにもあっさりとした質疑のみで拍子抜けしていた。

しかし、アバロンは当然のように要求は言ってきた。


・辺境伯領すべてを独立国として認める。

・金銭・物資の援助を即時打ち切り

・借財の即時の返還

・国境線の策定         等が通告された。


王宮側もそこは予想していたが、借財の即時返還と国境線の策定には難色を示した。

借財は返還する金銭がない事。 国境線は様々な理由をつけていたが、アバロン側が行う旨を伝え、黙らせた。

数日ののちにアバロン領が自治国となった。

いち早く認証したのは帝国だった。 少しでも恩を売るためだ。 国となれば、合法的に取引が出来る。 姉との密約も有効なうちに固めようと、動いたからだ。

連合も消極的ではあるが、認証した。 彼らは経済が逼迫しており、獣王国からの収入が命綱だが、その獣王国はすでに金がなくなりつつあり、かつての敵は・・・的な考えのもとに自国の存在を示そうとしたようだった。


「閣下、国境線の策定の策定も終了しました。 獣王国側も了承を得ました。」


「お疲れ様。 あとはこちらに来る家はいくつになりそう?」


「まずは奥方様のご実家は全員来ました。 領地も返還したそうです。」


「それは凄いな。」 


「ご実家はアバロンの支援もありましたので、比較的に裕福でした。 王宮はご実家全てを直轄地にしたそうです。」


「そうか・・・。 まあ、そうだよね。」


獣王国側が確保したのはアバロンの残り香。

その為に元のアバロン拠点は全て押さえたらしい。 しかし、建物があっても中身がないのだから。

その事実に気が付いているのか、いないのか・・・。 


<公国サイド>


獣王国にいる公国人であるマサルを尋問した末に処刑台の露にすることで、支援と助力を得る約束をしていた公国上層部は、マサルの逃亡により獣王国側からの『誠意』という名の無茶ぶりをされていた。


「獣王国の奴め、『誠意を示してほしい』だと?素直に賠償金と言えんのか!くそ!」


「いや、お茶を濁していっただけですから・・・。」


「わかっておるわ!」


「しかし、どうする?誠意を見せろと言われてものう・・・。 財源もないぞ?」 


「獣王国はこちらに補償の選択をさせているように見せて、きっちりと回収するために謀った様ですね?こういわれては果たさなければ、他国からも横やりが来ますね・・・。」


「しかし、どうする?金銭では到底足りん。 農産物も混ぜるか?」


「もう少し考えねば・・・。」


合議制である公国は、その後も何度も閣議を開き、出した結論は銃がない獣王国に3000丁のライフル銃とその弾。 10万枚の金貨、20トンほどの農産物と2トンほどの工芸品と10台ほどのトラックとジープ、バイクを送り、教官も無償貸し出しで形を整えた。

  

「これであいつらが誠意として受け取ってくれればいいがな・・・。」


公国の高官は、獣王国側を向いて毒づいた。

その彼の横を合議で決まった賠償の品々を乗せたトラックが進んでいく。

この車両もこの国を踏むことはない・・・。

帰ってくるのは装甲車2台のみだ。


<獣王国サイド>


「公国側からの誠意の品が届きました。」


「うむ。 見に行こう。」


公国側側の代表者が一つの書状を持ってやってきた。


「獣王国の方々、お会いできて光栄です。 公国よりのお詫びの目録です。 ご確認を。」


「その必要はない。」


「えっ?確認しませんと、足りないかもしれませんよ?」


「だから必要ない。」


「スイマセン。 理由がわかりませんが・・・」


「ああ、言葉が足りなかったか・・・。 ならば、言い直そう。 それは物資を運んできた君らも全員が誠意の品という事だ。 君らはもう公国には帰れんからそのつもりで。」


「ちょっと、それは我らは聞いてません!」


「それはそうだ。 今決めた。 思っていたより少ないからな・・・。 恨むなら本国を恨め。 連れていけ。」


「はっ!」


公国兵士30名と護衛車両を含め、物資全てを自国にした獣王国。

兵士達はバラバラに収容され、連絡さえさせずにいた。 幸いなのは全員が独身である事だけだった。


<アバロンサイド>


領主舘で執務をしていると、公国の事を調べていた暗部の隊員が入ってきた。 普通の兵士服で。


「公国に吐き出させた詫びの品々を運んでいた兵士と品物をすべて自国の物にしたようです。」


「はっ?公国兵士を含めて全部自分の物にした? どこまでどん欲になっているんだ?」


「なんでも保証の品が足りなかったとかで。 話もさせないままで連行していったようです。」


「公国は反論しなかったのか?」


「いえ、したそうですが、追加の物資を要求したそうです。」


「それでもって来たらそれも総取りか・・・。 とうとう本性だしたね・・・。 獣王国。」


「たぶん、宰相派の連中です。 彼らは王宮を成り立たせるためには、考えそうです。」


「監視は続けてくれ。」


「はっ!」


隊員が退室した部屋に傍付きの役人を従えながら、遠くない時にこの二国と事を構えるような気がしていたのだった。 そして、そんな感情を首を振って忘れようとした・・・。

しかし、離れなかった・・・・。


帝国・アバロン連合軍 対 獣王国・公国暫定政府連合軍


 明らかな先進兵器を有するアバロンと高い統率と兵種を誇る帝国。


兵器は中世ヨーロッパだが、圧倒的な人的資産ある獣王国と兵器はアバロンよりは劣るが、まとまった銃を保有している公国暫定政府。


「自分の妄想で終わっていてくれれば良いんだけど・・・。」 


マサルが憂いでいるが、彼の知らないうちに事態はヒタヒタと、悪い状況に流れ始めていた・・・。


気が付かないのは・・・マサル自身だった・・・。

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